ANTI ANTI GENERATION
レビュー執筆日:2019/8/15
●バリエーションは過去最高。インパクトはやはり少々弱めか。
【収録曲】
1.Anti Anti overture
2.tazuna
3.NEVER EVER ENDER
4.IKIJIBIKI Feat. Taka
5.カタルシスト
6.洗脳 (Anti Anti Mix)
7.そっけない
8.<宿題発表 -skit->
9.PAPARAZZI ~* この物語はフィクションです~
10.HOCUSPOCUS
11.万歳千唱
12.I I U
13.泣き出しそうだよ Feat. あいみょん
14.TIE TONGUE Feat. Miyachi, Tabu Zombie
15.Mountain Top
16.サイハテアイニ
17.正解 (18FES ver.)
映画の主題歌やワールドカップのテーマソングに起用されたりと、デビュー当初と比べたらタイアップ曲を手掛けることが多くなったRADWIMPSの約2年ぶりのオリジナルアルバム。前作の『人間開花』は「焼き直し感」や「インパクト不足」等といった理由からあまり高く評価しなかったのですが、今作に関しては、少なくとも「焼き直し感」についてはかなり減ったと言ってもいいでしょう。打ち込みメインのトラックに乗せてラップや英語詞等を器用に使い分けて高揚感を生み出す『カタルシスト』や、約3分半と長くはない時間の中で一気に展開するバラード『Mountain Top』のようにこれまで無かったような楽曲も多く、バリエーションに関しては過去最高と言えるのではないでしょうか。また、ONE OK ROCKのTakaやあいみょん、Miyachiやタブゾンビといった多彩なゲストミュージシャンが参加していたり、NHKの番組『18祭』において製作された『万歳千唱』や『正解』には一般応募者のコーラスが入っていたりと、様々な試みも見られ、こういった要素が今作の多様性をより際立たせていると言えるでしょう。
しかし、これは近年の彼らから感じていることですが、一曲一曲を見ていくと、やはり少し地味に感じられます。『万歳千唱』のように上手くインパクトを出している曲もあるのですが、全体的には、彼らの持ち味だと思っている「リスナーを驚かせるような仕掛け」は薄めで、「雰囲気で聴かせる」曲がメインとなっており、数曲だけならまだしもこういう曲が続くと少々ダレてしまった感じも。また、『PAPARAZZI ~*この物語はフィクションです~』のように歌詞の面からインパクトを出そうとしている曲もあるのですが、安易な週刊誌批判に終始しており、空回りしている印象が拭えません。不穏さを煽るトラックは良くできていると思うのですが。
全体的に見ると、「ポップなアルバム」としては優れており、歌詞に関しても、『IKIJIBIKI』の「言えないよ 友達じゃないから」や『HOCUSPOCUS』の「スカしてるやつぁほっとけ」のように随所に彼ららしい砕けた表現もあってある程度個性もあり、初めてRADWIMPSを聴くという人にはお薦めできるかもしれませんが、やはり、もう少し刺激的な要素も欲しかったところ(と言っても、『PAPARAZZI』のような歌詞は勘弁してほしいところですが)。この作品で初めて彼らのアルバムを聴くという方もいると思いますが、もしそうなら過去作をさかのぼって聴いてみるのも面白いかもしれません。
評価:★★★★