人間開花
レビュー執筆日:2018/7/18
●聴きやすくはなったものの、全体的に物足りない。
【収録曲】
1.Lights go out
2.光
3.AADAAKOODAA
4.トアルハルノヒ
5.前前前世 [original ver.]
6.'I' Novel
7.アメノヒニキク
8.週刊少年ジャンプ
9.棒人間
10.記号として
11.ヒトボシ
12.スパークル [original ver.]
13.Bring me the morning
14.O&O
15.告白
RADWIMPSが主題歌・音楽を手掛けた映画『君の名は。』のヒットの影響もあったのか、今作はRADWIMPSのオリジナルアルバムとしては初のオリコンチャート1位を獲得しました。(初動売り上げは『アルトコロニーの定理』よりも低いですが)映画から入った新規のファンを意識したかどうかは分かりませんが、今作には『狭心症』や『五月の蠅』のような強烈な、ともすれば聴く人を選ぶような楽曲はあまり収録されておらず、全体的に明るい印象を受けます。特に『君の名は。』に使われた『前前前世』は覚えやすいポップなメロディと特徴的なギターフレーズ、「君の前前前世から」という耳に残る歌詞が特徴的な楽曲で、RADWIMPSの名刺代わりとなる一曲と言っても差し支えないでしょう。
しかし、残念ながら今作は前作の「大人しくなった」を通り越して「守りに入った」という印象が拭えません。例えば、ラップを取り入れた『'I' Novel』やハードな『記号として』は曲自体はある程度のインパクトはあるのですが、『リユニオン』や『おしゃかしゃま』の焼き直し感は否定できないですし、スローなナンバーである『週刊少年ジャンプ』や『告白』は悪い曲ではないのですが前作の『ブレス』や『針と棘』と同様に盛り上がりに欠け、冗長に感じられます。このように、アルバム全体で見ると今までの作品と比べてインパクトというものが不足しているように思えます。
また、メロディに関してもどこか投げやりな印象を受けます。特に『光』や『ヒトボシ』は『前前前世』と雰囲気が似通っているうえに、メロディの運び方が勢い任せに感じられ、はっきり言って凡庸であまりRADWIMPSさを感じられません。確かにこのような楽曲はライブやフェスでは受けそうですが、個人的にはそのようにするよりも様々な工夫を凝らしてほしかったと思います。
まあ、インパクトが不足しているということはある意味今までのRADWIMPSにあった「角」が取れたということなので、この作品が大ヒットしたということはある程度は納得できます。しかし、前から聴いている自分にとっては物足りなさを感じるアルバムでした。
評価:★★★