絶体絶命
レビュー執筆日:2018/7/4
●前作の路線を引き継ぎながら、インパクトはさらに増大。
【収録曲】
1.DADA [dadadada Ver.]
2.透明人間18号
3.君と羊と青
4.だいだらぼっち
5.学芸会
6.狭心症
7.グラウンドゼロ
8.π
9.G行為
10.DUGOUT
11.ものもらい
12.携帯電話 [Cat Ver.]
13.億万笑者
14.救世主
前作から約二年ぶりに発売されたRADWIMPSの6thアルバム。彼らの大きな特徴である「多様でインパクトのある楽曲が次から次へと繰り広げられていく」というスタンスは今作でも健在です。もちろん、前作の焼き直しなわけでもなく、今作でも様々な新しい要素を取り入れています。例えば、『狭心症』は今までにないほど重苦しい音像が特徴的で、『携帯電話』ではカントリー風のサウンドが耳に残ります。さらに、『G行為』は韻を踏んだ歌詞と打ち込みメインのトラックから、かなりヒップホップの要素が強い楽曲になっています。
また、今作はほぼ全編日本語詞となっており、その影響か歌詞が分かりやすくなっているように思えます。また、その歌詞も視点が非常にユニークで、例えば、『狭心症』は悲しいニュースに無関心になってしまうことに警鐘を鳴らす……というありふれたテーマではなく、その「警鐘」を必要以上に鳴らす世間に対する悲痛な叫びがテーマとなっており、また、『グラウンドゼロ』では「どうやっても絶望できない」ということから逆説的に希望を描き出すという手法をとっています。このように一曲ごとに明確でかつオリジナリティ溢れる題材が設定されており、大いにリスナーの興味を引く内容となっています。
まさに、メロディ、歌詞、アレンジどれを取っても「全曲シングルレベル」と言っても過言ではないこの一枚。個人的には前作と同様、いや、それ以上に満足のいくアルバムだったと思います。
評価:★★★★★