アルトコロニーの定理
レビュー執筆日:2018/6/27
●インパクトある楽曲を様々な音楽性でもってシリアスに鳴らした一枚。
【収録曲】
1.タユタ
2.おしゃかしゃま
3.バグパイプ
4.謎謎
5.七ノ歌
6.One Man Live
7.ソクラティックラブ
8.メルヘンとグレーテル
9.雨音子
10.オーダーメイド
11.魔法鏡
12.叫べ
13.37458
RADWIMPSの最も大きな特徴は「インパクトのある楽曲が次から次へと繰り広げられていく」という点にあると個人的には思っています。このように書くと「押し一辺倒でずっと聞いていると飽きてしまう」ように見えるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。例えば『おしゃかしゃま』や『ソクラティックラブ』ではハードなサウンドと矢継ぎ早に繰り出される情報量の多い早口の歌詞で圧倒し、『謎謎』では「……はなーんだ」という繰り返しのフレーズが印象的で、『オーダーメイド』では最後に一回だけあるサビで急に三拍子になるという構成でリスナーを強い高揚感へと誘います。このように、様々な方法でインパクトというものを表現しており、さらに、ロック、ファンク、ヒップホップ、ゴスペル等様々なジャンルを取り入れたり、場合に応じて日本語詞と英語詞を使い分けたりしているため、一曲ごとにかなり異なった雰囲気があり、最後まで飽きてしまうことがありません。
このように多様な曲が収録されているとアルバムとしての統一感が薄いように見えるかもしれません。実際に、これ以前のアルバムにおいては、おちゃらけた雰囲気の曲や歌詞をあえて意味不明にした曲がいくつか収録されており、少しまとまりに欠けていた面があったのですが、今作ではそのような曲は無く、全体的にどこかシリアスなトーンが漂っており、それによってうまく統一感が表現できていると思います。
あえて不満を挙げるならば、最後の『37458』がアルバムを締めくくる曲としてはやや冗長で地味な点でしょうか。とはいえ、インパクトと多様性と統一感が両立した傑作であることには変わりないので、この評価とさせていただきます。
評価:★★★★★