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リリースから3日目

「つっ、朝シフトってのも大変だな……周回したいのに。まぁまたアプデ入ったからいっか」

お問合せにジャンプをしても反映が悪いと複数件あったそうだ。元々3Dのコンシューマーゲームではあったが当時からジャンプは無かった、というより上に少し浮いて前に進みその場で下に戻るという微妙なもの。

リアリティを要求するユーザーに対し真摯に答える運営は素晴らしいが、こうもリリース日からの刺客がアプデが続くのはどうなのだろうか

「ふぁ~日光が眩しいな」

扉を開けてバイトに出かける。

「うぇー帰った帰った~」

家に着くとさっさと風呂に入って飯を済ましゲームを起動する。

寝る時間を24時とすると6時起床なのでいたって健康な日々を暮らしていると自負できる。

ログインをして街から狩場に戻った。

<ルルア>が居ないうちにレベルを少しでもあげて先導できるようにしなければと少し焦り気味になりながら……

数分程プレイしているとピコンっと音が鳴った。

「ん?メッセージが届いてるな。VCの誘いか、どうしようか……」

ゲームシステム上、プライバシー上、喋るとAIが自動で言語を読み取りユーザーの選んだボイスにて付近に発声、ログに記載の形式を取っている。

しかし中には実況者、その他友達間でやる為等でこの機能を必要としない人もいる。あとは出会い厨と呼ばれる輩だ。

「お、いたいた。ウォルフさんってあんたか?急にVC誘って悪かったな、俺は実況者のロイヤル・剣って言うんだけど知ってるか?」

<ロイヤル・剣>は有名配信アプリで日本人初の3億人応援を果たした人だ。知らないと言うやつは居ないほどの大物だ。

「知ってるさ、で?何の用だ」

「いやー、うちの応援者(ファン )達がここの大陸の最速ランカーが可愛い子って言っててな。まぁ俺を知ってるなら分かるよな?可愛い子と冒険するってのが好きなんでな!」

「ならパーティーでいいじゃないか。わざわざ会話グループ作ってまで」

「それが何故か誘えないんだよな~、他拒してる?」

「他人拒否設定はオフだが、あー。わかったわ、知り合いとパテ組んでてな」

「そうだったのか。ってあれ?ソロラー1位って」

「知り合いを育成中と言った方がいいかな。まぁ自分で名乗ってる訳じゃないから気にしないが一応ソロで1位だ」

「ほほー、俺はな『妖魔の海』から始めたんだがどうもランキング1位になれなくてな、コツとかあるのか?」

「うーん、強いて言うならそうだね。能力の設定でEXP増加とか付けるのが速さのコツかな」

「ほほぅ、確かにいいな」

「まぁ俺は特につけないけどそうだね~。あと課金?」

「ちょっと戦闘とか見せてもらっていいかな」

「ん?良いけど能力の詳細はちょっと言えないぞ」

「だってよ、お前らー」

よくよく見ると深淵の園の安全地帯付近の木々から沢山のプレイヤーが覗いていた

「うげっ、こいつら何者?!」

「すまんな、来るなって言ったんだけど来ちまったみたいで」

「ま、まぁいいか。安全地帯にいるなら」

「お、小遣いセンキュー」

お前も後ろにと言おうとしたが<ロイヤル・剣>はファンサをしている為、ボケーとしていると<ルルア>がログインしてきた

「やっほー、ウォルフ姉ちゃん!って、なにこれ?!敵ユーザーに囲まれてるよ?!あれ?それに街にいたはずなのに」

「あ、すまん狩場に戻る時にルルアが置いてきぼりだと可哀想だからさ。一緒にワープしたんだ。で、この人混みは俺の能力を見に来た奴ら」

「そ、そうなの?って待って、ログが凄い流れてく」

「ログで会話を見ず範囲を指定して聞くようにすればいいよ」

<ルルア>に説明を終えた頃、ファンサの終わった<ロイヤル・剣>が<ルルア>に話しかけてきた

「お、少年!よろしくな俺はロイヤル・剣って言うんだ」

「ひっ何者?!」

「有名な配信者だよ、逆にルルア知らなかったのな」

「うん、テレビとかあんまり見ないし」

配信者はアプリなんだがな……

「ま、まぁなんだ宜しく頼むよルルア君だっけか」

「よろしくですロイヤルさん!」

「で、今から使うから2人とも下がれる?」

「「うん」」

「じゃあ行くよ。ライトスラッシュ!!!」

閃光がシャドウたちを切り裂く

「やばすぎないか、ってお前ら飛び出るな!安全地帯居ないと死ぬぞ!!」

ファンたちがすごい勢いでこちらに来ようとするのをロイヤルが押える

「ウォルフ姉ちゃん……今更ながら何者?!こんなに人集めるなんて」

「なんかネットの書き込みで載ってな」

「ほほぅ」

「ルルア君、ウォルフさんはすっごい有名人なのさ。俺は今回パーティの招待に来たんだけど、どうやら組んでるのは君みたいだね」

「あ、はい!」

「でよー、ロイヤルが組みたいってんだがパテ入れて大丈夫か?」

「別に構わないけど、この人装備的にも強そうだし僕足引っ張らない?」

「大丈夫だ、ロイヤルは可愛いやつにゃ優しいって定評だからな」

「はっはっは!可愛い子を囲むのは男の醍醐味だからな」

「うげっ、僕男なんだけど……」

「なーに気にするなネカマだろうがなんだろうがアバター良ければ全てよし」

「ってことだルルア。見た通り変態だがまぁ仲良くやれそうか?」

「ぼ、僕はいいよ」

「じゃぁ招待するわ」

パーティー欄にロイヤル・剣の名前が表示される。

高校時なら自慢出来ただろうな

「ひょえーお二人さんここの大陸でこのLvってやばくないっすか~」

「俺はランキングに乗ってるから分かるだろ?」

「いやー、改めてやばさを実感したよ」

「今日はどこで狩るの?ウォルフ姉ちゃん」

「そうだなー、ロイヤルのスキルは動画見てる限りだとここ向きじゃないからな」

「おっ、ファンの1人だったのか?!」

「違ぇよ、他の大陸の進捗を見たかっただけだ。それでだ、乱観の巣窟という少し厄介だが敵は弱く経験値の高い場所があるんだが」

「よーし、俺は大丈夫だぜ」

「僕もおけー!」

───乱観の巣窟──

「「おぇぇ……」」

<ルルア>と<ロイヤル>が跪いてゲロを吐いている。

と言ってもそういうキラキラエフェクトが出るだけだが

「全くだな。何が大丈夫だってんだよ」

乱観の巣窟名物の上下左右逆様ってやつに酔ったようだ。

前に進もうとしたら後ろに、後ろに進もうとしたら、前に。右が左に、左が右に。ジャンプがしゃがみ、しゃがみがジャンプと。しかもコロコロ状態が変化するため7割のユーザーは擬似酔いを起こす。

「ウォルフねぇ……なんで慣れてるのさ」

「うげ……ライブ欄全滅してる」

「あぁー俺か。ベータ版やったのと三半規管が丈夫なのが相まってかなんも起きんのよ」

「「これが闇大陸ナンバーワンか」」

「妙な所でハモるな。さて、せっかく来たんだ狩りしなきゃな」

「な、なぁウォルフさんや。安全地帯だけど反転する場所ってないか?少し慣れないとキツいぜこりゃ」

「んー、そうだなー。安全地帯は安全地帯だし……あ、そうだちょっと待ってろ」

設定設定、【範囲内に置ける攻撃】を【完全遮断する】能力、代償【使用者の異常耐性30%down】

「よーし、スーパーシールド!」

薄黄色の半球が3人を包み込む

「今スキル作ったぞ。攻撃だけ遮断するから。さーて俺は先に狩り行ってんぞ」

「す、すまんな」

「僕ももう少し慣れたらすぐ向かうよ」

認識遮断を作ってもいいと思ったがそれをしないのは今後範囲攻撃を行う時の対策でもある。

「手前に5匹、忌技だからあんましたくないが今は誰もいねぇから。ヘルスロゥクラウス!!!」

漆黒のベースに深紅の線が一線刻まれた剣が特定範囲内の敵すべてに突き刺さる

「ふーむ、人数に応じて威力が減少するから倒せるか不安だったが5匹なら難なく倒せるか」

ピロンと通知が届く。

Lv100に到達しました。

PKに対する制限が設けられました。

──称号<最速の闇>──を入手しました。

「通知だらけだ、えっとえっと。ほーん。はぁー、ほうほう。よく分からん!」

そのまま狩りをする事5分

「あ、居たウォルフ姉ちゃん!だいぶ慣れたよ」

「俺もある程度は、うっぷ」

ほらほら、と進もうとした<ルルア>が転ける

<ロイヤル>に関しては青ざめたまんまだ

「ほら、これでも食べとけ」

「ん?木の実か」

「泥品なんだが反転する時としない時が5分間表示されると言う物だ。あいにくステージの常時発動デバフを解消するようなアイテムは見つからなかったんでな」

「いや、タイミングがわかるだけましだ」

「ルルアも食うか?」

「そうする」

一旦落ち着き3人で狩りに入る

「ライトハンマー!!!」

「ライトスラッシュ!!」

「スーパーシールド!ヘルスロゥクラウス!!」

「ほぉー、20体倒してLv1アップか相当早いな」

「僕は30くらい上がったよ」

「ロイヤルは130くらいか?」

「おうよ、強いだろ!!」

「んで、ルルアは80前後か」

「俺は無視かよ!」

「そんくらいかなー、100に早くならないかな」

「そうか。ならあと数体で100になるな」

「ウォルフさんや、ここの経験値ボーナス幾つなんだよ。爆速じゃねぇか」

「敵のレベル相場が230だから少なくとも5倍はかかるな」

「大物殺しか」

「そんなとこだな」

「おーもの殺し?」

「簡単に言うと自分より格上を倒した時差に応じたボーナスが作って事だ」

「ほへー」

「ここはステージギミックのボーナスも乗るから一定の強さになったら絶好の狩場なんだよ」

「そんな狩場あるならみんな来てるはずじゃねぇのか」

「ここに来るにはパーティ平均60は必要だからな。尚且つ闇属性又は光属性のスキル保持者が居る事」

「確かに闇大陸なのにみんな無属性選ぶしそもそもLv60までこの大陸であげるのはきついもんな」

「そういう事さ」

「そんな重要な話今更だが配信者の前で言ってよかったのか?」

「そうだな、来れるものなら来いって話だ」

「はっはは!だとよファンたち」

「ねぇねぇウォルフ姉ちゃん」

ドロップ品を調べてた<ルルア>が話しかけてきた

「ん?」

「暗黒刀+DAってアイテムがあるんだけど枠が金色なんだよ」

「?!お、おいそれ低泥じゃんか!ルルア!レア装備だぞ」

「まじか!ってか自然産で強化値+S以上はバケモンじゃね」

「え?そんなにすごいのこれ。ほぇー」

+n、nに入る値の最高値はSSSだ。

+Gからスタートし+S、+Sの次が+GGと言った具合に進む訳だが。初期の強化度合いが高いのに加えて、基本+値の付けれない装備が泥品の定石。にも関わらず+値が付いている。低泥の次元を凌駕している

「装備してロックしとけ」

「はーい」

「ウォルフさん、この子何もんですかね」

「知らん、ただ言える事は羨ましいッ」

「分かる!!」

その後も、狩りを続けて<ロイヤル>、<ルルア>と順にログアウトを見送って自分もログアウトした。

「くぅー、なんつーか凄い日だったな」

「ん?通知が凄いことに」

公式運営サイトの、コミュニティから莫大な通知が届いていた。

メッセージ:エルマさんが貴方の応援者になりました

メッセージ:モンドルさんが貴方の応援者になりました

メッセージ:─────────

「うおっ?!なんだと、コンシューマーの時代知り合い含めて400人くらいしか居なかったのに1200人だと」

ふと、今日のロイヤルの配信が気になり検索をかけると『人気沸騰謎の1位ランカーに迫る』というタイトルでLIVE配信されていたようだ、というかまだLIVEが続いている

「会う前提でタイトル決めるとかとんだ野郎だな」

配信に「センキュー楽しかったぜ」と送ってネットを閉じた。


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