Day1:強化したい。
新しく登録したオンラインゲームは装備強化が肝らしい。
何せ攻略サイトを見ても8割方が強化に関してなのである。
ただ、それに関しては今知り合ったばかりの露天商の意見はと言うと少し違うらしい。
「プレイヤースキルと見切り!それが世界大会に求められる強さだよ。」
とか偉そうに言っている。
断っておくが別段この人は強くない。
足軽みたいな丸胴鎧を裸の上に着こんで、遭難兵みたいな姿からして強そうじゃなかったし、
実際ここ始まりの街セレスにおいてですら決勝の舞台を踏んだことが無いと先ほど本人の口から
聞いたばかりだから彼が強者で無い事に関したはそれはもう疑いようもなかった。
「いや、世界大会どころか始めたばかりだから...
手っ取り早く武器強化したいだけなんだけど如何すれば良いの?」
すると露天商は分かりやすく揃えた両手の平をさし出した。
金...だよね。
はあ...とため息をつく。
ある所にはあるんだろうけど、実はゲームにかける費用は通信費用と最低限の月謝のみと
決めていたのでスタート応援パックとかいう最初に一度だけ半額に手入手可能なゲーム内通貨や
初期装備の入った有料アイテムを購入しなかったのである。
「金なら無い。」
すると、その露天商は「金も持たずに何しに来たんだと」でも言わんばかりの目で俺を見つめ...
...た気がしたのだが、実はそうでは無かった。
「兄ちゃん、仮想通貨のマイニングオプションを知らないのか?
可成りのCPU負荷を取られるけど端末でのマイニングを許可する代わりにログイン時間に
応じてゲーム内通過が貰えるシステムなんだぜ?
俺の周りの奴らは皆申し込んでるのに、本当に知らないのかい?」
なんと!そんなサービスがあるのか?
具体的にどのくらいCPUを圧迫するのか知りもしなかったが無料で貰えるのなら有難い。
さっそくそれを申し込むと何やら怪しげなプログラムがインストールされて動き出した。
さあ、これで明日からが楽しみである。
取らぬ狸のなんとやら、
明日から振り込まれるであろうギルの山を想像して興奮しながらベッドに潜り込んだ。
そして、はたと気付くと、モニターのスイッチだけOFFにしてそのまま放置した。