主役は遅れてやってくる 1
やっとの思いで教会に到着したら、礼拝堂のパイプオルガンがぶっ壊されていて、地下へ続く階段があったからそれを降りて行ったら、マーリオンが白◯プロジェクトに出てきそうなイケメン悪魔に魔法で攻撃されそうになっていた。
……なんだこれ。
今日だけで紳士やら賢者会議やらと色々なイベントがありまくったわけだが、ここにきて更にこんなイベントを積んでくるとは。
クソ運営め。
だいたいソシャゲというのは、バランスが大切なのだ。
ストーリーにゲームシステム、インフレしないようなゲームバランス、サウンド、グラフィック、やり込み要素、課金者が強くなりすぎないようなシステム、しかし課金したくなるようなコンテンツ。
つまり! ……ゲーム制作会社の人って大変だね。
っと、話がだいぶ逸れたな。
「カズフミ!」
声のする方を見ると、ボロボロになったエレナが希望を見たような顔をしていた。
……状況が分からなすぎる。
するとイケメン悪魔が、マーリオンに向かって
「おいそこの雑魚、死期が遠のいたぞ。よかったな」
と言って、俺に手を向けてきた。
「え……っと? つまりこいつが敵でいいのかな?」
俺が思わず動揺を声に出す。
「そうだカズフミ! こいつは――」
「俺は『七つの大罪』が一人、ルシファーだ」
俺の疑問に答えようとしたマーリオンの声を遮って、ルシファーがそう答えた。
「なん、だと……!」
思わずそんな言葉が口から溢れる。
そんな俺を見て、ルシファーは高らかに笑った。
「フハハハハ! 驚きで声も出せないようだな!」
その通りだ。驚きで声が出ない。
……まさかこの世界で地球にいた男のことを思い出すとは。
その男も、「俺は『七つの大罪』が一人、『傲慢の罪』ルシファーだ」とか言っていた。
「傲慢の罪」はなかったが、ほぼ同じようなものだ。
ちなみにそいつは友達がいなかった。
「巌窟の賢者の証をぶら下げているからどれほどかと思えば、大したこともなさそうだ!〈闇玉〉」
こいつは本物かもしれないが、それにしたってどうしても可哀想な視線を向けてしまう。
……いかんいかん。集中しないと。
「〈土の要塞〉」
ルシファーの放った〈闇玉〉が爆発して四散する。
「〈石砲弾〉」
そのまま俺は魔法を展開する。
とりあえずいつも通りの腕試しからだ。
「〈鷲獅子の咆哮〉」
〈石砲弾〉をルシファーの放った魔法が相殺する。
まあこれくらいはどうにかしてくれないと、本当に可哀想な「七つの大罪(笑)」になってしまう。
「さすが賢者、意外とやるようだな。そこらの雑魚とは圧倒的に違うのがわかるぞ」
「そりゃどうも。ところで今日はもう疲れたから、抵抗をやめて大人しく死んでくれない?」
「断る〈鷲獅子の羽矢〉」
ルシファーが鋭い羽を大量に飛ばしてくる。
「〈石弾乱射〉」
俺はそれを全て打ち落とした。
……それにしても鷲獅子か。
「七つの大罪」には、悪魔以外にそれを司る動物というものがある。
傲慢はグリフォン、憤怒はユニコーン、嫉妬はマーメイド、怠惰はフェニックス、強欲はゴブリン、暴食はケルベロス、色欲はサキュバス。
しかしそれは地球の話だ。
ここまで一致するのは偶然なんだろうか、それとも仕組まれたことなんだろうか。
「ふぅ……魔法戦ではラチが開かないな」
しばらく撃ち合ったあと、ルシファーが唐突にそう言った。
そして地面を蹴り、殴りかかってきた。
まあ近接戦でも負ける気はしない。
俺は近接戦の構えをとった。
「〈鷲獅子の爪〉」
俺に当たる瞬間、ルシファーの爪が鋭く長くなる。
「……っぶね!?」
俺はそれをギリギリで回避する。
いままで近接戦の攻撃に魔法を使ってくる相手がいなかったから油断した。
「オラァッ!」
ルシファーはバランスを崩した俺に、追撃を仕掛けてくる。
俺はルシファーの爪を大きく後ろにバク転して避けると、〈大地流動〉を発動して体勢を立て直した。
「〈鷲獅子の神速〉」
ルシファーの姿が一瞬で視界から消える。
「……っ! 〈石壁〉!」
背後から気配を感じた俺は、〈石壁〉を発動した。
その瞬間、
ガァァァァン!
という音がして、〈石壁〉が破壊される。
「…………っ!」
そして俺の背中が切り裂かれた。
マーリオンたちのバトルの後で、少しショボく感じる………




