↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/170

オールドリンデン 2

 

 人と人の出会いは一期一会と言う。


 つまるところ、出会いは大切にしろ、ということだがなかなかそう上手くはいかない。


 偏見から入るタイプの人間もいれば、相手を下に見ることから始めるタイプ、果てには相手を陥れようとして近づいてくるものまでいる。


 まあ結論を言うならば、人を見る目を養いつつ、一期一会の精神で生きていくことが大事なのだろう。


 ――――――――――――――――――――――――


「おいにいちゃん! 今肩ぶつかったよなぁ!」


「いえぶつかってないですが」


 全部避けたっての。隙間がないようで隙間空いてたし、〈大地流動(アースムーブメント)〉であんたらの間隔が無意識のうちに開くようにしてたし。


「うおっ! 肩の骨がぁ!」


「あー、これは完全に折れてやがんなぁ!」


「「慰謝料! 慰謝料!」」


 俺がすり抜けたルートにいた男が急にうめきだし、それに合わせて周りが囃(はや)し立てる。


 お前ら、肩の当たり判定広すぎだろ。

 どんだけ酷い当たり屋でも、当たってないヤツからは慰謝料取ろうとはしない。

 てか誰だ慰謝料って言葉広めた奴!


 しかし立ち止まってしまった以上、どうにか解決してから通るしかない。

 なにせ、今の一瞬のやり取りで、一気に囲まれてしまったからだ。

 ……ものすごい統率力に感服いたしました。


「聞いてんのか、あ゛ぁ゛ん?」


 さてどうしたものか。


 こう言う場合通報するのがいいんだろうが、警察とかもいないわけだ。

 かと言って周りに助けを求めようにも、増援が増えるだけのような気がしてならない。


 ……結果、解決(物理)になるのはしょうがないよな。


 なんて結論が心の中で固まったときだ。


「おーい、そこのあんたら、さっきから見てたら当たってない奴に金をせびるってのはどうよ」


 そんな声がかけられた。

 見れば眉目秀麗、筋骨隆々、端的にいえばイケマッチョ、な男が腕を組んで立っていた。

 腰には剣を差しているので剣士だろうか。


「なんだテメェ?」


「いやー……たまたま近道だったからここを通ろうとしたんだけど、目の前のお兄さんがうまーくみんなを躱(かわ)すもんだから面白くて見てたんだけど」


 見てないで止めてくれればよかったのに。


 男はそこで言葉を切り、腰の剣を抜いて構えた。


「まあこの場所を通る洗礼のようなものだから、肩でも当たったらそのまま通り過ぎようと思ってたんだけど……当たってない人から金をせびるようなら、このマーリオン・ローゼンス、相手になるよ?」


「………っ! 剣士が怖くて当たり屋なんぞやってられるか! テメェら、やっちまえ!」


 リーダーらしき男は一瞬引き腰になったが、それでもすぐに決意し、仲間をけしかけた。


「オラァァァァァァア!」


「死に晒せぇぇぇぇえ!」


「イケメンだからって調子乗んなよォォォォオ!」


 男たちは罵声と共に勢いよく突っ込んでいく。


「はっ!」


 それに対するマーリオンの対応は素早かった。


 一人目の男を横に体を逸らして避け、剣の腹でうなじを叩き気絶させ、間髪入れずに姿勢を落とし二人目のパンチを避ける。

 そのまま鳩尾(みぞおち)に一撃を入れて落とすと、三人目の喉元に剣を突きつけた。


「たったの三人ぽっちじゃ相手になんねえぞ? 全員でこいよ」


「っ! 調子乗ってんじゃねえ! やっちまえ!」


「「「「「「ウォォォォォオ!」」」」」」


 リーダーらしき男を先頭に全員がマーリオンを取り囲み、襲いかかった。


 ……えと、ありがたいけど少し申し訳ないから人数減らしておこうか。


「〈足場固定(セメント・バインド)〉」


「うげっ! なんだこれ!?」


「足が……動かねえ!?」


 単純にチンピラどもの足をセメントで固めてやっただけなのだが、超効果的だったようだ。


「ぐはっ!」


「つ、強い……強すぎる!」


「なんなんだこいつは!」


 その間に向こうも片付いたようで、男たちは全員伸びているか、屈していた。


 ……やりますなぁ。


「っ、ずらかるぞっ!」


 リーダーがそう言って、意識のある奴は全員撤退していった。


 ――――――――――――――――――――――――


「やあ、さっきは災難だったね」


「ありがとうございました」


 礼を言うと、マーリオンは手を振った。


「いやいやいいんだ。ただ成り行きを見ていた俺にも少し悪いところはあったしね。それに、君一人でも大丈夫だったろう?」


 あの戦闘の最中でも、俺が細工をしていたことには気付いていたようだ。

 セメント固め以外に、いつでも便利〈大地流動(アースムーブメント)〉で、マーリオンの戦いやすいように、チンピラどもの動きを誘導していたことがバレていた。


「君は冒険者かい? 俺はマーリオン・ローゼンス。見ての通りの剣士だ」


「俺はカズフミです。Cランク冒険者で、魔法使い。パーティじゃ支援役(サポーター)としてやってます」


「なるほどね、君と組んだら戦いやすそうだ」


 お褒めに預かり光栄です。


 そのままマーリオンにこの場所を抜ける案内をしてもらった。

 ……もう一つお世話になろうかな。


「ありがとうございました。ところで、助けてもらったついでにもう一ついいですか?」


「なんだい? 出来ることなら力になるよ?」


「冒険者ギルドに連れてって欲しいんです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。