第24話 本物のスコールの歓迎を受けた夜 その1
バンコク最終日の夜は、やや高級料理を食べる事に、だがここは海外。タクシーの運転手は一癖も二クセもある輩であった。
2009バンコク&ホーチミン研修記
第23話 本物のスコールの歓迎を受けた夜 その1
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宿に戻り、昨日同様着替える。
今までと比べて非常に短いバンコク最後の夜は、やや高級店での食事を楽しむ事にするのだった。
料理長が見つけた店は、“シンハービアパーク”シンハービールの直営店と言うことはわかるものの、どうしてもビアパークと言う名前になると、高級なイメージが湧かない。
今までの経験からでは、大抵野外のステージ上で民族舞踊か無名の歌手が歌っているところで、安っぽいテーブルと椅子に腰掛けて屋台風の料理を食べるというパターンだったので、店長は当初全く高級とは思わなかった。
だが、ビールも飲めるし、そういうところは大好きなので、特に異を挟むことなくそこに向かった。
ホテルからタクシーを呼んでもらうが、タクシーの運転手が良くわかっていなかったようだった。
日本の某お笑い芸人に似ているホテルのスタッフが、タイ語の地図を持ってきてくれて説明し、ようやく理解してもらったのでそのタクシーに乗り込んだ。
だが、この後タクシー運転手の資質を疑いざるを得ない行動に出始めた。
しばらく走ると、タクシーの運転手が「シンハービアー」とか声をかけてきたので、料理長が「イエス」とか言っていると、
道路上の途中にある全く無関係ない、海鮮料理の店の前に止めようとするのだった。
運転手の説明ではここでもシンハービールが飲めるといいたかったらしいが、
全く主旨を理解していなかった事に愕然とした料理長は猛抗議。
「ならばBTSがあるからそれに乗れば」と言うそぶりまで見せたが、料理長の不機嫌な顔に恐れおののいたのか、慌ててタクシーを飛ばす。
その後は、目的の場所であった、“シンハービアパーク”が見えてきてホット一安心。
タクシーにメーターの料金である65バーツを払おうとすると、何を血迷ったのか
「帰りの分もよこせ!100バーツをよこせ」と言い出して、その65Bを返そうとする。
ついに料理長が完全に爆発。
かつてベトナムで大喧嘩した時のように烈火のごとく「もういい!メーター通りに払って早く出よう」と言い残すと、タクシーの運転手を完全に無視をするのだった」
しばらく、大声を出して、車から出ようとするそぶりも見せたが、無視して店のほうに入っていった。
「帰りに待ち伏せして無いかなあ」料理長は少し心配していたが、今までの傾向では、そういうトラブルがあっても、わざわざ忘れていたガイドブックを届けに来る人もいたので、店長は余り気にしなかった。
恐らく日本人が相手なので、少し脅すとビビルので、金を払うという悪知恵を持っていたらしいだけのようであった。
メーターどおりにお金を払っている以上、こちらに正当性があるので、何も恐れる事は無い。
案の定、帰り際にはその運転手の影も形も存在していなかった。
気を取り直して、店内を見渡すと今までの
“ビアパーク”のイメージとは大きく異なり高級感漂う店内。
テラス席が空いていたので、そちらにすわり、とりあえずシンハービールのドラフトを注文する。
料理は、スープなど3品。抑え目にするのは、数件立ち寄る予定だからである。
店長は、スケッチブックを手に店の建物を描き出した。
ちょうど、正面にスタッフが2人待機しているので、それを書いて、別のスタッフに見せると、ここでも大うけ、指を刺しながら「これは○○と△△だ」などとスタッフどうして楽しんでいるのだった。
料理の味は、高級店のためかインパクトが弱まっており、「旨い!」という屋台のようなものではなかったが、決してまずくは無かった。
やや上品な味付けに感じるのは、屋台とは違うからだろう。
帰り際に料理長がトイレに行ったが、そこから戻ってきた時に、CD付の熊を買ってほしいという。
小さい熊で赤いマフラーをしているものであったが、どうしても熊と言う存在を無視できない2人は衝動買いをしてしまった。