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第17話 トンローとエカマイ その2

トンローエリアで、タイで最もリラックスできるひと時である古式マッサージを受け、身も心もリラックスした2人は、エカマイエリアで、ある人物に会うのだった。


”たった一度のチャンス”

そのことが大きく影響したのだろう。

タイ古式マッサージの店内に入ると、体が待ち構えていたかのように、うずき出す。

料理長はいつものように、ベテラン女性のノイ氏を指名した。

特に相手にこだわらない店長と違い、料理長は、相性のよしあしが非常に強く、ここバンコクのこの店では必ずといっていいほどノイ氏を指名するのだった。


マッサージの前には必ず足を洗ってもらう。

料理長は、トイレに行っていたので、店長が一人で、先に足を洗ってもらっていると、ノイ氏と思われる女性もやってきた。

向こうが店長を見て、「どこかで見たことが・・・」という表情をしたが、直後に料理長がやってくると、相手もようやく思い出したのか、嬉しそうな表情の笑顔になる。

料理長は、日本から持ってきた日本のお菓子(和菓子ではなく日本のメーカーが作ったチョコレート)をお土産に手渡し、いよいよマッサージを始めて貰った。

2時間の長時間、冷房の効いた涼しい部屋で、時折痛みを感じながらも、気持ちよさがそれを上回り、無意識のうちに浅い眠りに入るのだった。


マッサージは気持ちよく、睡魔との狭間で意識が混沌としている中、店長はいつも不思議な不安を感じるのだった。

いつもここを利用するときは、最終日の日中のことが多いので、いよいよ帰国しなければならないという意味での「不安感」がよぎるのかもしれない。

だが、今回はまだ旅の途中である。なぜそう感じたのかは良くわからなかった。

ただ、外は熱気と湿気に覆われた、アジアの大都会で、人の数も賑やかさも日本とは比べ物にならない活気があるのに、この場所では全くそのようなこともない。

ということは、ここは、バンコクらしくない静けさに包まれた空間だからなのだろうか?


2時間は、長いようで短く過ぎ去り、終わってみれば、硬い肩や足の太ももが柔らかく軽くなっていた。

ただ、よほど硬かったのだろう、いつもなら最後に行うストレッチのようなものが省略され、ホグスほうにすべての時間を費やしてしまったらしく、それだけ体が硬直している証拠でもあった。


マッサージを終え、温かいお茶を頂き、清算とノイ氏と店長のマッサージを担当した男性のマッサージ師さんに”チップ”を手渡すと、店の前で記念撮影を行った。

これは、帰国後わかったことであるが、以前もノイ氏との記念撮影をした写真が残っているが、表情などが少し変わったように感じた。

これも2年の月日がなせる業か?


次の約束の時間まで30分あった。

そこで人と会う場所であるエカマイはトンローの隣なので、歩いても十分間に合いそうだったが、「余裕を持ったほうがいい」と料理長の意向でタクシーに乗り込んだ。

駅としては隣ながらも、そこからソイ・エカマイという通りからしばらく奥にあるので、待ち合わせ場所の少し手前にある “ビックC”というスーパーマーケットまでタクシーで案内してもらった。


“ビックC”は、馴染みが深く、チットロムにあるお店は、毎回最後の買付けに立ち寄り、今回も最終日はそのつもりであった。

ここ、エカマイの店はやや小ぶりであったが、日用品はほとんど揃っていたので、料理長が主に洗面道具を購入した。


ビックCの入っている建物は、他に飲食店街が揃っており、中には日本にある某チェーン店まで存在していた。


店長と料理長が交代でトイレを済ませた後、いよいよ待ち合わせの場所へ。

ここは、エカマイ地区の中でも高級住宅地のエリアで、庭付きの如何にも高そうな住宅がひしめき合っている中に、そのお店が存在した。


このお店は、東京にある某タイ料理のチェーン店が経営している会社が中心となって作ったお店で、庭付きの邸宅のようなお店。隠れ家を意識しているようであった。


昨年は、結局1度も海外研修を実施できなかったのであったが、その代わり東京へは4回も行っていた。


最初は1月に東京のアジアごはんの現状を見に行き、そこで偶然見つけた気になる店を調べていくうちに料理長のかつての仕事であるライターとしての闘志に火がつき、そのまま企画を提案すると了承された。

そのため東京でのアジア料理の現状を取材する事になり、5月と6月に東京に向かった。

このときの取材で、勢いのある非常に元気のいい社長さんたちのインタビューを実施できたのだった。

その社長さんたちの話に対して、大きな影響を受け、結果的には本業である店の勉強にもつながったのだった。

その成果こそ、この海外研修が可能になるまで店を盛り返す事が出来たのであった。


今回、バンコクに行くという事で、それらの会社の社長さんたちとのつながりを求めて、料理長が打診した。

その結果一番気になった、バンコク在住の社長さんとは残念ながら都合が付かなかった。

しかし、他の会社の担当者から、現地で作った店なので、是非見て欲しいとの打診を受けたので、アポを取って、会いに行く事になった。


2人が、その店の中に入り、入口のタイ人に事情を説明すると、ものの1・2分もたた無い間に、ネクタイを締めた日本人の男性が現れるのだった。

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