第10話 暁の寺とチャイナタウンとピンクのシャツ その1
飛行機は、ベトナムHCMから予定通りタイのバンコクに到着。ベトナムを遥かに越える猛暑の中、2人はホテルに荷物を置くと早速外へ歩き始めるのだった。
飛行機は、タイのバンコクに向けて順調に飛行しているが、気が付けば周りは日本人だらけであった。
航空会社によっては意図的に日本人を一つの所に固める傾向があるらしく、ベトナム航空も、その考えだったのかもしれない。
だが、海外で見知らぬ日本人に遭遇するとどうしても、過剰に意識してしまった。
それでも良かった点として機体が最新のようであった。
画面上で今どのあたりを飛んでいるのかということを、繰り返し流していた。
ただ、今まで見た事の無い、立体で表したりするのを見ると、「早くバンコクに着かないかなあ」と妙な期待が膨らんできた。
ちなみに機内食は、パンと水の可能性も感じたが、一応国際線だったので軽いものが出された。
店長は、今までの行程をノートに書き写し、しばらくしていると、あっという間にタイのバンコクに近づいてきた。
当たり前だが、何の問題も無く着陸したものの、店長は少しつまらなさを感じた。
なぜならば、昔、ベトナム国内線であったが、多くの学生が後ろに乗り込んでいた便の出来事を思い出すからであった。
その時の便もこの日同様なんら問題なく目的地に着陸したのだが、その瞬間、後ろからいっせいに拍手が巻き起こったのだった。
横で料理長が、声を出さずに大爆笑したシーンが今でも頭から離れず、「もうあんなシーンは見られないだろうなあ」と自問自答をしながら、店長は棚から荷物を降ろすのだった。
バンコクのスワンナプーム空港に到着し、改めてその空港の広さを痛感する2人。
無事に入国審査を終え、預けた荷物をあっさり持ち込み、ゲートを出てガイドを探すも良くわからない。
相手が名前を呼んでくれたので、ようやくガイドと出会えたが、車を乗るところで、別のガイドに引き継がれた。
車に乗り込み、空港を後にした時、ベトナムとの大きな違いに、2人は少しの衝撃を受けるのだった。
それは、風景などではない。それは前からわかっているので、ベトナム・HCMとの街の大きさの違いは何度も見せ付けられている。
実は、ガイドの対応であった。細かく注意事項を説明してくれたベトナムのガイドと比べ。
こちらは、非常にあっさりしていて、注意事項の紙を渡すと。
「あっインフルエンザのことね。あれ、タイ関係ないから」この一言で全て終わってしまった。
別に細かい話を聞くのも辛かったが、余りにもあっさりしているので思わずあっけに取られる2人。
車窓からは、まもなく開通する空港との連絡鉄道の高架がまっすぐに伸びているのが伺えた。
高速道路はスムーズに進み、30分ほどでホテルの近くへ。
ここは、タイ国鉄のマッカサン駅近くにホテルがあったので、偶然にも錆びたSLなどを目撃する事が出来たのだった。
ホテルの名は“バイヨークブティック”隣のバイヨークスカイホテルが有名で、ランドマーク的なものに対して、こちらは古いホテルを改装して、内装も従業員も“アート”っぽく感じたが、部屋の中に入り、よく見ると
古いホテルの名残がところどころに感じられるのだった。
荷物をまとめ街に出るが、ここで料理長の機嫌を損ねる事になってしまった。
場所を把握せずに出てしまったため、今どこにいるのかわからず、予定が立てられないという。
ついつい早く街に出たかった店長と少し険悪な雰囲気になったが、ホテルの前の服の屋台の雰囲気はそれを覆ってくれた。
大通りを歩くと、遠くにスーパー “ビックC”の看板を発見。あのあたりがBTS(スカイトレイン・バンコク市内の高架鉄道)のチットロム駅である事がわかった店長は、とりあえずその方向を目指して歩いた。
通りの歩道には、ベトナムの比では無い強力な日差しを覆うかのようにテントとさまざまな雑貨の屋台がひしめき合っていた。
日差しは防げるものの、多くの人が通るので蒸された状態になり、これも結構厳しい。
ベトナムで多くの靴下を駄目にしてしまった店長のために、料理長は3足入り100B(300円)の靴下を早速購入するのだった。
大きな交差点に差し掛かり、向こう側に渡る事ができない。しばらく歩くとエスカレータ付の陸橋を発見。
それで大通りを横切ると、そのままファッションビルの中に吸い込まれ、ようやく涼を得る事が出来たのだった。
ファッションビルはそのまま先まで繋がっていると思っていたが、それは大きな勘違い。
一旦外に出て、再び暑い日差しの中でチットロム駅を目指した。
途中運河があり、橋を渡る。ちょうどタイミングよく気持ちよさそうに、運河を走り抜けるボートを目撃した。
運河を越えると、そこは伊勢丹を含めた巨大なショッピングビル。
目の前では、タイフェスティバルを思い出させるような屋台が並んでいて、煙を立てて魚や鶏肉を炭火で焼いているのを見ると、ついつい手が出そうになるのだった。




