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第4回「科学の力で創った機械迷宮はまとめを構築できるだろうか」

「5位! 追放された機械工師のダンジョン要塞化計画 ~科学の力で創った機械迷宮は超鬼畜なSSランクダンジョンへと変貌する~」

「追放、ダンジョン、SSランク」

「鬼畜」

「なぜその単語に引っかかった」

「いや、つい」


 昔、鬼畜王ランスというエロゲーがあった。

 残念ながら、二人の少女はそれを知らない世代である。知っていても困る。


「ともあれ、いくつかのホットワードが織り込まれていて、興味のある人を引きつける内容になっているね」

「剣と魔法が主流のハイファンタジーに機械を持ち込んできたかぁ。いいよね。機械文明と魔法文明の両立とか、ロマンだよね」


 ただし、科学と魔法の両立を物語上で再現するのは非常に難しい。

 あまりにも代替理論として優秀すぎるパターンが多いためだ。

 結果として、科学技術か魔法技術のどちらかに偏重する傾向は否めない。


「あらすじを読むと、それでも魔法学が主体の世界に忌み嫌われて、パーティーを追放される旨が書かれている」

「機械の何がいかんのですか。天皇機械説!」

「それは天皇機関説。危ないところを突いてくるのね」


 美濃部達吉は知っておくと得をする。テストとか。


「心はいつだってサイドバイサイドだもの。ダンジョンフェアリーって単語は新鮮だなあ。この物語がSSランクダンジョンをメインとして進むのがよくわかる。それでいて、自分を追放したパーティーへのざまぁ要素もありそう」

「やっぱり、ざまぁって大切なのよ。アスカはそこを避けているからダメなの。ダメダメなの。わかっていて避けているからなお悪い」

「すごいディスられ始めた。耐えられない。キトカしよ……」


 おもむろにチョコレート菓子をかばんから取り出すアスカ。

 この動きにはカレンも呆れ顔だ。


「リスカじゃなくてキットカットとは恐れ入った」


 一方、ファミリーパックの個別包装を開け、もぐもぐと糖分補給に勤しんでいたアスカは、突然に目を見開いた。


「あっ、わかった! 考えてみたら、暗殺者、アサシンってことはシリアじゃん! スィナーンじゃん!」

「ニザール派のラシード・ウッディーン・スィナーンね。というか、まださっきの暗殺者にこだわってたの?」


 スィナーンは暗殺教団伝説や山の老人伝説のもとになった指導者だとされている。

 イスマーイール派ならびにニザール派を代表する人物といえ、第3回十字軍と戦ったことで名高いサラディン、サラーフッディーンの命を狙ったこともあるという。


「いやあ、暗殺。この単語は魅力的で心を掴んでさぁ。アサシンクリードでもそうだけど、何かこう、乙女心を引き寄せるのよね」

「暗殺に心奪われる乙女もどうかと思うけど」

「アサシンものを書くなら十字軍との絡みも書きたいな」

「歴史カテゴリで書いてみたら? 私が『歴史群像でやれ』って感想を書いてあげるから」

「ディスるんかい!」


 アスカが手の甲でツッコむ仕草を見せた。

 しかしながら、彼女の本質的なソウルはボケである。ツッコミはそのテンションにあまりにも似合っていない。

 まるでボケとツッコミが逆だったころのお笑い芸人オードリーのように、歯車が上手く回らない。


「というわけで、総合5つ、ひいてはハイファンタジー5つを見た。ここからちょっとヒットしそうなものにしたい」

「大事な大事なパクリ&魔改造タイムだ。スクラップ&ビルドの本領発揮だぜ。うーん、外れスキル『料理』が進化したら激ヤバスキル『暗殺料理』になっちゃいました、とか」

「一昔前の料理下手ヒロインの属性みたいね」


 なぜか、そういうヒロインに限って料理を食べないと泣いたり怒ったりする。手がつけられない。


「暗殺スキル『名前を呼んだだけで死ぬ』ですべてのダンジョンを攻略する」

「デスノートとコードギアスを足して10倍くらいに希釈した感じがする」


 真の名前を巡る意味では他の創作の影響も指摘されそうだ。


「私のスキルがこんなに可愛いわけがない。~胃袋が9999個あるおかげで毒入り料理を食べ放題~」

「それはもうただの化物では」


 牛もびっくりである。何重でも反芻ができるだろう。


「ええい、このカレンめ! お主も野党なら対案を出せい、対案を!」

「ダンジョン建築士、努力チートで神級ジョブ鏖殺迷宮建築士へ進化する」

「もう今回の原型ないじゃん……」


 どうやらランク上位作品を作るのは、まだまだ険しい道のりのようだ。

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