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ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆  作者: フォーシーズンス
 第一章 〜【春コス】ボーイミーツガールズ編〜
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 七☆【後編】ある日の放課後……新しい世界?……薄いピンク……。

 薄いピンク……。


 なゆりと楓と柚葉の着替えの為、コス部の部室から出され廊下で一人待つコウ。部室から楽しそうに着替える三人の声が聞こえてきた。


「あ!なゆり下着薄いピンクでひらひらあって可愛いー!ちょっと見せなさいよ」

「えぇぇ!ちょ……ちょっと言わないでよ!もう……しおんの方が可愛いよ……」

「ちょっと楓ー!何であんたはまた全裸で走り回ってるのよ!」

「うしし〜楽しいから〜!なゆね〜ゲ〜ッッッツ!あ。なゆね〜の胸やわらかい。ねぇ。なゆね〜も脱げば?」

「どうしてよ!このメイドのもまだ恥ずかしいんだから。裸になるのはできないよ……」

「でも昨日は裸エプロンもやったじゃない」

「それは強引にしおんが……」

「おーーい。柚葉ー。わざと聞こえるようにやってんだろ?」

「ふふん。そうよ。退屈かなぁと思って。さっきのお返し〜。想像して興奮でもしちゃったの?」

「ええ。もろに。逆になんか脳裏へのサービスショットあざっす!てか早く着替えろ〜開けるぞ〜」

「え!開けないで!」

「い〜よ〜!」

「殺すわよ!」

「あはっ、お前ら会話聞いてるだけで誰だかわかんのな。楓ー!答え間違ってるぞー」

「に〜なら見せてもい〜よ〜!」

「よーし!なら今度二人きりの時に頼む!」

「うしし〜」

「ちょっとあんた!楓の合意の下でも息の根を止めるわよ!」

「うーむ……暴君め……」


 それから数分後……楓が楽しそうな笑顔で扉を開ける。


「に〜おまた〜」

「よし!では行きますか!」


「「「おー!」」」


 また校内を移動するメイド三名と……制服一名。


「あら?そう言えばあんた着替えは?」

「おれを見くびるな。えんじぇるに既に置いてある」

「何よ。なんかシャクだわ」

「そんなことはない。これも一つの宣伝活動とも言える。何なら旗でも持つか?」

「それもそうね。あ、そうそう、わたしこれつくってきたのよ。ネームプレート。どう?」


 ハートの形をしたピンクと薄いピンク色で作られ、よく見るとドットとストライプまで使ったかなり凝ったプレートだ。


「凄い!とっても可愛いわ」

「しおんさすがやし〜!あちしのもある?」

「当たり前じゃない。はい。これよ」

「柚葉。それ、あと二、三枚作れるか?」

「てことは……そう言うことよね?差別化を図ろうとしたんだけど……」

「昨日な、あれからマスターと話をしたんだ。おれはマスターもあの店も好きだ。ナンバーワンではなく、皆で力を合わせ今までの売上のかなり上のノルマを目指すことになる筈だ。その方が柊の性格上やり易いだろうしな。実はおれも争いは好かない。出来ることなら皆で楽しくやりたいんだ。その方が皆も楽しめると思うぞ」

「桐宮くん……」

「あとは……楓。おれはどこにも行かないし、おれの妹はお前だけだ。だから心配するな。勘解由小路とは仲良く出来るか?」

「んー。うん。に〜がそう言うなら……できる……かも」

「よし。楓はやっぱり良い子だ。ありがとな。一緒に頑張ろう。柚葉は問題無いか?」

「あんたが考えた末に出した答えなんでしょ?聞くまでも無いわ。わたしね……少し前にわたしの一番大切なものを失ってしまったの。もう出来ることなら何も失いたくないわ。わたしはこの部を廃部にさせたくはないの……」


 いつの間にか立ち止まり輪になり話をしていた。


「でも……部員も少なく、何をしてるかも分からん部活動をこのままにしておく訳にはいかないと言われたわ。そして何ができるかと聞かれたから、わたし達が本気になれば何だって出来るわよと言ったの。そしたらえんじぇるを活気付けてみよと言われたわ。だから私はそれなら喫茶店をメイド喫茶にしてわたしがナンバーワンにでもなれば文句は無いかしらと言ったの」


 とても柚葉らしいやり取りだ。


「それで強引にあなたとなゆりを誘ったのよ。なゆりには即戦力として、あなたにはその話術や知恵を活かして私たちをサポートして欲しいと思っていたの。あなたの話術に気付いたのは最初に会った時よ。あなたの話しは不思議と心を動かされるトコがあるわ。わたしはそれに賭けてみようと思ったの。そんなところに丁度体験で二人が来た。わたしは運命を感じたわ。既にあなたの采配が大きくこの部を動かしている……予想以上の好転よ。これからが楽しみだわ」


 希望に満ちた面持ちで話す柚葉……

 いつに無く真剣な面持ちのコウ。柚葉の本心は初めてだ……失ったものの詳細が気になるが、ここでは触れずにいた。


「おれはこの部が今、きっと誰よりも好きだ。急に暑苦しいほどに熱意を表し始めた理由は……そうだな。昨日マスターと話した時にマスターのあの店に対する純朴な熱意を聞いた。その熱意を聞くことなったきっかけを作ったのはおれのこの部に対しての熱意だった。おれは何が何でもこの部を守りたい。その思いを素直に伝えた。マスターに部の存続の条件の変更を校長に掛け合ってっもらうように言った時にマスターは任せろと言ってくれた」

「そう。それなら問題は無さそうね」

「よし!色々と目的や目指すゴールがはっきりしてきたぞ。先ず今日はまた柚葉に撮影係になってもらう。勘解由小路メイドをホームページにUPしなければならないしな……それとメイド全てとマスターを含めた合同ミーティングを行う。小道具や衣装や配置、新しいメニューや、イベント企画についての話し合いだ」

「らじゃー!」

「なんかそれらしくなってきたわね」

「ふふ。面白そうだろ?あとは結果が出るように策を練り、出来る限り世の中をえんじぇる中心に回す!」

「私。凄く楽しみだわ」

「よ〜し。そうと決まればれっつご〜!」

「あっはは。待ってよ楓ー!」

「なゆね〜早く〜」


 走り出した楓を追いかけるなゆり。その後からしょうがないわねと言う顔で柚葉がゆっくりと追いかけて始める。


「それと柚葉……」


 周りに気を使い耳打ちをするコウ。


「失くしてしまった一番大切なもの……今度探すのを手伝わせてくれ。もう他人な気がしないんだ。お前のことだから、強気に断るわとか言われそうだけどな。おれはもう決めたからな」


 コウはそう言った後に柚葉に視線を向けた。驚いた顔をしていたが直ぐに視線を逸らし肩を竦めた柚葉の大きな瞳に輝くものが見えた気がした。


「うん……」


 蚊の鳴くような小さな声でそう言って逃げ出すように楓達の方へ行ってしまった……


「はは。引かれちったかな……」


 と、呟いたコウの後ろ姿は寂しげだった。


「これくらいでおれはめげんぞ。うん……って言ってたしな」



 数日前まではパラレルワールドを望んでいたコウも今はこの世界が続くようにと願っていた……

 柚葉にも苦悩が在るのだろうか……

 柚葉から見たこの世界は楽しいものなのだろうか……


 柚葉は理解不能な感情に戸惑いを感じていた……。



 星と月と太陽から産まれた子★



 四★感じる波長


 月の子は考えていた……

 どうしてだろう……

 ふと同じ言葉を同時に喋り出すことが多かったり……

 無言の時間だって気にならない……

 まだ会ってそんなに月日は経っていないのに……

 そんな感覚を月の子は太陽の子へ感じていた……。


 ある日、月の子は太陽の子に聞いてみます。


「僕たち前にあったこととかあるのかな?」

「いいえ。無い筈だけれど……どうかしたの?」


 月の子はさっきまで不思議に思っていたことを打ち明けました。すると、


「まぁ……口説き文句みたいね」

「いや、そんなつもりじゃ!」


 月の子は顔を赤くして否定をしていると、


「フフッ。ごめんなさい。冗談よ。でも私も不思議だと感じていたの。あなた達といると心が踊りだしたり、歌いだす……あ、あれ……何だろう?これ……」


 太陽の子の頬にはたくさんの涙が流れ、ぽたぽたと落ちてゆきます。月の子は戸惑いながら、


「大丈夫?急にどうしたの?どこか痛いの?」

「わからない……それが……わからないの……」


 ただただ流れ続ける涙を見て月の子はとても純粋な綺麗な涙だと感じていた……

 きっとそれは太陽の子の奪われたものに関係している気がする……


 月の子は決心をしました。


「前に聞かせてもらった話、もう少し聞かせて欲しいんだ。ああぁぁ!大丈夫!話せる部分だけでいいから……」

「う、うん……わたしね、魔王に大切なものを奪われてしまったの。取り戻す方法はあるんだけれど、その魔王を消滅させなければならないの。魔王は魔術の中に住み、悲しみに囚われた人が悲しみを振り切れずに、心を食われ邪な王となった存在なの」


 助けたい……そんな思いしか浮かばなかった月の子は約束をします。


「僕は身体を鍛えているし、君を助けたいんだ!諦めたらそこから何も進まない!何も戻らない!そんな理不尽あるかよ……大切のなものなんだろ?取り返したいんだろ?僕はそんな力に屈しない……だから魔王は必ず僕が倒す!そうしたら君の奪われたものは元に戻る!」

「倒すなんてとても無理よ。きっと敵わないわ!」


「やってみないと分からない!何もせずに諦めたくはないんだ!だからもう君は何も心配しなくていい!!ちくしょう……」


 叫びに似た思いを気づけば発し続けていた。その感情の爆発は、月の子の中の何かを破壊したかのように熱い涙に変わり、外へ流れ出していた。

 月の子が太陽の子に気付かれないように空を仰いだのを、太陽の子は気付いていたが気付かぬ振りをして答えた。


「ありがとう……ごめんなさい。本当にありがとう……」


 太陽の子は理由のわからない涙が止まらなくなりました。


 ただただ流れ続ける涙を……

 膝を抱えながら、あまり見られないように顔を伏せていた……

 どれくらいの時間が経ったのだろう……

 あれから何も言わずに君が側に居てくれただけで……

 横たわることなく、涙が枯れるのを待って居られた……。


「わたし、どうしちゃったんだろう……涙なんて、誰にも見せたことなかったのに……」

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