二十二☆【中編(上)】犬なの?クマなの?……忘れないよ……。
あざとさプラスアルファー……。
本当に嬉しそうな顔で答えを待つなゆり。
「うーん。とりあえず見てて。ラモル!動いていいわよ!この子はわたしの親友だから大丈夫だから」
親友という言葉が嬉しくて、またまた動揺を隠せないなゆりが照れながらもじもじして答える。
「う、うん……」
するとラモルがキュートに動き始めた。上目使いなどしてあざとささえ感じる動きだ。柚葉がなゆりの反応とラモルの表情を冷静に観察している……。
「あー動いた!本当だ〜可愛い〜ぃ!」
ラモルが少し照れているように見え、嫉妬心が芽生えた柚葉が苛立ちながら問う。
「あんた!顔赤くないかしら?浮気ね。ありえない……」
「違うよしおん!これは不可抗力だって」
「えー!本当に喋ってる!しかも不可抗力って言葉まで知ってて凄〜い!」
「しおん。僕は人見知りなんだ。恥ずかしいって」
悪ふざけで冗談交じりに話していたが、ラモルが可哀想になり素に戻り冷静になる柚葉。
「あぁ、ラモルごめんね。そっか。なゆりにも聞こえたか。動いたのも見えたんだもんね」
「うん。でも、この子どうしたの?」
「それがよくわからないのよ。なゆり!このことは内緒にしてほしいんだけどいい?」
「勿論いいわ!」
「ありがと!そろそろ遅刻しちゃうんじゃない?」
「本当だ。急ごう。でも可愛い〜いいな〜」
「うーん。わたしも最初は驚いたんだけど、今はずっと一緒なの。ただみんなにこのことがバレてしまったらきっと大騒ぎになるから、ラモルに外では動いたり喋っちゃダメって言ってあるの」
「それはそうよね。気を付けないと……」
校舎に入り、教室に入り席に着く柚葉。なゆりもラモルを守りたい一心でラモルを気にかけていて、ギリギリの時間まで柚葉と話そうと柚葉のクラスに遊びに来ていた。すると偶然にコウと邦正がやって来た。
「おっすぅ〜なんか二人最近かなり仲良い気がするんですが〜。朝から柚葉のクラスに柊が来てるのって珍しくない?」
「おはよー柚葉ちゃん。柊さんもおはよー」
「いいの〜。あーおはよ!」
「いいのいいの〜ふふ。邦正くんおはようございます」
楽しそうに答える二人が目配せをしている。
「何〜この朝一からのアウェー感……まあいいですよー」
柚葉が思い出し多少いじけているコウに尋ねる。
「朝一からわたしのとこに一緒に来たりして何かあったの?」
「この前話していたのの作戦会議でもしようかと思ってね。でもまた昼に屋上での方がいいっしょ?」
「そうね。分かったわ」
「はーい」
「あ。楓にも言っといて〜まぁ言わなくても屋上くると思うけど」
「了解〜」
そう言って二人は自分のクラスに戻った。なゆりはラモルのことが気になって仕方がないようだ。それに気付いた柚葉がしおんに耳打ちをする。
「ちょっとなゆり!見過ぎよ!」
「あ。ごめん。そんなつもりじゃなかったんだけど気になって」
「またラモルが緊張しちゃったらどうするのよ!もう朝のことは一旦忘れなさい!」
「うん。そうする。あ、チャイムそろそろだ。またね〜」
そう言って開始のチャイムの前になゆりも自分のクラスへ戻った。
柚葉は授業中でもラモルが見える位置にバッグを掛けた。
授業中、ラモルは柚葉以外誰も自分を見ていないことを確認してから、鼻をほじるフリをしたり、変顔をしたりして柚葉を笑わせようとする。その度に柚葉は頬杖をつき、時には手の平で顔を隠し、密かに吹き出し笑っていた。
今日はそんなギリギリの笑いを楽しんでいるからか柚葉はいつもよりもとても明るかった。
お昼になり柚葉は急いでお弁当をもってなゆりを迎えに行こうと準備をしていると、なゆりが今まで一番早いタイムで柚葉を迎えに来た。
「しおん〜!」
「わぁ。あんたどんだけ早いのよ」
「だって気になっちゃって。大丈夫だった?」
「うん。あれ?楓は購買?」
「そう。先行っててって」
「てか聞いてよ〜。この子授業中鼻ほじったフリとか変顔して笑わせてくるの」
「えっ!凄〜い。私も欲し〜い」
「ダメよあんたにはピアノがあるでしょ」
「えー!じゃあしおんだってカメラとかあるじゃーん。ずるいよー」
「上手くごまかせるかと思ったらやるわね」
ここでラモルがまさかのぽろっと発言。
「貸してあげればいいじゃん」
「あ、あんたねぇ……そんなことわたしが許すと思うのこの浮気者ラモル!」
「冗談だよ。人見知りしちゃうから絶対無理だもん。しおんがやきもちをやいてくれるか言ってみたんだよ〜」
「あんた。どんだけ駆け引き上手なのよ」
「上手くないよ。しおんと話すのが大好きなだけだよ」
柚葉が冷静に処理しようとしているが、顔がほころびにやけてしまう。
「うーん。可愛いから許す」




