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ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆  作者: フォーシーズンス
 第一章 〜【春コス】ボーイミーツガールズ編〜
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 六☆【後編】喫茶……えんじぇる……道しるべ……。

 翌日の校内昼食にて……


 先日に邦正へ送っていたデータも早速ホームページ内で確認できるようになった。一睡もしていない邦正が今日だけは妙に輝いて見える。


「一応できたから目を通しておいて。編集必要だったら言ってね。あ。あと、僕にねぎらいの言葉とかは無い感じかな?……」

「え!もう出来たの?何なの?オタなの?」

「あれ!?こう!なんか強めのツンデレいるよ!」


 予想外の当たりの強さに今にも逃げ出してしまいそうな邦正。


「お〜!すご〜!に〜みして〜!」

「邦正さん!ありがとうございます」

「邦正!おまえ流石だな。恩にきるよ。最初のツンデレは気にするな。イレギュラーだ」


 疑惑の表情の邦正。


「えー。イレギュラーの割に結構わたしの日常です的な視線や振る舞いだったよ?」

「大丈夫だ邦正!人はなんだかんだ強くできている。そのうち免疫がつくし、極稀にデレて頬を赤く染めた時のギャップは想像以上にパないからそっちを逆に気をつけろ!」

「うー。わかったような。わからないような……」

「あー!私、花音[かのん]って名前になってる」

「え〜に〜あちしは〜?」

「心愛[ここあ]だ」

「へ〜。気に入ったかも〜。うしし〜」

「ね。楓の可愛い」

「何よそれ。面白いわね。わたしは?」


 どや顔で答えるコウ。


「ジョセフィーヌだ!」

「何それ……落ちじゃん」

「おまえっ!世の中のジョセフィーヌさんに謝れ!!もしかしたら向こうの言葉で愛してるみたいな感じの素敵な意味とかが込められてるかもしれないだろ!」


「そうなの?」


「わかんにゃい」


「わたし……帰る!」

「おい!待て!嘘だ!偽りだ!茶番だった!よく聞け!おれはお前の源氏名を一番最初に思い浮かべたんだ。親しみ易い呼び名はコミニュケーションの中でより良い関係値を作るのに必要不可欠だ!この話題性があるネーミングを活かせるのは突っ込みレベルが高く、イレギュラーな呼び方をされた際のリアクションの引き出しが多数ありな柚葉!おまえしかいない!言うなればおまえはこのメイド喫茶で一番に輝く宝物なんだ!!!」


 コウの脳内の声……話題性って意味でね……んふっ。


「うーん。言われてみれば。そんな気もしなくはないけど……」

「柚葉!おまえは可愛い!しかも何でもできる!そこに止めの高貴な雰囲気まで合わせ持っている!その完璧さでは一般市民には敷居が高過ぎるとは思わないか?そこに唯一無二の最適なスパイス!ジョセフィーヌを入れた!これは決して安易なネーミングではない!緻密に計算した上での戦略的ネーミングなのだ!!」

「もう。そんなに大きな声で褒め讃えられると、困るじゃない。わかったわ」


「すまない。ではよろしくな。ジョセフ」

「……やっぱり帰る!」


 楓が笑い転げている。なゆりはこのまま突き進んで大丈夫?みたいな表情だ。


「だああぁーん!そこはいつもの多彩な表情を持つ、ド○えもんを越える程のユニークセンスを持った突っ込みのポケット!いや、引き出しを開けるところだ!!はぁ、はぁ……」

「わかったわよ。あ、この隣の『・エル』ってあるけど?」

「苗字をつけるやつも多いからな。おまえだけ特別にファーストネームとセカンドネームを作っておいた」


 コウの脳内の声……凄くイヤがられた時用にね……んふっ。


「わたし。エルだけの方がいい」

「そしたらー。可愛いしぃー。スタイルいいしぃー。何でもできるしぃー。高貴な雰囲気だしぃー。ちょっと……完璧過ぎちゃう?」

「じゃあどうすればいいのよ?」

「だーかーらー![ジョセフィーヌ・エル]だってぇー!」

「あんた。わたしで遊んでるでしょ?」


 顔をぶるんぶるん横に振るコウ。邦正は笑いを抑え止める限界はそろそろらしく、顔を弁当箱で隠しつつ、肩を小刻みに揺らしている。なゆりはいい子なので、もうやめたげてよ的な表情で、楓は普通にケラケラ笑っている。ここでSっ気全開になってしまったコウが止めを刺す。


「お腹に誓います……邦正の!」

「ぷはっ!何でここでおれに降るんだよ!こう!」

「あんた今わたしに対してのぷはっ!なわけ?」

「それは聞くまでもないぞ。ジョセフィール!」

「ぷはっ!こうおまえもうやめろって!」

「あんたまたぷはっ!したわね!」

「お!ツンデレの最新のツンフレーズが生まれてるな!あはっ!ウケる!」

「きゃはは!に〜やめれ〜もう。あたし笑い過ぎてお腹いたい〜」

「もう。桐宮くん。しょうがないんだから……」



 こんなに笑ったり楽しめてるのは久々だ。そうだ……きっと涙は道しるべだ。


 こっちが前だと……進んで行けるようにと……

 僕等に示してくれる。

 泣かないように泣かないようにと気持ちを誤魔化して……

 喜怒哀楽を表現しきれずに……

 本当の気持ちを抑えて、隠して、偽って、フタをして……

 やがて、好きなモノも嫌いなモノまで曖昧になってしまっていた。


 そうか。だから自分が見えなくなっていたんだ。


 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ……

 心が揺れ動くところに『自分』がある……

 『自分』から見えるところに必ず進むべき前がある……

 弱すぎる自分をみつけても……それはその時点の一つの結果だ。


 そんな自分を認めて……受け入れた先にこそ……成長や改善の兆しはある筈だ。


 もしも、辛過ぎて今は何もできなくても……

 それは以後、永遠にできないとは限らない……

 最悪は見つけてからならまた、隠すことだってできる筈だ。


 そしてまた分からなくなったら心が揺れ動く方へ向かえばいい。


 恐れるな!怖がるな!負けるな!強がるな!涙を探せ!!


 そうだ……涙は……「「「道しるべだ!」」」

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