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ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆  作者: フォーシーズンス
 第三章 〜【秋コス】学園祭編〜
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 十九☆【前編(上)】楠高祭……誇りの大翼……。

 楠高祭開始数分前……。


「えーと。柊が花音『かのん』で……楓が心愛『ここあ』でしょ。そんでちぃがちぃで……ん?あー。元は杏って名前だったのね。もうちぃの方が勝っちゃってるのね」


 コウが名付けの親に大変失礼なことを呟いている。源氏名を覚える為に頭の中を整理中のようだ。


「それからえーっと……みうママが純恋『すみれ』で……柚葉がジョセフィーヌ・エル……ジョセフィーヌ・エル……ジョセフィーヌ・エル……んふっ」

「コウ?んふって何なのか言ってみなさい」

「いえ。本番前に言えましぇん……んふふっ」


 精一杯に平静を作ろうとしてるが、表情がぎこちなく引きつってさえいるコウ。隠せない気持ちが溢れてしまっている。


「そうね。しかもまたんふふって。面白いわ。楠高祭終わってからゆっくりと話し合おうじゃない」

「もぅまたぁ。今日は本当にケンカしたら駄目だからね」


 コウ達の通っている『楠高等学校』の文化祭、略して『楠高祭』だ。毎回漏れなく止めに入るなゆり。その新しいコス柊をちぃが見つけ一目散になゆりに近寄る。


「あー!かのん似合ってて可愛い〜」


 今回のメイド服はスペシャル・エディションで基本ピンク色がベースで黒と白で裾や襟が彩られ、その色彩だけでも充分だが、なんと今回は取り外し可能なオレンジ色のリボンやひらひらな生地が上にもう一枚重ねられている。頭に飾るリボンも上手くつければオレンジの猫耳のようになり、ハロウィン仕様なアクセントになっている。ちぃに褒められてしまったなゆりが色々とやっぱりテンパる。


「そ、そんなことないと思う……ちぃちゃんの方がすっごく可愛いよ!ぎゅっとしたくなっちゃう」

「へへっ。かのんならいーよ」

「んんっ……いざそう言われるとできないかな……また今度そう思った時に言葉にする前にぎゅってするね」

「えへっ。エルにかのんと一緒に写真撮ってもらう!」

「ちぃちゃんは可愛いわね。ふふふっ。逃さないわ〜♡!」

「ぬぅあっ!でたっ!まだその人格を飼っていたのね」


 柚葉の強引な誘いで泰斗も執事姿で手伝うことになった。あの柚葉を泰斗は見たことがなかったらしく驚きを隠せないでいる。


「何!あれ何!?」 

「ジョセフなお姉さん。ん?あ、違う。オネエなジョセフさん。ん?駄目だ。ジョセフを使い慣れてなくてわけわからん。要するにオネエな柚葉だ。カメラを持たせたらああなんの」

「そうなのか……六年も記憶が無ければ俺の知らないしおんがいてもおかしくないか……」


 独り言のように俯きながら呟き告げた泰斗。寂しそうな悲しそうな目で柚葉の方を見ていた。空気を読まない邦正が確信に迫る。


「どうしたの?柚葉ちゃんのこと好きなの?」

「なっ!何を根拠にいっている!そんな訳ないだろがっ!」


 泰斗が大きいリアクションになり慌てて言葉を返した。流石の邦正はそんな心境までは全く読み取れずに「それならいいんだけど」と、告げ話題はコウの言葉に替えられた。


「そろそろオープンの時間なのですが……どれくらいの客数が来てるのか誰か外を見てきてくんない?」

「ここあが行くー!」

「おう!プリティ担当!頼んだ!」


 楓がウキウキでスキップしながら入口に向かいゆっくりと扉を開いた。おそるおそる首を出し外を覗き瞬時に戻る。結局、ほぼ前方は見ていなかったようで、どちらかと言うとコウの反応で遊びたいようだ。コウ達の視線を浴びているのをかなり意識している。ちらちら振り返りいちいち勿体ぶって楽しんでいる楓。


「おいここあ!頼む!もろに気になってるんだから〜!」

「ひゃははっ!わかった!」


 楓が扉を開き外に出る。しばらくして猛ダッシュでコウのとこへ戻って来た。


「にー!やばばばい!」

「あん?どうした?」

「めっちゃいる!後ろが見えへんし〜!」

「きたー!って、オープン時は普通は混まないんだけどね。おれらやばくない?」

「凄い!本当に?」


 なゆりが驚き尋ねた。邦正がしめしめという悪い顔をしながらコウに呟く。


「こう。やっぱりあれが止めだったんじゃない?」

「あれって何よ?」


 柚葉が間髪を入れずに問うがコウがそれを受け流す。


「な。まあジョセフ!そのうち分かる。お楽しみは取っておかないとな。良し!オープン前に円陣行っとく?」

「なによ!もったいぶって……まあいいわ。早くやるわよ!」


 柚葉の口調が楽しさで高らかな声質に変わった。


「私もやりたい!」


 後に続いたのは円陣に対して妙にウェルカムななゆり。


「だよな。これ含めて学園祭だろ。マスターとすみれも円陣やっぞー!」

「ふふ。なんかイイわね。青春て感じで。わかったわ!」

「うむ」


 みうママとマスターがコーヒーを淹れる器具のチェックをしていたが、円陣に加わった。

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