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ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆  作者: フォーシーズンス
 第三章 〜【秋コス】学園祭編〜
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 十八☆【後編(中)】泰斗の記憶……文化祭準備……。

 良いお嫁さん……。


「ね〜に〜あちしもパン作れるようになったら偉いかな?」

「勿論だ!絶部残さずおれが食ってやる」

「えへへ。なら今度やってみようかな……」


 楓がいつになく女の子女の子している。なぜこんな時に女の子はもじもじするのだろう。きっと遺伝子に刻み込まれているレベルな事象だ。


「楓も良いお嫁さんにならなきゃだもんな」

「ふふ。に〜のお嫁さんになろっかな?」

「あー。それは今は笑えない。もう一つややこしくなってしまう……」


 そんなことを小声で零しハーレムを浮かべふと鼻の下を伸ばしていたら、ドンという大きな音とともにレイピアで突き刺すような幾つかの視線を感じ固まるコウ。再び邪気眼の紅が睨んでいて口元は怪奇な笑みを浮かべている柚葉。

 その笑みが意味深で怖過ぎる。もう一つの視線はこっちを向いていないのにも関わらず心の眼を開眼し、その眼で瞬きもせずに一点を見つめ続けているような陰か陽かどちらかと言えば陰のなゆりの視線だ。どっちも怖い。


「ぎゃー!!」


 無言の圧力に絶えられずに悲鳴をあげたコウ。両手両足をつき、産まれたての子馬が初めて四足で立ち上がった時のプルプル感とかぶる。楓もそれを面白がって真似ている。


「ただいま〜。あ。ジョセちゃんありがと〜」

「あ、おかえり〜いいえ〜わたしがやった方が早いかなって思って」

「コウくん!悲鳴なんかあげて随分と楽しそうじゃない」

「そうなんです。あはははは……」


 コウは何とも言えないリアクションで答える。いいタイミングでちぃと美羽ママが買い出しから帰って来た。


「あ!かのんがいる!」

 にこにこしながら駆け足でなゆりに飛びつきぎゅっとするちぃ。

「ちぃちゃんは可愛いね〜。一緒に買い物行ってたの?どうだった?」

「うんっとね。ちゃんと欲しいのあったからよかった!」

「はは。日に日に仲良くなるな〜」


 急に柚葉が我に返り思い出し告げる。


「あ!なゆりー!忘れないうちに紙コップを買うものリストに追加しておいて!今、紙コップでも可愛いやつもあるから後で一緒に見に行こー」

「うん。わかったわ」

 この場の空気を一掃してくれたちぃがいつもよりも天使に見える。胸を撫でおろすコウ。


「こんばんわ〜おじゃましま〜す」


 邦正がことを終えたのか店に顔を出した。多少緊張した面持ちに気付き柚葉が問う。


「なんかよそよそしいと思ったら。あんたこの店初めてだっけ?」

「そう。ホームページへはよく来てるけどね」

「あっはは。なんかウケるわね。例の物……用意できたの?」

「抜かりないよ。はい」


 邦正が渡した大きめの紙袋には幾つかの筒状の物が沢山入っていた。しかも紙袋は一袋ではなく四袋もある。


「あんた何気に任された仕事は卒なくこなすわよね」

「求められると……おれ弱いんだよね」


 そう呟きキメ顔の邦正がコウの隣に座った。柚葉はそんな邦正をスルーし『例の物』をチェックしていると、正面入り口が開いた。ベルが鳴り柚葉が迎える。


「お帰りなさいませ〜って、泰斗じゃない」


 泰斗は入室した途端に柚葉がとびっきりのスマイルで出迎えてくれていたので、動揺しているようだ。ちょっとした照れ隠しをする泰斗。


「ここがそのえんじぇるか。思ったより普通空間だな」

「それ、おれと全く同じ反応だから。で、調子はどうだ?」

「相変わらず記憶はまだだがそれ以外はいい方かな」

「それならいい方だな」


 柚葉が急に自慢げに告げる。


「では、早速取って置きを見せちゃおうかしら。どう?文化祭のためにわたしが作ったの。ピンク色で可愛いでしょ?今迄のと比べ特別感を出したかったのよね〜」

 ピンク色の新しいメイド服だ。デザインが改良されていて新しいニーソや髪に飾るものまで用意されている。


「わぁ!かわいい!しおん!楓のもある?」

「もちろんよ。みんなの分もちゃんとあるわ。今回は皆でお揃いよ。それと学園祭当日まで内緒のとっておきもあるわ」

「おまえ。ほんと尊敬するよ。一人でやったのか?お金掛っただろ?」

「わたしがやった方が早いかと思ってね。泰斗にもぼーっとしてても微妙だからと言って手伝わせたわ。楽しんでやってたからだいたい一週間程で出来たかな?お金の面も大丈夫。部費が沢山出たからね。こういう時に使わなきゃいつ使うのよ〜ってね」

「泰斗きもっ!」

「きもっ!とか言うなっ!俺の裁縫スキルを舐めるなよ」

「あの、私……これは……ちょと恥ずかしい、かな……」

「だめよ!なゆり!!わたしがほぼ一週間徹夜で一生懸命に作ったの。分かるわよね?」


 大きな瞳で顔と顔の間隔は十センチ程の距離で柚葉が圧をかける。笑っているように見えて笑っていない柚葉が怖い。


「そう言われると……でも……今までのよりもより短いんじゃないかな……」


 なゆりは怖いと言うよりはせっかくの手作りを着ないわけにはいかないが、いつものでも短かったスカートがより大胆になっている気がしてならないようだ。


「あはは。大丈夫だ柊。確実に似合うから。柚葉を信じろ」

「わぁ!私のもあるわ〜!エル!素敵よ!」

「ふふ。ちぃちゃんありがと。……よし!ではそろそろ行くわよ〜!」

「でたっ!!!柚葉のその感じ!前振りなく告げるそれはまるで死の宣告!恐怖しかない……誰か詳細聞いといて!おれ今のうちに、逃げるっ!!」

「あははっ大丈夫よ!学校行くだけだわ。その途中で紙コップ買うし、飾り付けも買わなきゃ。一日空けといてってグループメールしたでしょ?部室を装飾するわよ」

「おおっ?あれっ?なんか楽しそう」

「ふふっ。ほんっと子供みたいなんだから。早く支度して行くわよ。ちぃちゃんもマスターも純恋もよ」

「おー。ちぃママを呼び捨てのところが暴君の偉大さを感じる……」

「あんたばかなの?純恋さんって呼んでたらそれだけで年齢やプライベートが割れるきっかけになりかねないでしょ?これも仕事よ。みんなにそこは既に共有をしていてちぃちゃんですら純恋と呼ぶわ」

「おー。プロ意識。おれも今のうちから源氏名で呼んでおかないとな」

「それ……確実にフリよね?さぁ。早くわたしを呼んでみなさいよ」


 柚葉の瞳が紅く光り邪悪なオーラが立ち始める。背筋をぴっと伸ばすコウ。


「今はまだ遠慮しておきます。耐性ができてないもん」

「あはははは。面白いわ!打たれ強くなる耐性も作っておかないといけなそうね」

「またそうやってしおんも桐宮くんも……」

「しおんだめっ!に〜はあちしがまもる!!またに〜寝ちゃうじゃん!」


 中途半端に聞いていた邦正が気を利かせたのか中途半端な話題振りをする。


「なになに?この盛り上がりは。どこか食べにでも行く感じ?」

「あんた。確実に話を聞いてたわよね?まあいいわ。とにかく行くわよ。時間なくなっちゃうわ」

「食べ放題?時間制?」

「はいはい。あなたは自分の都合のいいように会話変換機能でも付いてるのかしら?とんだかまってちゃんね」

「これあれだな。スルーだな」

「そうね。珍しく意見が一致したわね」


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