十七☆【後編(中)】白でも黒でもない色……たーっまやー!……。
そろそろ……。
一通りはしゃいだコウと楓が花火大会会場の屋台のはしごから戻り、皆まったりとし始めたので、なゆりが用意をしてくれていたシートに座った。
太陽はもう沈み辺りは屋台と提灯の明かりのみが包んでいる……
毎年恒例のこの花火の時期は夏の終わりの虚しさが漂う……
心地よい夜風が包むように過ぎて行く……。
「あー。まったりだなー。風気持ちー」
コウがぼーっと呟く。それに楓が応えた。
「にー。そろそろ文化祭だよ」
「だな。おれらで何かやるか?今年……最後だしな」
「あ!そうそう。実はえんじぇるの件がかなり学校やまちで話題になっててね」
「まじかよ。や……やばいのか?」
柚葉が思い出し告げた。一般的に考えコウが悪い方に取り、返答した。
「それがその逆で。うちの爺って変わってるし、ある程度の権力が在るのか爺が関わってることを知った教師もえんじぇるのことは異議は無く、爺は文化祭でコス部で喫茶店をやって欲しいらしいのよ 。爺曰くその方が一般開放ので客を呼ぶ話題性にもなるし、新たにうちの学校に入学を希望する人も増えるだろうとのこと。うちの爺こう言う挑戦的な攻めの一手を好むのよね……どうする?」
「うーん……おれはいい気もするが。どうせやるならなんか他にも出来ないかな?もうちょい面白そうなこと……えんじぇるにも利点があって、えんじぇるに来てくれるお客さんにも利点があって、理事長にも利点がありおれらも楽しめること……」
顎に右手を添えながら考えるコウ。そのポージングに甚平姿がなんとも言えない知的な雰囲気を作り出している。いつになく。無駄に。必要以上に……。
「あ。やばいかも。ちょー見えっちった!」
「お。こうのそれ。久しぶりに聞いたな」
「に〜何するん?」
興味深々な楓と邦正。柚葉となゆりもしっかりコウを視野に捉え答えを待つ。
「ただ単におれ達が喫茶店をやっても他校の文化祭と変わらない程度で大した結果を生みづらいはずなので、そこにいくつかのスパイスを加える……」
この時点で楓の心は鷲掴み状態なのか楓は瞳をきらきら輝かせ「うんうん」と頷きながらコウの話を聞いている。皆も表情を明るくし話しを続けるコウを見ている。
「コス部の部室でマスターやちぃやちぃママも呼んでえんじぇる校内エディションをやればいいんだよ。えんじぇる目線では特別限定企画と言う名目にしてさ。おれもそしたら出来なかった喫茶店のウェイター出来るし、えんじぇるの宣伝にもなりこの文化祭きっかけでの新たなお客さんも増えたらマスターも喜ぶだろうし、いつもえんじぇるに来るお客さんもきっと柚葉や柊の学校やコス部がどんな感じなのかって興味あるはずだから面白がって来るかもだし、それだけ認められてたら理事長もGOを出すと思う。あとおれらが再プロデュースし、ラッピングカーや、ホームページやSNSや雑誌等の露出を可能な限り増やす。そこんところ邦正ママは動いてくれそうかな?」
「前回中々好評だったらしいからなんとかなりそうだけど、おかんに聞いてみるよ」
「確かにいくつか工夫するだけで話題性はかなり変わりそうだわ。わたし既に楽しみでやばいかも!」
柚葉が想像を膨らませ楽しげに笑みを浮かべた。もう楓は言うまでも無くきらっきらだ。
「さっすがに〜!むぎゅ〜っ」
そう言いながら興奮のあまりコウに抱き着いた楓。
「またちぃちゃんとも仕事したかったから丁度いいわ!」
「よし!なら近いうちにマスターにも話さなきゃな。あ。その前に一応理事長にも話さないとか」
「そこはわたしに任せて。納得させられない訳がないもの」
自信満々に言う柚葉が頼もしい。それに皆が顔を見合わせ微笑んだ。
「なんかまた久々にたぎってくるな。おれ円陣やりたくなってきた」
「あー!私それやったことない!」
珍しくなゆりがテンション上がり大きな声を出した。
「なゆりが円陣上級者だったらショックよね。わたしも初めてだし」
「部活生だとよくやるんだけどねー。おれとこうは同じサッカー部だったから円陣めっちゃ上級者だし」
「まぁそうだな。ただあの時の毎回試合前に強制感のある思いでやるのとこれは別もんだろ」
「それは言えてる。最近痩せちゃうっておれが言ってなかった中で、実際に思った時にピンポイントに言うと説得力が大違いなやつっしょ?」
「柚葉。この会話を折り癖のあるハピネス自由人を元気がなくなるまで責めてもいいんだぞ」
「イヤよ!厄介じゃない」
「あはは。それはそれで責めれてて邦正寂しいな」
「ちょっと!これだけ大きいのが静かになったらそれはそれで目立つし、人一倍喪失感漂うよ?」
「よし!」
そのコウの掛け声と共に邦正以外で円になり始める。慌てて邦正も混じろうとするのを見て半笑いなコウと柚葉。なゆりは「どうしよう……」と、顔に書いてある表情で円陣に加わる。コウも柚葉も邦正を弄ってるだけで全く悪意はないので結局はしっかり五人で円になった。コウや邦正が右手を差し伸べ皆もそれに同調し、五人が手を合わせる。なぜか邦正の目がいつになく生き生きしていた。




