十☆【前編】じー……確定!……一番聞きたかった言葉……。
病室にて……。
じーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
柚葉が両手を腰に当て、穴があきそうなくらいにコウを見つめている……ベッドに正座をしながら冷や汗がダラダラで視線を外してしまうコウ。
「あやしい……」
「な!な……何のことでしょうか?」
恐怖に声が上擦るコウ。
「この距離感は何なのよ!なゆりと何かあったわね?」
コウの心の声……鋭いーーー!!!
「何でなゆりはそんなに離れてそっぽを向きながら赤くなってるのかと尋ねればいいのかしら?」
色々怖いー!!尋問にかけられてる気分のコウ。柚葉の目が全く笑っていない。
「柚葉落ち着け!もしかしたら往復びんたが一ヶ月の空白の時間を生んだのかもしれない!今度は起きなかったらどうする!おれ起きたのさっきだよ!おれもうあそご……いぎだぐない……」
「あはははは。面白いわ!ラノベじゃあるまいし……私のびんたにそんな異能の力とかがあるわけ無いでしょ?もう一度試してみ〜よ〜う〜かしら〜〜?」
「ぎゃーーーぁあ!!!」
本当に嫌な世界だったらしく、リアクション王に恥じないリアクションをみせるコウ。
「あ、ほら!柚葉さん何でもできるから〜。幻想殺し(イマジンブレイカー)ではなく……幻想作り……うーん……イマジン……そうだなぁ。なにが可愛いかなぁ〜……イマジン……クリエイターみたいな!……何か新しいうさんくさい商法みたいだけど……」
被せ気味にドスを効かせた低い声になる柚葉。
「あんた今……わたしをバカにしてるってことでい〜い〜の〜よねぇ〜〜?」
「ぎゃーーーぁあ!!!」
明らさまな脅しに面白いくらいに反応し悲鳴をあげるコウ。楓となゆりが助け船を出す。
「しおんまだこ〜に〜病み上がりなんだからね!」
いつになくしおらしい楓。そう言ってゆっくりとコウに抱きつく。
「に〜寂しかったよ。楓を置いてっちゃダメじゃん!」
いつになく切に伝わる楓の思いに心を打たれるコウ。心の底からの気持ちで応える。
「悪い。ごめんな……そんなつもりは無かったんだ。おれも楓に会いたかった」
笑顔になった楓に安心をするコウ。
「桐宮くん身体の具合どう?」
「うーん。自分の手足じゃないみたいだ。動かし辛い」
「それはそうよ。ずっと寝てたんだから……」
「でもね。こんなこと言ってるしおんが一番気に掛けてて、『寝たままだと起きた時に手足動かない筈だから動かしとかなきゃ』って動かしてくれてたんだよね」
「ホントか?そうなのか?」
女神を拝むような視線を送るコウ。柚葉の顔色が次第に赤くなっていくのが分かる。多少動揺をしているのか動きが不自然になっている。
「そ、そうよ。当たり前でしょ……そんなの普通じゃない……」
「「「あ、デレた……」」」
「デレてないわっ!!」
「しおんもに〜起きて嬉しいんだよね〜」
「それはそうよ!あのまま寝てたらあと味悪いじゃない」
「おう。約束はちゃんと覚えてるから安心しろ」
「そ、……そうね……」
「「ふーん……」」
「あ、……あら?楓さん?柊さん?怖いオーラの矛先はどちらへ?……」
りんごの皮剥きの途中で停止するなゆりと何かの途中で赤い四角柱を持つ楓。二人共笑っているようだが片方の口角しか上がっていない。二人の周りの気流のみ変化しているようで黒く淀んで見える。ゆーっくりと動く顔の向きと視線がコウに同時に向けられた。
「ぎゃーーーぁあ!!!」
笑っていない目をした殺意に悲鳴をあげるコウ。
「取り敢えず、ナイフを置こうか柊さん!楓なにそれっ!レンガ?どこにあったの!?それも置いて!ふぁ、はぁぁ……なんか。心臓と心に多大な負担が……」
いつもありがとうございます。そろそろ第一章完結予定です〜( ^ ^ )/□
第二章は……
〜【夏コス】サマーバケーション編〜
よろしくですっ!!




