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ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆  作者: フォーシーズンス
 終章 〜【??コス】パラレルワールド編〜
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 最終話☆【後編(下)】あれから……夢のような曖昧な記憶の中……☆パラレルワールド。

 ☆パラレルワールド。


「パラレルワールドって信じるか?」

「信じていたい」と、なゆり。

「当たり前じゃない」と、柚葉。


 こんな発言、現実逃避だと後ろ向きに思う人も少なくないと思う。

 ただ、何かを信じる……そんなきっかけで僕らの世界は一瞬で変わることだってある。

 それがこの世界の一つの分岐点に過ぎなくても、又は、ほぼほぼ同じで、似ているけど全く別の並行世界への分岐点だとしても、それが素晴らしい出来事の始まりに変わりはないのだから。


 「「「そんな分岐点を探しに……作りに……確認しに……僕らは同じ想いを持つ仲間と歩き始めていた」」」




 星と月と太陽から産まれた子★



 十四★星……月……太陽……空。


 あれから幾つもの季節が移り変わっても……

 三人はとても仲が良く、その関係は少しも変わらずに互いを尊重し合い過ごしていました。


——僕達はもう三人の中から一人を悲しませることはできない……


 ある日のこと、太陽の子と星の子が月の子に駆け寄り、太陽の子が得意げに大切そうに両手で何かを包み隠し、星の子もその後ろで楽しそうな表情をしていました。


「これ見て!二人で見つけて二人で作ったの。どう?」


 太陽の子の手の平で、虹色の石を使った手作りの指輪がキラリと光りました。


——約束を一度も破らずにこれからも過ごせたら……それはとても素敵なことだ……


「この石!……これは指輪だよね。何指につければ?……」

「ふふっ、これは左手の心臓に一番近い指につけてほしいの」

「この指でいいのかな?二人共ありがとう!ずっとずっと大切にする!」


 月の子が指輪を薬指にはめて二人に見せると、二人は手を取り合い跳ねながら嬉しそうに喜びました。


——例え子孫が途絶えてしまうとしても……ここには永遠の愛情と愛情のように深い友情が残り続ける……


「これで三人お揃いね」

「私、お揃いのモノを身に付けていることがとっても嬉しいわ!でもこれ……今すぐではなくてもいいのだけれど……みんなお揃いの指輪にできないかしら?指輪ならきっと、あの子のことをより忘れないでいられると思うの……」


 星の子のその言葉に二人は直ぐに空の子を想い浮かべます……三人はそれぞれがそれぞれに目配せをして、それだけでも気持ちが通じ合っていることを確信しました。


「そうだね……その方がきっといい」

「分かったわよ。私が作り直すわ!二人共ちゃんと手伝ってよね!」

「うん!ありがとう!」


 月の子が腕を組みながら何かを考えています……そして真剣な顔で告げました。


「ちょっと待って!……その指輪の作り方を教えてほしい。慣れていないから時間が掛かるかも知れないけれど、これだけは僕が二人の分を作りたい!二人が僕に作ってくれたように……僕が二人に気持ちを込めて作りたいんだ……」


 そんな月の子の告白をするような表情と言葉が、二人の気持ちに花を咲かせるようで……彩りを添えるようで……三人を包むようにそよそよと暖かい風が吹き抜け、その風に周辺に咲いていた花々が微笑むように揺れ、三人を祝福しているようでした。


「フフッ。あんたらしいわね。わかったわ」

「うん!楽しみに待ってるわ」


——もしかしたら僕達は幼さのあまりにこのような選択をしているのかも知れない……


——だからこの丘で一年に一度、この日、この時間に、必ずここに三人で集まり、意思確認をしようと決めた……



『その時にある不安や迷いは必ず共有すること』



——そしてもう一つ……



『子孫を悲しませないように、口づけを含めそれ以上の交わりを一切禁ずること』



——それが、三人の約束の内容だ……。



 こうして愛し合う者達は皆、誓いの言葉を結び……

 愛を誓った証として愛する者同士でお揃いの指輪を交換するようになりました……



 僕達は何年経っても変わることなく、愛情を与え合い……

 愛情に近い友情も変わることなく……

 家族のように兄妹のように恋人のように暮らしてゆく……



 僕達にはそれ以上に何よりも素敵なものが……

 探していた一番の素敵なものが……

 互いに一つずつではなく二つずつ……


 ずっとずっと……残り続けていくのだから……。




 このお話は夢のような不思議な素敵な物語。


 そして今も尚。ほら。見上げてごらん。

 星も月も太陽も空も。絶妙なバランスで……


 楽しそうにお話しをしているでしょ?




 星と月と太陽から産まれた子★          〜終〜




 ☆エピローグ



 木漏れ日の中で。


 よく晴れた暖かな日に。

 比較的に人気の少ない静かな場所を選び、木陰の緑色の芝の絨毯にレジャーシートを敷き、なゆりとコウはまったりとした時間を過ごしていた……


 さわさわとそよ風が通り抜ける……上空の雲も静止して見える程、穏やかな日に……


 なゆりが女の子座りをしながら自作の物語に目を通している。途中で買った珈琲を飲みながら真剣に最終チェックをしているなゆり。


 かまちょのコウが寝転んだまま回転し、なゆりの膝を枕にし始めるとなゆりの意識はコウに向けられ、なゆりは優しく微笑み、そしてその物語が書かれているものを近くに置いた。


「これ。読んでいいか?」

「えっとぉ……うーん……」


 自作の物語を今まで知人には誰にも見せたことがなかったので、躊躇い迷うなゆり。


「うーんって。これもう書籍化予定なんでしょ?なら他の人より先に見たいじゃん!」

「それは……そう、だよね。コウくんならいいかな……」

「きた〜っ!!」


 上半身だけ起き上がり胡座をかき、目を通すフリをしているコウが笑いを堪えながら告げる。


「でも〜……実はもうぜ〜んぶ読んじゃってました〜!!」

「え〜っ!!……ひ、酷いよぉ……うぅ……」


 本気で困り顔で動揺を隠せていないなゆり。あわあわしているなゆりを見てコウが幸せそうに微笑む。その笑みはコウの今までで一番の……優しく疑いのカケラ一つもない笑みで……


「ははっ。なゆりのその感じを見たかった訳さ……」

「もう……」


 どうしようもなく照れているなゆりの頭をコウがそっと撫で宥めようとする……


「これ身近な人をモデルにしてるんだろ?太陽の子って誰モデルなんだ?……」

「あ、それが……不思議なんだけど、夢のような曖昧な記憶の中にあった、そのイメージの子を描いてみたの。でも、もしかしたら記憶ではなくて私がこんな子いたらいいなぁと想い浮かべ過ぎてできた架空の子か、それか寝ている時に見た夢の記憶かも知れないけれど……」


「……へえ〜。でもおれこの子、好きかも」

「……」


 嫉妬からか膨れっ面になるなゆりにコウが慌てて話題を逸らそうとする。


「んぬわぁ!っと……うんうんうん。ツンデレね〜。童話にもツンデレって進出したの?」

「う、うーんとぉ……そう……みたいっ!」


 二人が楽しそうにその子の話しをしていると、コウの視界に犬のようなクマのようなぬいぐるみ風の何かが走り抜けた気がした……

 気のせいか……そうコウが呟き、コウはまたなゆりの物語に視線を戻す。


「おれこの物語やっぱ好きかも。なゆりって本当にいい子だよな。それが滲み出てる」

「う〜ん。もう……や〜め〜て〜!……うぅ……」

「あはっ。なゆり壊れた。おもろ〜」



 なゆりが日記に書き留めるように、文字に起こし描いていた物語。

 その絵本のタイトルは『星と月と太陽から産まれた子★』

 お伽話風の着色はなゆりの好みの表現方法らしい。



 その絵本の最後の一ページに描かれていたのは……


 雲ひとつ無く晴れた空と……

 いつまでも変わらないでいて欲しいと願う程に……

 一片の迷いも無さそうな表情で笑い合う三人と……


 素敵な虹色の石が三つ……


 心の奥迄も届き照らす……

 そんな眩い光の強さで……



 夢色に輝き続けていた……。







 ラブコメって!パラレルった?コスプレ部☆          〜fin〜

 終章ED詩   素敵な理由


きっと私は君の心の中から生まれた

それか君が私の心の中から?


証明できる根拠などないけれど

逆を言えばどうしてこんなに一緒にいようとする?


何も言わないで伝わる時の感覚も…理に適う



特別な人と出逢えた時に人は心だけ生まれ変わっている

きっと私は君の心の中から生まれた


眠れない程の鼓動と共に……




最初に誕生した人は何から生まれたのだろう


何世紀も前のことを証明しようとするけれど

少し前に起きた事件さえ全て明らかにはできないのに


ユニークのない理論をまた私達は植え付けられている


科学者が突き詰めていった答えが

とても伝えられないことだったとしたら?


きっと丸く収めた嘘で教えられるだけだから…私ならこう説く



特別な人と出逢えた時に人は心だけ生まれ変わっている

きっと君も私の心の中から生まれた


眠れない程の鼓動と共に……




今存在する一つ一つ全てを証明できていないのと同じで

これから何年経ってもきっと説明などできないけれど


それが私と君をこんなにも繋いでいる理由


人類にはおとぎ話のような素敵な理由がある

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