神狐と私 第三匹
前回の話
夢オチだと思ったことは現実だった。
これは、私と神狐の物語
「夢じゃない……?」
「そう。あれは本当の出来事だよ」
「じゃあ、聖夜は、本当に神様で妖怪なの?」
「ああ。この通りにね」
そう言って聖夜は妖怪の姿に変化した。
私はそれを見て、本当に現実だと漸く理解した。
……しかし。
「聖夜!大丈夫なの⁉他の人に見られたら大変だよ‼」
そうなのだ。今更かもしれないがここは外。
妖怪は人間に化けて暮らしていると聞いたけれど、こんな道中で堂々と変化して良いのだろうか?
「大丈夫。妖怪は普通人間には見えないから」
「そう、なら良かった……。あれ?楊君は?」
ポンッ
何処に居たのか、楊君が姿を現した。
「あれ?今日は、聖夜に化けてないね。小さい狐になってる……かわいい」
ぬいぐるみのように小さくてフワフワしている。
「楊、桜を頼んだよ」
コクッ
楊君が頷いた。
ズドドドドド
「?」
何処からか、音が聞こえてきた。
段々こっちに近づいてきている。
聖夜を見ると、疲れたような顔をしていた。
音の方向見ると、
九尾く~ん
という、女子の声が。
「うわ、女子の集団」
「じゃあな!」
聖夜は慌てて逃げていった
待ってよ~九尾く~ん
と、女子の集団も彼を追いかけていった。
それを眺めながら
「相変わらずモテるな~聖夜のやつ」
そう、ぽつりと呟くと
「そうですね」
返事が返ってきた。
「え?、誰?」
知らない声。周りを見てみるが誰も居ない。
「私です、桜さん」
足下から声が聞こえた。見下ろすと、一匹の狐。
「もしかして……楊君?」
「はい」
コクリと頷かれた。
「私の主、聖夜様は、神であり妖怪でもあるお方です」
「うん」
「我々、妖怪は強ければ強いほどその姿は美しく、また、周りを強く惹き付けるのです。それは、妖怪でも人間でも同じこと」
「そうなんだ……」
階段を降りようと足を踏み出したとき、ドンッ と、突然背中を押された。
「っっ‼」
私が落ちる先には人がいた。
「大丈夫か?」
「あっ……。すみません!」
慌てて離れる。
「いいよ、 謝んなくて。次から気おつけろよ」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあな」
そう言って彼は去って行った