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勇者諜報員(仮)の黙示録  作者:
第3章 ミストラル王国迷走
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スラム街焼き討ち計画

 ノイバウアーは単身でミストラル城塞にあるミストラルのリシュリュー侯爵邸へとやって来ていた。

 ベアトリクスから情報が降りてきてから城に問い合わせた所、3日後にミストラル王国の軍務卿を務めるリシュリュー侯爵と話をするように通達された為である。


 リシュリュー公爵邸は城塞の中にあり、貴族街の中にある屋敷の1つであった。

 貴族街においても同様に水路は分かり易く作られている反面で、陸路は入り組んだ町並である。敷地面積は広くないが、背の高い建造物が多く、リシュリュー侯爵邸も例にもれず広めの庭をもった背の高い屋敷である。屋敷の前には冬でありながらも色取り取りの花々が咲き誇っており、メイド達が手入れをしている。中が見えそうな鉄柵だが、花々の蔓に巻き付かれてそれが壁のようになっていた。

 館の中に入ると、多くの美しいメイド達が仕事をしている。

 リシュリュー侯爵は好色で有名であり、このメイド達が全て愛妾である事が公然の事実として知られている。



 ノイバウアーが1人のメイドに案内されて辿り着いた場所は広い客間だった。貴族ともなると当然のように客をもてなす為の部屋が存在している。

 だが、そこには頭を覆う鉄仮面と法衣を着た男と、男装に軽鎧をした女性騎士が先に来ていた。聖人ハイドリヒと聖剣騎士団団長ベアトリクスの2人である。ノイバウアーは半ば想定内であったが、うんざりした表情を見せるのだった。

 第一に、リシュリュー侯爵と言うのは非常に好色な事で有名で、軍務卿と言いながらもどこにでもいる軍務を管理するだけの貴族で、戦場になど立ったことも無いような男である。豚のような肥えた男で、金銀のアクセサリーがジャラジャラとついた強欲貴族とも呼べそうななりである。両脇には20代半ばから30代程の女を抱えて、公人や聖職者が訊ねてきようが堂々と女の体をまさぐっていた。公務で会いに来ている筈が、どう見ても公務と言う状況ではなかった。

 第二に、情報を持ってきたベアトリクス当人と、ミストラルへの干渉をしている中心人物であるシルヴィオ・ハイドリヒという男が先に来ていたこと。

 ある程度分かっていたが、どっちもいやな意味で予測どおりだったのでうんざりもするというようなものだった。真面目な話をしに来ているのに遊びのついでに対応するクソ貴族と、何をたくらんでいるか分からない東の大陸の教団員達がいるのだから。

「よく来てくれたな、ノイバウアー殿」

「失礼します閣下。そちらにもお話があると聞いておりますが、この度はどのようなお話があるのでしょうか?」

 ノイバウアーは相手が気に入らなくとも有力貴族の前では姿勢を正して、真っ当な公務として対応する。

「まあ、掛けたまえ」

 リシュリュー侯爵はノイバウアーを対面のソファーをさす。ソファーの手前にはベアトリクスがシルヴィオの隣に並んで座っていたので、ノイバウアーは奥の方へ回り込んでシルヴィオの隣に座る。この談合におけるトップはあくまでシルヴィオであるからだ。

「今、丁度、ハイドリヒ卿にも話してはいたのだがね、我が国では大々的にスラム街制圧に乗り出す予定だ」

 北側のスラム街を焼くという情報は確かだったようだ。

「あまり勧めることは出来ませんね。国王陛下は何をお考えになっている?私は以前も反対した筈だ」

 シルヴィオは反対する立場にあるようだ。ノイバウアーはシルヴィオが推進したものだと思っていたので、それを意外に感じたようで顔をしかめさせる。

「獣人とて魔族討伐に参加しなかっただけで、決して神の信徒ではない訳ではありません。魔族ならばともかく、無為に獣人を殺すことは我らの教義に反する」

 シルヴィオの話は正しくある。神聖教団では獣人を侮蔑しても、簡単に殺して良いという法律を取っている国はほとんど存在しない。だが、そうも言いながらシルヴィオは聖剣騎士団の予備隊員として多くの獣人を引き連れて、最前線で戦わせて殺している。

「ですが、ハイドリヒ卿。統一派のような例もあります。ハイドリヒ伯爵閣下も特にとめる事も無いと思いますが」

 そう進言するのはベアトリクスである。ハイドリヒの表情は仮面で隠されているが、露骨に嫌そうな雰囲気を出す。神聖教団の三大派閥とも言われる中の一つが統一派である。この統一派とは、人間種とエルフ族以外は人類として認めないというかなり過激な派閥だ。貴族の中には多い派閥である。


 シルヴィオの実家であるハイドリヒ家は古典派である為、当然だがそれを推奨はしない。だが神聖教団を新規開拓をする枢機卿の立場からすると、別に神聖教団への完全な鞍替えの為ならどこの派閥であろうと構わないという考えはある。寄付金は派閥に関係なく神聖教団に回るからだ。

「それを私に協力しろと?」

「ええ。勿論、寄付金の方は…」

「御免被る。それに加担した場合、我が父は古典派としての立場に泥を塗ることになる。私にも本国への帰還命令が下されるでしょう。私は布教と古代遺跡アルトベルクへの調査の為にミストラルと協力しているのを忘れられては困る」

「アルトベルクへ行くには、北部で混乱が大きい方が良いだろう。大量の獣人難民が一気にガイスラーへ行くしな。貴殿らはその混乱に乗じれば良い。その前に手伝えという事だ」

「残念ながら…」

「どのような事を手伝えばよいのでしょう?」

 ハイドリヒの言葉を遮ってベアトリクスが侯爵へと訊ねる。

 ノイバウアーもこういう情景を何度となく見てきたからこそ、ベアトリクスと言う女を信じることが出来なかった。

 そしてハイドリヒも露骨にチッと舌打ちをする。明らかにノイバウアーを含め4人の思惑が異なっている。

「何、スラム街討伐は我ら主導で行う。君達聖剣騎士団にはその前準備として奴らが南部の壁を破って城門の強化工事を手伝って欲しいのだ」

「それならば我らではなく土木工の仕事では?」

「無論そうだが南側に入らないように強力な魔法結界を張る必要がある。東の大陸の魔法結界は非常に高度だと聞くが…」

 リシュリュー侯爵の問いは間違いではない。魔導機関分野においては東の大陸が発祥だが、現在は西の大陸に圧倒的な遅れを取っている。しかし、純粋な魔石を使った魔法技術に関しては大差ない。魔法結界などのように魔導機関を使わない術式に関しては神聖帝国の方が進んでいるという見方が強いのは確かだ。

「我らに壁の補強の為に魔法陣を作れと?」

「うむ。神聖騎士団の面々も魔法の使える騎士だと聞く」

「幹部の50人程度であれば。」

 進言するのはベアトリクスである。神聖騎士団は、50人程度は正規メンバーであるが、残りの900名強は使い捨ての人員である。その為、跡継ぎになれない貴族の庶子や政治的に邪魔になってきた貴族の子供、同族と暮らさずに生きるはぐれエルフ、能力だけが高い獣人等が混ざっていたり、かなり偏りがある。

 シルヴィオを監視している帝国の優秀な能力を持つ教会関係者は50人程度しかいないのが事実だ。

 これは神聖教団員、つまりハイドリヒ、ベアトリクスが理解している事でもある。

「で、俺には何をさせたい?」

 ノイバウアーはリシュリュー侯爵を見る。

「勇者殿は強力な手勢を持っているとか」

「勇者に付き従うパーティがある程度いるのは当然だろう」

 ノイバウアーは奴隷などを購入して実践で鍛えて精鋭を作っている。前回のイヴェール遠征で多くを失ったが、それでも100人以上の手勢が存在していた。

「手伝ってほしいのは、火を放つ仕事だ。最近では貧民街の連中は我々が来るとかなり警戒をしているようで少々やりにくい面があってな」

 リシュリュー侯爵は忌々しい獣共がと呟きながら舌打ちをする。

 それもミストラル王国の自業自得ではあるのだが。

 元々、ミストラル王国は経済が衰退しており、仕事を失った人間が多くいた。5年前に即位した国王はその原因が獣人であるという見解を出して、徹底して獣人の権利を剥奪した。神聖教団の布教による所為、というよりは神聖教団を利用して排除を行ない、神聖教団もそれを利用して寄付金を募りに来たというのが正しい。

「火をつけるのは構わないが、一緒に焼いて俺たちを処分しようとか思ってないだろうな」

 ノイバウアーは強い視線をリシュリュー侯爵へと向ける。自分達を切り捨てようと言うなら貴様も殺すという強い意志でにらむ。

「ま、まさか!貴殿らには計画的に獣人達を焼いてもらって北へ追い立てて貰いたいのだ。安全な地域を作っておくので、そこから結界の解いた門を越えてきてほしい」

「魔力を込めれば稼動する様に作るから、貴殿らがそれらを判断せよ。私は無辜の民を虐殺する教義に賛同はしない。壁の補強くらいならしてやるがな」

 仮面の奥の表情は見えないが、明らかにやる気の無さそうな声が返ってくる。

「それで良かろう」

「壁はいつまでに出来る?」

 リシュリュー侯爵とノイバウアーはシルヴィオの方を向いて訊ねる。作戦決行はそのタイミングになるだろうと考えていたからだ。

「刻印だけなら私が壁を西から東へ歩く時間があれば良い。壁の上でもぶらっと歩けば良いだろう、2日もあれば事足りる。それ以前にこの街の規模からして1000人ほどの魔導師が必要と思われるが、それでは貴公らの準備の方が遅れるのではないか?」

「?」

 シルヴィオのあっさりした返答にリシュリュー侯爵とノイバウアーはポカンと口を開けて絶句する。言葉の意味を理解できなかったからだ。

「ハイドリヒ卿は神聖帝国でも五本の指に入る魔法使いです。貴方達のような方々には理解の及ばぬ事でしょうが……通常の魔法使いが半日欠けて作る魔法陣など数秒で構成し焼き付けます。この方は圧倒的な魔法能力で聖人に叙された方ですから」

「そこは敬虔な信仰心によって得られた魔法力の賜物と呼んでもらいたいがね」

 シルヴィオは溜息と一緒にベアトリクスの言葉に対して異議を唱えるが、本人も対して信仰心がないので本気で異議を唱えているわけではない。

「良いだろう。では各隔壁に魔導師を配置する準備を行なう。実行は5日後、闇の月の2日より実行する」


 こうしてミストラル王国における貧民街の焼き払いという名の、獣人追放作戦が実行される事となった。




 ノイバウアー、シルヴィオ、ベアトリクスの3人は2人のメイドに従い屋敷の外まで送られる事になる。

「ハイドリヒ卿。貴様、西方教団の連れてきたイヴェールの小僧に興味を持っていたようだが、何を考えている?」

 ノイバウアーは単刀直入にシルヴィオへ訊ねる。

「何を?ああ、彼の事か。くくくく、隠すのが下手な男だな」

 暗殺に失敗している事はシルヴィオも知っている。態々聞くのは、あたかも私が暗殺者を手配しましたといったようなものだった。

 彼に興味を持った事実を知っているのはあの場ではノイバウアーだけだ。ベアトリクスは監視であって周りに寄ってきた男を殺す仕事はしていない。何をしようとしているのか確認をしてスポンサーに連絡をするのが仕事である。

「今回の仕事で切り捨てようなんて考えていないだろうな?」

「貴公を?まさか。勇者殿を切り捨てるような真似をしたら義父上は失脚する。そんな真似をするわけがなかろう。君と私は共存関係だ。あの少年は別の用件で必要だっただけだ。そうだな、敢えて言うなら…皇家の血筋を持つかもしれない者だ。義父上に持ってかえれば喜びそうだから取り敢えず誘っただけだ。まさか彼に鞍替えされるとでも思ったのかい?中々短慮だね。あまりに不甲斐ない失敗を見せてしまい焦っているのなら変な考えは起こさない事だ。彼が万が一にも皇家の人間と発覚すると、もっと厄介な話しになるよ?」

「あの小僧が皇帝の血筋だと!?」

「可能性の話だ。真実ならば当に報告している。彼の魔力が皇族に酷似していた。私は出生の都合上、魔族以上に魔力の流れを把握する事が出来るからな」

「それは真実ですか?しかし、陛下の一族など…」

 ベアトリクスも初耳だったようでシルヴィオに詰め寄るように見る。

 だがシルヴィオは肩を竦めて笑い飛ばす。

「彼の出生が陛下の血筋である北の大陸の村だった事もあるし、こればかりは分からぬ。もしかしたら、私の目指すアルトベルクの民は皆そのような魔力なのかも知れぬ。アルトベルクへ行く事がまずは最優先だろう?それに証明するものは一切ないし、私以外にそれを感知する感覚も持たないのだからどうしようもない。ただ何かに使えるかと思っているだけだ」

「なるほど。ノルテン出身の民は皆そういう種類かも知れぬと。逆説的にえば…勇者の資質もありえると?」

「そう。西方教団の勇者がそれに気付いて引き入れたのかは知らないがな。まあ様子を見ようではないか」

「まあ、良いでしょう。どちらにせよ、この大陸では何も出来ないのですから」

 シルヴィオの言葉をある程度信用してベアトリクスも納得する事にする。


 一行がメイドの後ろを歩きながらリシュリュー邸の外に出ようとしていると、リシュリュー邸の外に、フードを被った小さい子供がウロウロとしていた。

 一行はメイドに付き従って、衛兵が邸宅の門を開ける。

 すると門の外にいた子供はハッと門の奥にいるシルヴィオらを見渡し、そしてメイドの1人に視線を向ける。パアァッと表情を明るくしてメイドの女性に抱きつくのだった。

「お母さん!お母さんですっ!やっと見つけました」

 少年は涙声でメイドに抱きつくのだが、メイドは顔面蒼白になって自分に抱き付いてきた少年を見下ろす。

 何が起こったのかと一同が少年とメイドに視線を送るのだが、そこで少年のフードがパサリと落ちる。そこには白い髪の毛と白い兎の耳が現れたのだった。

「じゅ、獣人!?」

 悲鳴のように大きい声を上げるのは衛兵であった。

 するとメイドは慌てたように少年を突き飛ばして後退る。

 衛兵は剣を構えてメイドと少年の方へ厳しい視線を向ける。獣人の母親がリシュリュー侯爵の愛妾なのかと驚きの表情を見せていた。

「し、知らない!こんな子供、私は知らないわ!」

 メイドは大きい声で叫び、首を必死に横に振り、否定する。

「へ?…ぼ、僕です?ティモです。お母さん?おかしいな、1年も会って無かったから忘れちゃったの?」

 人兎族の少年は悲しそうな顔でメイドの女性に訴える。

「知らない!誰よ!私は獣人なんて知り合いはいない!子供なんていないわ!私はリシュリュー侯爵様の愛妾よ!獣人のガキなんて知るはずがないじゃない!」

 メイドは泣き喚いて訴える。

「最近頻発している貴族を取り入ろうとする獣人の詐欺行為です!」

「衛兵、始末してください!獣人が壁を越えて侵入してきてます!」

 周りにいた同僚のメイドが人兎族の少年を指差して叫ぶ。

「そ、そうだ!」

「ガキッ!こんな場所に来て良い度胸だ!」

 衛兵達は取り乱して、慌ててその武器を小さな獣人へと向ける。

「あれ?」

 だが、武器も持たない子供をいきなり武器で斬り殺すような真似をする程、衛兵達も非情ではなかった。だが追い払うなり懲らしめるなりしないといけない。

 少年は、自分が母親に知らない子呼ばわりされているか理解できず凍り付いていた。

 すると、衛兵の1人が少年に襲いかかる。武器を腰に収めて、拳を持ち上げて、少年の顔に振りおろすのだった。

 少年は強い衝撃を受けて地面を転がり倒れる。

「このガキ!リシュリュー侯爵様の家を詐欺にかけようなんてふてえガキだ!」

 衛兵は倒れている少年を更に蹴り飛ばす。少年は2メートルほど地面を転がってグッタリと倒れる。

「あ、あれ、おかあさん。ぼ、僕……てぃ、ティモだよ?何で?」

 メイドにすがるように訴える。だが訴えられたメイドは首を振って

「あんなガキ、知らない!殺して!今すぐ!私をこの屋敷から追い出そうとしているんだわ!」

 人兎族の少年の顔も見ようとせずに訴える。

 とは言え、衛兵達も己の主人の屋敷の前を獣人の血で汚す訳にもいかない。貴族の屋敷の前で戦闘力も無さそうな獣人の子供を殺すのは風聞も悪かった。

「いい加減にしろ、この獣人風情が!」

「獣人如きが、侯爵様から甘い汁でも吸おうってのか!どんなクズのガキだ!」

 衛兵は2人掛かりで人兎族の少年を何度も何度も蹴り、やがて動かなくなるのだった。

「おい、下っ端!」

 暴行を振るっていた門を守る衛兵達は、屋敷の近くで見回りをしている衛兵の1人に声を掛ける。

「はっ、はい。何でしょう?」

 衛兵の1人が慌てて走ってくる。

「そのゴミ、貧民街へ捨てて来い」

 衛兵の1人が血塗れでボロボロになった人兎族の少年を指差して命令を下す。

「わ、わかりました」

 命令された衛兵もまた、汚い物でも触るかのように少年の耳を掴むと、少年を引き摺って貧民街の方へ向かう。まるでゴミ捨て場へゴミを捨てに行くかのようなやる気のなさだった。

「もう、大丈夫よ。あの変な獣人は消えたから」

 同じ同僚に慰められるメイドは涙を拭きながら安堵の表情を見せる。

「良かった」

「ありがとうございます」

「あんな詐欺をする子供がいるなんて」

 メイド達はペコペコと衛兵に感謝を示す。

「獣人どもは食うに困ってるから、ああいう事もあるでしょう」

「そういう話はよそでも聞きますからね。大丈夫、安心してください」

 衛兵もまたよくある事だとフォローしており、まるでどうと言う事も無かったかのように、それぞれが仕事に戻っていく。



 シルヴィオ、ノイバウアー、ベアトリクスの3人は何事も無かったかのように自身の宿の方角へ向かうべく、定期ゴンドラ乗り場へと向かっていた。

「で、ありゃ、どっちだい?魔力で分かるんだろう?」

 ノイバウアーはニヤニヤと笑いながらシルヴィオに訊ねる。

「種族の違う親子関係が簡単に魔力でわかるとは思えないが……まあ、黒だろうな」

 シルヴィオは、分からないと言いながらも、黒と断じる。

「かかかっ腐ってるなぁ、この国は。ガキを捨てて自分は貴族様のお屋敷で豚に抱かれてりゃ、食っていけるってか?」

 ノイバウアーはゲラゲラと笑う。

「それだけこの国は貧困だという事だ」

「その貧困の国から最後に寄付金をむしりとろうとするお前らも大した者だとは思うがな」

 ノイバウアーはこの国の未来が危ういと理解していた。いずれ滅ぶ。その前にたんまり寄付金を取ろうとするシルヴィオ達の浅ましさを指摘するのだった。

「その寄付金から勇者の年金が出ているのだがな」

 ノイバウアーの言葉に対して、呆れるようにシルヴィオが皮肉で返す。

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