聖人・勇者・聖剣騎士団の関係
人猫族のカティアは黒い装束に着替えてから、自身を匿ってくれた孤児院を後にする。腰に黒い刃を携え、長い髪を後に縛り黒い頭巾で耳を隠す。
向かう先はオーテーレの獣人街の南部にある冒険者の館だった。
カティアは自身の暗殺失敗の件を含めた事の次第を目の前に座る男に跪いて報告する。
目の前に座る男こそ、北の大陸の出身で唯一の勇者の称号を持つボリス・ノイバウアーであった。ノイバウアーは、跪くカティアへ茶色い瞳で鋭く睨みつけ、彫りの深い顔立ちを激しくゆがめていた。
「失敗しただと!?あの程度の小僧にか!?」
怒りの声を上げるノイバウアー。細く鋭い目つきがさらに険しくなる。
あの程度の小僧という形容はあながち間違いではない。暗殺対象だった少年はイヴェール王国にて戦闘力で勇者と呼ばれるようになった少年ではないからだ。
「も、申し訳ございません。それが……魔法がきかなくて…」
カティアはしどろもどろに答える。端的に言えば魔法が効かなかったのが決定的にまずかった。危機回避能力の高い相手だったが、戦闘能力は軍事訓練をつんだ駆け出しに毛が生えた程度の能力しかなかった。
「ええい、言い訳はいらぬ。くそっ、という事はあの小僧はハイドリヒと会っているという事か…これでは…」
「ですが…あの男は聖人閣下と何があるのでしょうか?」
「そんなものは貴様が知る必要のないことだ」
ノイバウアーはカティアを蹴り飛ばして黙らせる。
カティアは床に倒れて転がる。体を起こそうとするがノイバウアーはカティアの頭を踏みつけて地面にこすり付けるのだった。
「も、申し訳ございません…」
カティアはノイバウアーに頭を踏みつけられて地面に這いながらも謝罪をする。
そんな時、ノイバウアーの方へ足音が聞こえてくる。
「荒れているな」
そこに現れるのは一人の女性騎士だった。銀の軽胸甲に青いマントを翻したその女性はショートボブに髪を切り揃えておりパッと見ると男子にみえるが、滲み出る色っぽさは女子以外の何者でも無かったが。
「冒険者の館とは言え見苦しいぞ」
「ベアトリクス。……何をしに来た。聖剣騎士団の人間がこの冒険者の館など…」
ベアトリクス・ローゼン、それが彼女の名前である。
ノイバウアーはベアトリクスに言われて足をカティアから離す。そして鋭い視線をベアトリクスへと向けるのだった。
「情報を齎しにな」
ベアトリクスはノイバウアーの問いに答えるが、ノイバウアーはさらに怪訝そうな表情をする。
「はっ……。テメエの情報なんざ聞くと思ってんのか?そもそも貴様のクソ情報に踊らされた所為でこちとらシルヴィオのクソに余計な借りを与えちまった。アルゴスがあんな化物だと知ってればやりようはあったんだ。それを…」
「アルゴスに関して何の調査も無く復活させた貴様が甘かっただけだろう。自業自得だ。私はシルヴィオ・ハイドリヒを監視する為に動いているに過ぎない。その情報を私から聞き出しておいて、まるで私の差し金だったような口振りはやめて欲しい」
「貴様の率いる聖剣騎士団はシルヴィオの手先だろうが」
「それは名目だけだ。我らの真の使命はシルヴィオの監視だ」
ベアトリクスはきっぱりと言い切る。
「監視だと?」
「他派閥の貴族もいればハイドリヒ伯爵直轄の者もいる。少々複雑に絡み合ってはいるが、あの男の部下は1人もいない。ただ奴を監視するというのが聖剣騎士団の目的だ。場合によってはあの男を殺す権限もある」
「ほう?」
聖人を監視、場合によっては殺害する権限も与えられていたというのは、勇者であるノイバウアーにとって驚きでもあった。ノイバウアーは東の大陸で名を売って勇者になったが、元々は北の大陸出身である。東の大陸の世事に聡いという事は無いが、少なくとも神聖教団の序列はある程度理解していたつもりだ。
「あの男は神聖教団の聖人にして古典派の有力支援者の息子であるが、当人の思想は自由派に近い。いつ裏切るか分からぬ以上、監視が付くのは当然だ」
ノイバウアーは言葉を頭にめぐらせてから腹に落ちたように頷く。シルヴィオが古典派の急先鋒として有名だった半面で、個人としては腐った枢機卿連中と異なり全く獣人や魔族を侮蔑するような視線を向けたことが無かった事を思い出す。過去の事例も含め、女の言葉が嘘でないと感じるのだった。
「なるほど。で、その監視の貴様が俺に何用だ?」
「言っただろう?情報を齎しに来たと」
女はきっぱりと言い切るのだが、ノイバウアーは怒りを滲ませて睨みつける。
その情報を齎して自分に何をさせたいのかという点を明確にしたかった。適当に躍らせて、失敗すれば自業自得と斬り捨てて、成功すれば自然と自分達が甘い蜜を得るようなやり方をする相手である。簡単に相手を出来ないと感じていた。
「前回、貴様に踊らされてイヴェールに捕らえられたことを忘れたわけじゃないだろうな?」
「アルゴスの件か?だが先走ったのは貴様だろう?そもそも我らのスポンサーは北の大陸に興味などない。アルゴスを過小評価し、勇者としてのポイント稼ぎに先走って失敗したのは貴様だろう?そもそも自分の功績を際立たせようと敵国であるイヴェールに話を通すのが筋違いよ」
「ちっ」
ノイバウアーは相手の突き放すような口振りに舌打ちする。
「今回、そのアルゴスを作っている連中がいるらしい。それがあのシルヴィオ・ハイドリヒは止めようと動いている」
「作る…ね」
既に前回のアルゴス騒動前に、200年前にアルゴスを生み出して世界が滅びそうになったという事実をノイバウアーは目の前の女から知らされている。勇者の伝説にも存在する逸話である。
その為、アルゴスが作られるという点については簡単に受け入れていた。
問題は神聖帝国は何をしたいのかと言うことだった。ノイバウアーの目的はあくまでも勇者としての点数稼ぎなのだから。
シルヴィオの邪魔をしてアルゴスを復活させたいのか、あるいは協力してアルゴス復活を阻止したいのかという点だ。
「神聖帝国としてはどうなんだ?」
「彼らは北の大陸がどうなろうと興味はない。あえて言うなら神聖教団の規模を広げて寄付金を手にしたいといった所か。北の大陸が滅べば神聖教団は堅固になり多くの利益を得るし、アルゴス復活を阻止できればそれを商売に使える」
ベアトリクスは神聖教団の下部組織にいながらも、神聖教団を彼らと口にする。
これは彼女が主派閥でないからである。神聖教団全体の意思と、彼女の所属する教団の派閥とでは微妙に意見が異なる。
「はっ……生臭坊主共が」
「その生臭坊主の利権に擦り寄るダニの分際の台詞とは思えんがね?」
鋭く切り返す女とのやり取りはノイバウアーにとっても慣れたもので、特にそれを否定したり、怒りを持つような事もなく流す。
「で、その生臭坊主は何を御所望だ?」
ノイバウアーは胡散臭そうに女を睨む。
「彼らが好ましいのは寄付金が増えるような何かを北の大陸で起こす事だ。事実、貴様のアルゴス復活と言う面はどちらに転んでも問題は無かった筈だ。先のように、貴様が逃げ帰りアルゴスが他のものに討伐される等と言う想定外の結末さえ向かわなければ」
「…」
ノイバウアーとベアトリクスは睨みあう。
ノイバウアーがアルゴスを倒せば神聖教団の株は上がり、アルゴスが北の大陸をめちゃくちゃにすれば神聖教団じゃない国家群はメチャクチャになる。どっちにしてもおいしいのは事実だ。
だがノイバウアーはアルゴスを倒せず、アルゴスは北の大陸をめちゃくちゃにできなかった。
そんな様子を見上げながらも、のそのそとカティアは体を起こす。
カティアは神聖帝国でノイバウアーに買われた獣人奴隷であった。その為、まともな教育も受けておらず、一般常識は私生活によって培われている。その為か、彼らの話している内容が政治や宗教の話である為に全くついていけていなかった。神聖教団の教徒で教義をある程度知っていても、自分は虐げられていることが当然として生きて来たので、ただただ頭を垂れて彼らの声を待つのみである。
「つまり、俺には今のままハイドリヒと同行して、この国の滅亡に加担しながらアルゴス復活を阻止するのに手を貸すもよし、ハイドリヒを邪魔するも良しと」
「そうなるな。だがミストラルに関しては中々面白い状況になってきている」
「面白い?」
「ミストラルは獣人達の迫害を始め、国王は獣人街を焼き払う計画を始めた」
「ほう?確かに面白い事になったな」
このミストラル王国は歴史を紐解けば100年前の大航海時代の幕開けから移民を多く受け入れてきた。これはラフィーラ教区圏であったためだ。移民が多くやってきた理由は、大航海時代により東の大陸の神聖教団が進出し、南部が神聖教団化してしまったことで、獣人や魔族がそこから大量に逃げてきたことが起因している。
それも、5年前に前国王が崩御し、ピエール・オディロン・ギレム・ミストラル4世の即位をきっかけに状況は大きく変わる。獣人が多い事で在来種である人間の職が奪われていると持論を唱えだした。結果として獣人の立場が悪くなってしまう。また、魔族は圧倒的に人口が少ないので、どうしても獣人をメインで議論されてしまう点もある。
それが2年前に聖人シルヴィオ・ハイドリヒを迎え入れ、神聖教団を国教へ変え、法律の整備も加わり、加速度的に獣人を弾圧する方向へと変わった。神聖教団における人種差別は人間とエルフが最上位で魔族が最下位、それ以外は中間層に値するのだが、人間とエルフと獣人が多く住んでいれば、当然ながら獣人は弾圧対象になる。
そして、昨年には北部の貧民街の手前に巨大な壁を作り、獣人を北部へ押し込んだのである。
未開地だった北の荒野は、現在ではガイスラー帝国ヴァロワ領となっており、獣人の辺境伯がいるという風聞が広まっている。ミストラルとは逆にガイスラー帝国は皇位交代に伴って、国教の神聖教団でも獣人を対等に扱う自由派へと鞍替えした点がある。その為、獣人たちは助けを求めて北へと移動を始めたのだった。だが、既にハイドリヒはミストラルとガイスラーの国境にある都市アフルエンを拠点として、聖剣騎士団とミストラル国軍はガイスラーと戦争を始めていた。無論、獣人達も強制徴兵されて最前線に送り込まれている。
ガイスラー帝国のヴァロワ辺境伯は獣人の受け入れにも寛容であるが、敵か味方かも分からない獣人を受け入れるのが難しい状況にあった。しかも人数が多いので受け入れる余裕もない。
獣人達は逃亡場所まで塞がれて、板ばさみの状況に置かれていた。それでも死を覚悟してガイスラーへ亡命する程度にこの国における獣人の情勢は悪化しているのだが。
「それにしてもどうして獣人街に火をつけるなど……北方戦線の川は迂回しているから良いが、色々と問題も出そうだがな」
ノイバウアーの興味は自分が勇者としてのポイント稼ぎをするためだ。なので獣人がどうなろうと知った事ではない。
「例えばスラムを燃やす政策もあるだろう。北の貧民街は野蛮な獣人族達の所為で治安も悪くなり、主要水路以外では人が歩けないものとなっている……らしい」
「…」
それは人間が獣人達を排除した結果で、スラム街が出来る理由とは別物である。
居住区から追い出されて、仕事も失った獣人が北の空き家に住み込んで飢えれば勝手に暴徒にもなるだろう。自らそのように仕向けておいて野蛮な獣人族と言うあたりが神聖教団らしいやり方でもある。
「ミストラルは終わるんじゃないか?獣人の居住区は三割程度だった筈だ」
ミストラル王国の人口は約30万人、獣人人口は10万人といった所か。
「獣人の居住区を焼き払い、そのまま逃亡する獣人を追いながらヴァロワ領へ進軍を開始する。聖剣騎士団はその隙をついて、ハイドリヒの予定通り、西部より大きく迂回してヴァロワ領へ侵攻し、そのまま北上する」
「それはつまり獣人を皆殺しにすると?」
「国王は頭が悪いからな。混乱に乗じてヴァロワ領のヴァッサも奪って、貴族達の新しい都市にする計画を立てていたが」
「アホか。討伐軍なんてこの国じゃ精々1000人程度だろ。ヴァロワ辺境伯は1人の傭兵から戦闘能力だけであの地位になりあがった怪物だぞ。冒険者や軍人であの単身で1000人殺しだの竜殺しだのといった肩書きを持つ規格外と戦う馬鹿がどこにいる。最初は人数で圧倒できるかもしれないが、ヴァロワ正規軍が合流したら一瞬で引っくり返るぞ。そんなもの、軍務にいなくても一介の冒険者だって想像がつく」
「冒険者や民衆の聞く嘘のような話しをまともに聞く貴族はいないだろう。特にオリハルコンは情報戦にも長けているからな。元オリハルコンの傭兵とあれば体の良い嘘を使うことが予測される」
「確かに奴らはセイ・レ・ビスコンティがイヴェール王になったとか、バスティアン・レ・ツァイヤーが西の大陸でワイバーンの群れを滅ぼしてデシエルト王国の女王を妾にしたとか、冒険者なら誰もが知るホラ話を流している。だが、俺はヴァロワ辺境伯の武勇は実際に目撃したことがある。あれだけは本物だった。俺がガキの頃だが、自分の背丈よりでかい鉄の塊を一振りして30人の重装甲兵がバラバラに千切れたんだぞ。あんな怪物とまともに戦おうなんて、とてもじゃないがいかれている」
ノイバウアーはガイスラー帝国の貴族の三男坊で、冒険者として名を上げて勇者となった。
逆に冒険者からガイスラーで功績をあげて帝国貴族になった鬼神スティードを目撃していてもおかしくはない。
ノイバウアーはかつてを思い出して身震いをする。そんな男の領地に侵攻するなんて馬鹿だとしか思えなかった。
傭兵団オリハルコンは世界各地に存在し、巨大かつ高速な情報ネットワークを持っており、雇われる戦争においても情報を用いて相手を翻弄するのも1つの手法であった。近年ではかなり突拍子も無い情報が流れており、流石に嘘だと分かって相手にされない物も多い。だが情報の信憑性が失われた事で逆に疑心暗鬼になり利用されて振り回される相手も多いと聞く。
「ヴァロワ辺境伯がどうかは知らぬが、あの貴族の軍事力はガイスラーの主要戦力なのは有名だ。手を出す馬鹿はそうそういない。そのバカがこの国の王だったというわけだ。どうやら、貴公にヴァロワ領への進軍の補助を頼めそうには無さそうだな」
「…」
ノイバウアーは引き攣った表情で女を睨む。何も知らないバカなら、今度は獣人達を引っ張ってヴァロワ領へ進軍させるつもりだったというのだ。
「そもそもガイスラー帝国出身の俺がガイスラー侵略の手助けなどする訳も無いだろう」
「ミストラルはそこで逃げ出す獣人を北方へ難民として移動されて、手を焼きたくはないと考えている。逃げようとする連中を出来るだけ始末して欲しいらしい」
「えげつない仕事だな。勇者に頼む事か?」
「神聖教団の勇者がミストラルに巣食うスラムの獣人を打倒する。神聖教団の勇者としては十二分な活躍だがな」
「実際には火に焼かれて逃げる獣人を追い立てる殺人鬼だろうが」
「嫌なら我らと共にハイドリヒ卿と共に銀翼の魔族討伐へ行くか?ほとんど決死隊だがな。途中でヴァロワ辺境伯に行軍を見つけられたらどうなる事か」
「……」
ノイバウアーはそれこそ数年前に見た怪物染みたヴァロワ辺境伯を目撃しており、戦うという事自体が想像したく無かった。誰にも話したことがないが、彼はそれを見て失禁したほどである。ヴァロワ辺境伯とはそれほどノイバウアーにとってはトラウマになるほどの危険人物だった。
哀れな獣人達を殺して名声を得るか、ハイドリヒに付き従って危険を冒すかと聞かれれば、間違い無く前者のほうを選ぶに決まっている。
「国王と相談でもしてくるか」
「それが良いでしょう」
「貴様に上手く使われているような気がしなくも無いがな」
「残念ながら我々には領分がある。ハイドリヒの監視はしてもハイドリヒの行動を御する権限も力も無い。勇者という存在は聖人や国家を超越する。貴公の能力が彼らよりも大きく劣るとしてもな」
「ちっ」
ベアトリクスはマントを翻してその場を去って行く。
ノイバウアーは舌打ちをするしかなかった。実際、利用されているのは事実だが、旨みも大きい。
勇者と言う立場は非常に強大で何をしてる許される立場にあるが、資金面は非常に乏しい。金品の強奪も許されるが、悪名を轟かしてしまい何かあると簡単に地に落ちてしまうのでほとんどの勇者はやらない。とはいえ、ノイバウアーは数人の仲間や数十人規模の奴隷を飼っている為、資金面は非常に厳しい。だからこそ、常に金を稼ぐ事に余念がなかった。
聖人は資金面で言えばかなり強大である。何せ寄付金が多く入ってくる。ただし、背後にいる枢機卿の制限が大きいのでうかつな事はできない。
ノイバウアーはそれを利用して金と名声をえようと聖人に近づいている。
無論、今回の場合、神聖教団に対抗する武装組織として銀翼の魔族の一団を討伐するという名目があって出兵している。聖剣騎士団は討伐軍ではなく、ハイドリヒが裏切らないかどうかを監視する事が任務となっている。
「カティア、奴隷達の集ってる宿に戻っておけ。数日の内に大きい仕事がある。貴様のような使えないくずを殺してやりたいのは山々だが、今は戦力確保を優先してやる。精々、俺の足を引っ張るなよ」
「はっ…必ずやお役に立って見せます!」
カティアは頭を下げて命令を受諾する。
ノイバウアーは早速国王への謁見許可を取りに向かい、カティアは役目を渡されて自身の仕事をする為に他の奴隷達が住まう宿舎へと向かう。
だが、カティアは自身の宿に着く前にふと気付く事になる。
獣人の住む北部貧民街を焼くとなると、以前、世話になった孤児院の少年達も焼かれる事になるのではと言う疑念である。
足が止まってしまう。
どうすれば良いのかと暫し考え込む。
しかし、主人であるノイバウアーには恩義がある。かつて東の大陸の鉱山で奴隷として毎日同胞が死んで行くような場所で困窮している所を開放してくれたのだ。だから裏切るわけにも行かない。
カティアはブンブンと首を振ってノイバウアーの部下達が集っている宿舎へと戻る。奴隷の身なのだから、二心を抱いてはならないと自分に自分で言い聞かせるのだった。




