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勇者諜報員(仮)の黙示録  作者:
第1章 勇者誕生
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勇者諜報員(仮)誕生

 ルーシュ達が訪れた場所は魔王の執務室で、そこには大量の書類が置いてあった。

 暗黒世界における現在の魔王の仕事とは、問題ごとや魔族間の折衝などが主な仕事である。

 魔人達を束ねる魔公貴族達はというと、長寿で怠惰な個人主義が多いので、大きい争いには発展しないのだ。どちらかというと個人的な争いで周りに被害を及ぼす。争いがあれば高い魔力でのぶつかり合いになるので、間違いなく周りに被害を及ぼす。

 結局一番強い魔王が飾りといえど頂点にいるのは、抑止力に他ならない。


 魔王が自分の執務机、その机の前に並ぶ会議机にルーシュ、レナ、シホの3人が向かい合って座ろうとする。シホだけは自分専用の、ちょっとだけ背の高い子供用の椅子を持ってきて腰掛ける。

「ルー兄は1人暮らしで大丈夫なのか?たまにメリッサ様が使いの者に様子を見させに向かわせてらしいが心配なのじゃ。ベーリオルト卿あたりがちょっかいかけたり、実家のバエゼルブ家に虐められたりしてないか不安じゃしの」

 シホは心配そうにルーシュを見るのだが、ルーシュとしては従妹に心配されるのは心外でもある。

「別にそういう事は無いけど」

「まあ、何かあったら直に分かるじゃろうがの。ルー兄は何かしでかしたら、大体暗黒世界の危機じゃからな」

「そんな魔王様じゃあるまいし。僕はそんなにやんちゃしないってば。静かなものでしょ?」


 ………


 ルーシュの言葉に対して、レナとシホは同時に絶句し、互いに目を合わせて頷きあう。

「のう、ルー兄よ。2月前に山1つ吹き飛ばした事件はやんちゃではないのか?」

 シホの質問にルーシュは慌てて目をそらす。

「1月前に北の山を北の谷にしてしまった一件も静かなものじゃったのか?先日、噴火したマグマに飲み込まれて死にそうになった魔人の子を助けたそうじゃけど、その際にマグマを凍らせてベーリオルト卿の領土の一部を冬にしたって聞いたのじゃが?」

 さらに立て続けてルーシュの悪行に対して言及する魔王第一継承権保持者の従妹がいた。

「『マンスリー天変地異』と呼ばれたルーシュにとって、あれもこれも静かなんだよ!察してあげて!」

 レナがフォローを入れるのだが、ルーシュは頭を机に打ち付けて沈黙していた。その2つ名はルーシュも知らなかった2つ名だったからでもある。

 確かに毎月のように問題を起こしていた。当然の結末だが、ルーシュは小さい頃からよくやらかしていたのであまり気にしてなかった。人助けや仕事を頑張った結果だから仕方がないと割り切っていた。

 ちなみに…暗黒世界の一ヶ月は60日なので、マンスリーと言っても60日に1度だから頻繁とは言えないが、頻繁に天変地異的な事を起こすのは問題である。


「い、いや、でも…基本的に成り行きで人助けをした結果だよ?」

「ルー兄は毎月のように国土地理院に謝りに言っておるではないか。そもそも閑職な国土地理院はルー兄が生まれてから、一番忙しい職場になったともっぱらの評判じゃしな」

 ポンコツ魔王への攻撃がなくなると、今度はポンコツ魔公王子へ向かう。

 魔王専用の執務机に座っているポンコツ魔王は自分への攻撃が消えたので嬉しそうにしていた。仕事も弾むのか次々とハンコを押してご満悦だった。

「すいません、自重します」

 項垂れるルーシュは、目に見えて小さくなる。

「まあ、今回、ルー兄をこっちに呼び出したのは別件でお仕事をしてもらいたいからじゃ」

「ついに…魔王討伐の日が!」

 レナはキラキラと目を輝かせる。

「討伐も何も、討伐する方が面倒じゃろ?どうせいてもいなくても役に立たないんじゃから。むしろ戦う事で、無用な被害が出るのじゃし」

 シホはレナの提案をあっさりと首を横に振る。

 油断すると矛先は魔王へと向かうのだ。魔王は鼻を煤って涙を堪えるが、誰も気にした様子は無かった。これもいつものことである。

「まあ、大きい問題が発生したのは確かじゃ」

 シホは重々しく口にする。

「どんな問題なの?」

「地上界におけるラフィーラ教…というまあ亜人種の神を崇める宗教は知っておろう」

 シホの言葉にルーシュはしばし凍りつき思い出そうとする。隣のレナがああと首を縦に振るので尚更一生懸命に思い出そうとしていた。

「おー、あれね。あの………アレだよね。あのアレな宗教的な?」

「ルー兄、2年前にダンタリウス先生の授業でやったのじゃが…」

「ゴホッゴホッ…えーと今日は頭の冴えが…」

「一般常識じゃろう!」

 ルーシュは分からない事を誤魔化そうとするが、シホは呆れたように溜息をつく。5つも年下の少女にあきれられては文句も出ない。

「ラフィーラ教は、かつて200年前に勇者を預言した宗教だよ。今は衰退しているって話だったかな?」

 レナは掻い摘んでルーシュに説明する。ルーシュの知識量にあわせると話が進まないので、こういったルーシュへのフォローは基本的にレナの仕事だった。

「そうじゃ、そのラフィーラ教の預言者がとある預言を告げたのじゃ」

「預言?」

「勇者到来」


 シホの言葉に、ルーシュ、レナ両名は凍りつく。


 勇者とは、200年前に地上界進出をしていた魔王軍に敢然と立ち向かい、魔王軍を倒し、暗黒世界へ乗り出して魔王ルシフォーンを討伐した存在だ。

 そして一方的に法律を押し付けて、それでも魔族が厄介に感じると、今度は暗黒世界に魔族達を封じるという諸行を成し遂げた恐るべき存在でもある。


 だがそこでルーシュは首を傾げる。

「あの、僕らって別に人間達と戦って無くない?」

 ルーシュの疑問にシホも頷く。

「そう、これは…もしかしたら人間達がこちらに侵攻して来るかも知れないというお告げでもあるとは思わぬか?」

「えー、平和に暮らしてるのに、何その理不尽!」

「まあ、200年前の人間達も同じ事を思ったかもしれないがの…」

「いやいや、200年前、勝手にこっちへの繋がりを閉じたのもあいつらじゃん」

 シホは足をパタパタさせながら、ルーシュの不平を過去の事を比較に出して説明する。

 とはいえ、200年前は、交渉から始めようとしたが、何故か人間が怒って攻め込んできたのだ。決して喧嘩を売ったわけではない。そこら辺、人間達はあまり認識していないのだから仕方がない。

 だが他人事ではないのは魔王だった。

 魔王は涙目で立ち上がる。

「そうなんだよ!どうしよう!僕、何にもしてないじゃない!なのになんで勇者が出てくるの!本当に魔王討伐されちゃうよ!?」

「死の宣告みたいなものだからねぇ」

 涙目どころか感極まってメソメソと泣き出す魔王に、ルーシュは慰める気がないのだが同情するようにぼやく。

 何せ何かの歯車が狂ったら魔王第二継承権をかつて持っていたルーシュ自身が討伐対象にされていたかもしれないのだ。

 危険な立場である。

「現状、この事は一部の魔族の中だけに留めておる」

「?」

 ルーシュの首を傾げ、頭にはたくさんのクエッションマークが浮かぶ。

「理由は3つ、1つ目は余計な情報による混乱を避けるためじゃ」

 シホの説明によって、ルーシュの頭のうえにあったクエッションマークが一つ消える。

「2つ目は勇者到来の報は旧主派にとって都合よく解釈されてしまい、勇者を討伐する為に、彼らが人間界との戦争を始めようとしてしまう事じゃ」

「政治的な話としても問題って事?」

 ルーシュは自分の理解を確認するように訊ねる。

「まあ要約すると内外で争いたがる連中が活気付いてしまい、平和な暗黒世界が滅びてしまうという恐れがあるというわけじゃ」

 ルーシュの頭の上にあったクエッションマークがさらに消える。

「うーん、でも勇者って本当なの?」

 横で聞いていたレナは不思議そうに訊ねてくる。

 ルーシュにとっても疑問である。そもそも一番の疑問は200年前の戦争に関してだ。魔王は肉体を滅ぼしても死なない。その魔王を滅ぼした勇者といわれても、それはもはや想像の埒外である。

「それじゃ。3つ目の問題は、預言とあるがそもそも勇者とは何者か、我らも良く分かってないのじゃ」

 シホはビシッとルーシュを指差す。

「そうだねぇ、かつての魔王様は僕らなんか比べ物にならんくらい凄いんだってお年寄りが言ってたし。それを倒すとなると、やっぱり勇者ってドラゴンみたいにでかいんじゃないの?しかも魔王を食べれるくらい巨大な口を持っていないといけないし。僕らよりも遥かに色んな物を見通せたというのだから、きっとたくさん目が付いていて…。何でもかんでもできたっていうから手もたくさん触手みたいにニョロニョロあって………………ゆ、勇者……」

 ルーシュは説明しながらも勇者像が途方もない化物に発展して行き顔を青ざめさせる。

 口の説明を断片的に聞いた所で、どう考えても人間種族ではなかった。

 どこの世界に存在するかも不明な『終末に現れる神造生物兵器オメガ』的なナニカを想像しているとしか思えなかった。

 ルーシュは1人で勝手に想像して、勝手に恐ろしさの余りに身震いする。

 レナもシホもルーシュがまた明後日な方向性に勘違いしていると理解するので、それはいったんスルーする。

「そこで、ルーシュよ。その勇者を見てきて報告をして欲しいのじゃ」

「勇者を見て?…そ、それは…僕に死ねと…?」

 シホの言葉はルーシュにとって恐怖以外に何者でもないだろう。魔王が殺されるならまだしも、その前にお前が死んで来いなどという言葉と同義である。

 よもや従妹からそのような死刑宣告をされるとも思っておらず、ルーシュは更に顔色を悪くする。


 暗黒世界の子供達は、小さい頃から『夜更かししてると勇者に食べられちゃうぞ』とか『遅くまで出歩いていると勇者に襲われるぞ』と、周りの大人に聞かされてきたものだ。地方では勇者を恐れて『悪い魔族はいねがー、悪い魔族は食っちまうぞー』という勇者祭りなどが実在している。魔族にとって人間種族、とりわけ勇者は恐怖の象徴だった。


「も、もう夜更かしもしないし、毎日歯磨きもします。で、ですからそれだけは…」

 ルーシュ・バエラス3世、14歳の少年は9歳の従妹に土下座で懇願する。そんな様子を見るレナは現魔王にそっくりな幼馴染に情けなくなる。

「ルー兄よ。勘違いしておるぞ」

「勘違い?」

「…実は……勇者はどうも思ったより凶悪な生物ではないそうなのじゃ」

「ホント?近付いたらいきなり牙をむいて食べようとしてこない?」

「提灯鮟鱇じゃあるまいし、そんな危険な生物じゃないぞ」

「……」

 ルーシュは疑わしげに従妹を見る。二人の視線が交差する。


 いじめる?いじめる?

 いじめないよぉ


 というようなやり取りを視線だけでかわし、ルーシュはとりあえず虐められないと分かったようなので話の続きを聞く事にする。

「200年前の魔王と今の魔王が違うように、200年前の勇者が今の勇者と違うに決まっておろう」

「ま、まさかのポンコツ勇者!?」

 ルーシュは恐るべき事実に気づく。

「って、ルー君!君は僕をポンコツ魔王だとでも言いたいのかい!?」

 横で見ていた魔王は慌てて抗議するのだが、3人は魔王の方に振り向き(本人に自分がポンコツ魔王だって自覚が無かったの?)と呆れた表情をする。

 冷たい視線に魔王は黙るしかなかった。

「コホン。まあ、ポンコツ魔王はどうでも良いとしてじゃ」

 シホは9歳ながらも父親に対して厳しく接する。

 ポンコツ魔王は悲しげに仕事に戻る。判子を押すだけの仕事ではあるが。

 そんな情けない父を無視してシホは従兄に諭すように語り掛ける。

「というより消去法でルー兄なのじゃ。まず勇者は何者かは分からぬが、大まかに居場所は把握している。これは地上にいるラフィーラ教徒の魔族による情報じゃ。そして勇者はどうも我々が思っているものと少し違うようじゃというのが分かっておる」

「う、うん」

「勇者が魔族の敵になるなら、我々は戦うしかないのじゃが、そうでないかもしれない。勇者の監視をして、いざとなったら勇者と戦えそうな戦力を保有している個人となると…分かるであろう?」

「なるほど」

「勇者と戦えるのは暗黒世界において魔王と魔王継承権を持つ我ら3人しかおらぬ。とは言っても妾が行っては政治が回らぬし、仮にも魔王がそんな所に行ったら逆に問題じゃろう?まあ、確かに仮みたいな魔王ではあるがの」

 厳しい言葉を口にするシホ、うんうんと頷くルーシュ。



『拝啓、アイリーン様

 最近、娘からの当たりが強く、心が砕けそうです。何故、私が魔王として生まれてしまったのか、嘆く日々が続いておりますが、それでも元気に生きてます。

 いつか貴女様と再び会える日を夢見て、娘の成長に喜びを感じながらも、毎日一生懸命耐えて頑張っております。かしこ』



 遺影に手紙をしたためて手を合わせて現実逃避する魔王(仮)がそこにいた。

「って、そこ!死んだ嫁さんに手紙書かない!遺影に手を合わせない!」

 ルーシュは魔王へ突っ込みを入れ、シホは情けない父親に対して盛大に溜息をつく。

「まあ、本当の話、勇者が何者か分からない以上、我々も対処できんのじゃ。でもルー兄くらいしか対象者がいないのじゃ。何せ…逃げ足だけなら暗黒世界最速じゃからな」

「ようするに勇者の観察をしろと?いざとなったら逃げ足の速い僕が適任だと?」

「それに、メリッサ様からも『ついでに社会勉強もしてきなさい』とのお達しじゃ。むしろそっちがメインといえなくもないがのう、ルー兄の場合」

 何故に同じ境遇にある年下の従妹に社会勉強がメインとさえ呼ばれてしまうのか、ルーシュは凄く悲しそうな表情で従妹の幼女を見下ろす。

「ぼくしかいないの?他には?」

「勿論、他の者も向かわせるのじゃ。政治に関わりの無い記録員といえば誰か分かろう。それに、バエゼルブ領はそもそもルー兄自身、他人任せで管理なんてしてないのじゃろ?形だけの君主と聞いておるし」

「そりゃ、父さんいなくなって僕のものになっても、僕より詳しい大人がたくさんいるから、僕がいなくても回るようにしたし」

 1年前、父がいなくなりルーシュに全ての指示を仰ぎに来た自領の大人達に仕事を託した(放り投げた)のだが、それが上手く回っている。

 ルーシュはむしろヒマになっていた。バエゼルブ領は押さえつけがないし税金が低いという理由で、他の領から引っ越してくる人員が多く、経済がかなり上向きになっている。

 そもそも魔王家がこんなポンコツ集団だとは民草もよく知らない。元魔王家のルーシュ様のいる町で暮らしたいと思ってしまっても不思議ではないのだ。

 実はそれが他の魔公貴族達から睨まれている原因でもあるが。


「まさか、いなくなっても困らないという理由で、勇者に売られるなんて思わなかったよぉ」

「人聞き悪いのじゃ。それに………」

 それ以上、シホは口をつぐむ。

 ルーシュは怪訝そうにシホを見るのだが、シホはそれ以上の言葉をやめて首を横に振る。

「ま、まあ、ルー兄は他の魔族の抑止力になるからの。勇者に危害を加えて、本当に戦争になったら困るが、ルー兄が勇者の近くにいれば動けないじゃろ。魔神の再来とか、ポンコツ魔公王子とか、魔王の再来などと呼ばれておるからの」

「そお?」

 ルーシュは体の良い口実だとしか思えなかったようで口をへの字に曲げる。

 どさくさに紛れて蔑称も紛れていたが気づいて様子もなかった。

 ルーシュはよく、周りの老人からは『ルーシュ様は見た目や技能はシャイターン様の生き写しのようなのに、何で…ポンコ…』とよく言葉を濁されてしまう。魔族の祖とも言うべき魔神シャイターンやその子孫である魔王ルシフォーンに似ているという自覚はあった。

 実際、魔王城の霊廟に飾ってる魔神シャイターンの遺影は、ルーシュにそっくりだった。年齢は随分と違うが。

「人間の営みに関わらなくても生きていけるじゃろう?ルー兄は勇者をそっと見守りつつ、他の諜報員が調査した結果を聞いて、関係ない魔族が勇者に危害を加えないように見張れば良いのじゃ。簡単じゃろう?」

「なるほど。でも…そういう裏方とか面倒だよう。ううう、さびしいのもやだよう。心が折れるよう」

 ルーシュは悲嘆にくれていた。友達が少ないルーシュだがやっぱり1人は寂しいのだ。

 小さい頃から母親に放置され魔王に育てられた。本能で他人を傷つけてしまうと言う理由で一人でいることが多かった。始めて対等に付き合ってくれた他人は、人間でなくフェンリルという神狼族の長だった。

「じゃー、私もついて行こうか?楽しそうだし!勇者って見てみたかったし。サインとか貰っちゃったらダメかな?それに外の世界ってどういうのか見てみたいし。向こうの本とかも読みたいし。それにお母さんの故郷なんでしょ?」

 レナは地上界に出る事に対して乗り気だった。

「勇者のサインを貰う魔族って…」

 シホは突拍子の無いレナの提案に頭痛を耐えるようにコメカミを抑える。

 レナはいつもルーシュと一緒にいるので、魔公の常識はあるものの、脳のめぐりはルーシュ寄りで、発想がおかしいのだ。

「本当は妾が行きたかったのじゃが、妾がいないと暗黒世界が回らないし、父上が出て行っては地上が滅びかねないからの。ルー兄だけでは心配だったが、レナが行ってくれるなら安心じゃな」

 シホは両手を合わせながら嬉しそうに頷く。

「ううう、逃げ道さえ幼馴染に絶たれたぁ」

 ルーシュは深刻に勇者が怖いため、涙目で周りが勝手に話を進める事に悲しむ姿を見せていた。その恐怖を植えつけたのは誰でもない周りの大人達である。


「と、いう訳で魔王として勅命する!魔公王子ルーシュよ、勇者諜報員として活動せよ!」


 最後に美味しい所だけとっていく魔王にシホがイラッとした様子を見せたのだが、ルーシュは生贄なのでもう何も逆らわずに「はーい」と適当な返事を返していた。

 こんな訳で勇者への諜報活動が始まったのであった。

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