最近のヴァンパイア事情
昨日、コンビニで堂々と週間少年雑誌を立ち読みをしているヴァンパイアを発見したので、店を出るまで待った後話しかけた。最初は険しい顔でこちらを見たが、警察の者じゃないと彼は表情を緩め、尖った耳をピクつかせながら笑顔で応じてくれた。
最近は、血よりもコーヒーにはまっているらしい。特に某コーヒー店のアイスミルクコーヒーが好きで、モーニングの時間帯に行き、トーストと卵を食べるのがたまらないらしい。あれ? 吸血鬼は夜しか活動し無いんじゃなかったっけ? と聞くと、彼は無料サービスの為に生活リズムを変えたといった。コーヒーチケットまで買ったあたり涙ぐましい。
他にも聞きたいことは山ほどあったが、明日のモーニングの為に早く寝なければならないらしく交差点で僕らは別れた。
人間の血は色々なものが混じってしまった。糖分も多いし体に悪い成分も多いから、今やそう易々と吸うことは出来なくなってしまった。また、彼らを吸血鬼の仲間にしてもあまり期待できる感じではない。一杯のコーヒーの方がどれ程私の期待に叶うものであることか。
その言葉を聞いた後、僕は夕焼けで赤く染まる家路をゆっくりと歩き始めた。