愛されてるのは、私だった
いつもいつもの愛の確認、再確認。
「ねぇ、IとYOU、どちらを取る?」
そんな滑稽で重っ苦しい質問にも彼は
「そんなの、YOUに決まってる」
と答えてくれた。
…今回も、そうだと思っていた。
「どちらを取る?」
彼の顔が、少し青白くなった。
「っ…」
つっかえて苦しそうにしていて、そのままで入れるわけがないわ。
「どうしたの?!どこか悪いの?」
よく考えれば、もう答えるのに疲れた、重いよ、っていう事だったんだ。
それに気づかなかった。
「また明日ね」
といってベッドに倒れ込む。
嫌な予感の中で、意識を落としていった。
変な夢を見た。
彼が私から離れていって…それで最後に言われるの。
「君を死ぬほど愛していなかった」
死ぬほどなんて求めない、ただ一緒にいられればそれだけでーーーーーー
そう、正夢だった。
気づけなかったのは、私の方。
愛されてたのは、私の方。
どうして、と願いながらも自己嫌悪。
矛盾ばかりでどうしようもない。
でも、せめてこれだけは。
「幸せ…でしたよ。」
その時、あの人に似た姿を見た。
「あっ…」
伸ばしかけていた手を戻して、また歩いていく。
「これで…よかったの。」
重苦しい愛に見切りをつけて、
また進む。
ああ、綺麗な朝日ね。
それほど大きく綺麗な心であったなら、
愛を求めすぎなかったかもね。