STAGE14:最終話
あの日から5年。
たくさんの土地と、たくさんの都市と、命が失われた。
今でも思い出せば聞こえる声。
「助けてくれ!!」
思い出せば映る凄惨な光景。そしてキノコ雲。
疑心暗鬼に陥った国同士の戦争。経済・秩序の崩壊。
それでもなお
ゴキブリのように
人類は限られた領土で生き続けている。
第二次大災厄と名付けられた日から、人類は無限に出続けるモンスターと、地震、大雨、雷、大雪。様々な自然現象が人類に降り注いだ。
国の母体を守るため、モンスター殲滅に軍事衛星に取り付けられた核ミサイルを放つ国も現れる。
世界と世界の融合で沈められた国もある。
逆に国土が広がった国もある。
しかし、彼らは滅んだ。生きていけなくて。
かつての世界とは違い、軍事衛星で確認しきれないほど惑星は大きくなり、雪に覆われる国が増えた。
人類が安定して暮らせるところ。赤道より少し上に位置したアガルタ共和国だった。
金など役に立たなかった。全ては力ある者のみが生きた。そして命あるものは、僅かな希望にすがり、楽園へとたどり着いた。
――――――――アガルタ共和国
「国土防衛の城壁が完成しました」
「報告ありがとう」
今や、アガルタ共和国は世界に唯一残っている国だろう。
アスガ一行がたどり着いた時、アガルタ共和国は比較的安全だったのは奇跡と言えるだろう。
強大な文明を保持していた現実世界は大規模な災害が起きた時の被害が大きかったが、ゲーム上では魔導機による文明。被害など建物が崩れただけで済んだのだ。
南部から進行してくると思われていたモンスターも、地震に被害で侵攻できず、すぐに壁は再建された。
カルタゴ人民の積極的な救済も行われ、プトレマイオス共和国からもどんどん大災厄移民を受け入れた。
人口も1億人を誇る国へとなった。
「一段落ですね」
「そうも言っていられないだろう。あの時イリヤが動いてくれなければって思うとこの国があったかどうか、わからないからな。感謝している」
「いえ、こ、皇女として、国のトップとして当たり前に動いただけです」
「そうか。だが、これからの仕事はもっと大変になるだろう」
「私たちの出番ですか?」
アスガとイリヤ。そばにいるのはフィオナ、ユーマ、ソーマのアガルタ共和国衆とクローデリア、ウォルダーのカルタゴ衆。そしてメンティフィスやサルデーニャの女狐等共にアガルタ管理局と戦った仲だ。
この人類が衰退したをあいつらは予測して、アガルタ共和国を放置していたのか?それはわからない。滅ぼすほどの時間がなかったのかもしれない。あれだけ化け物じみた力を有するアガルタが来れば、こんな国など、すぐだったはずだ。
ここにいるメンティフィスの永遠のライバルであるエレボスに聞いたところでわかりやしない。
ただ、最後に言われていたことが、
“崩壊したあとの世界は、あいつらと協力しろ”
とのことだった。
「俺たちが保有している力は常人離れした力だけだ。かつて人類が築いた文明を再興させるほどの技術者もいなければ、技術力もない。しかし、それでも、人類は再び復興するだろう。今は耐え忍び、モンスターの進行を防ごう」
たとえ敵であろうとも、人類の敵が生まれた以上、協力をする。
アガルタ管理局の残党兵士10万人もアガルタ共和国に引き入れた。
「何年かかるかわからない。でも、俺たちは戦い、再びこの星を取り戻す!!」
「そうですね」
「ああ。人類は屈しない。絶対に屈しない」
アスガの、そして人類の新しい戦いが始まったのである。
一応、これで完結です。連載したのが去年の12月29日。
約一年間応援ありがとうございました。