STAGE12:途中経過Ⅵ
「シャンバラが滅びる・・・・・」
じゃあ、俺が、守が一心に築き上げた国もみんなも・・・イリヤも、フィオナも、ユーマも、みんなみんな、消えちまうってことか?
「ちょっと衝撃が強かったか?」
でも、それならなぜあれだけの大量虐殺をしてきたんだ?
「現実世界への宣戦布告なら勝手にすればいいさ。でも、それならなぜ」
思い浮かべる消えていった人々。健介は・・・・ともかく、シュージさん、ユーリ・・・・
「あれだけの人々を殺した!?なんで、どこに殺す必要があった!?」
「・・・ったく考えろよ。俺たちに必要な酸素も、食料も、出てくるモンスターも、NPCも何から作られてると思っているんだ?」
「!!」
「そういうことだよ。全部METだよ。だから逆らうやつだけ限定で殺してきた。何千万人というNPC・プレイヤーを殺してきた。殺せば腐ってMETに還るんだからよ。もし殺していなかったら、今頃」
想像する。どうやって滅んでいくかはわからない。でも、消えていくシャンバラがアスガの脳内には鮮明に映り出された。
「なら、なぜ、そのことを公開しなかったんだ?」
「公開なんてしてみろ。お前でこれだ。すべてのプレイヤーが発狂し、計画完遂までの期間経済が持たなかっただろう」
「・・・・」
彼らのしてきたことは全て理にかなったことだった。情報を公開したところでたくさんの人々が混乱し、混乱は経済を脅かし、治安を犯し、国を滅ぼさせる。そうなれば、いくら管理人とは言え、資材集め、計画費用等集めることは不可能だっただろう。
「そういうわけだ。貴様なんかと俺は戦っている暇などない。ゲオルグ。計画の進行はどうだ?」
コンピューターを弄っているゲオルグはアガルタの声に振り向く。
「最終フェイズへと移行する。そろそろ準備してくれ」
「わかった。というわけだ」
「最後のひとつ聞かせてくれ。どうやって現実世界へとつなぐんだ?」
「簡単なことさ。向こうのコンピューターがやられただけで、こちら側の量子コンピューターは破壊されていないのさ。だから一方的な接続は出来ている。現実のコンピューターを経由して世界中の大気中のMETに強制的なゲートを作り出す。ゲートとゲートを繋ぎ、巨大なゲートを作る。世界と世界が融合されるわけだ」
「しかし、むこうのコンピューターから返信がないことを見ると、手を触ることすらしていない。俺たちに諦めているようだな。コイツが生きているから、この計画が始まったのさ。」
「おしゃべりはこれまでだ。そこに座ってくれ」
「ああ」
アガルタは言われた通りに量子コンピューターの隣に座り、物々しい機会を付ける。
「お前が現実世界への開拓者だ。はじめるぞ」
「ああ」
Enterキーが押され、まばゆい光に飲み込まれる。
「俺もすぐ往くぞ」
ゲオルグは意味のわからない言葉を口にする。
「アスガ・・・・」
「なんだ・・・・」
「死んだ目するな。昔のよしみで一言いってやるよ。融合された世界でシャンバラのきれいな都市も、国もおそらく滅びるだろう。だが、それでも生き残れるのはお前たち人外の力を手に入れたA.Sプレイヤーだ」
「何が言いたいんだ?」
「しばらくすれば仲間が追いかけてくるだろう。希望を捨てるな。お前にはするべき仕事があるはずだ。アガルタ共和国国王様・・・・」
その一言を言うと、彼を中心に巨大な光に包まれた。
「最上階はどこだよ」
「登ればいつかは着く」
「いい加減だなおい」
フィオナ、クローデリア、ウォルダー、ユーマ、ゾーマは合流し最上階へと向かっていた。
「ん?」
ユーマはある異変に気付く。
「揺れてないか?」
「じ、地震だ!!」
“グシャン”
“ガタン”
縦揺れ、横揺れ、斜め揺れ、一定方向に定まらない立体型な揺れが続き、立つことするままならない。
「いたたたた・・・・大丈夫か?」
「ああ。かなり効いたが、A.S内で地震なんてあるのか?」
「わからん。ただ、これがメンティフィスの言っていた現実世界との融合と関係があるのではないか?」
ユーマとソーマの会話を聞いていた3人は嫌な予感を感じ、5人は上へと進む。
「アスガ様!!」
そこに、最上階には呆然と座り込むアスガがいた。
「ど、どうしたのですか?」
「エージ・・・いや、ゲオルグ。俺は、俺は・・・・今まで、何のために・・・戦ってきたんだ・・・・」
今まで戦うため、アガルタ管理局に対し復讐をするため、戦ってきた今までの人生が、全て否定されたようなものだった。
復讐するため、殺すために戦ってきたアガルタ管理局は、一番にアガルタ人民のことを考え、生き残るために戦いを選んだのだ。
本当の正義はアガルタ管理局だったのだ。
なのに・・・
「ならば俺はただの・・・・」
「アスガ様?」
周りが見えていないアスガにフィオナは声をかける。だが、全く聞こえていないようだ。
「殺人鬼じゃないか・・・・・」
ばたりと倒れるアスガ。周りは、背筋に寒気を感じたのだった。




