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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第五章 崩れ去る平和
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STAGE8:途中経過II

「はぁ、はぁ、はぁ」


「い、いつまで、続くんだ・・・」


ソーマとユーマを残し、上へと進むアスガ、フィオナ、クローデリア、ウォルダーの4人は終わりの見えない階段を上ることに疲れてきていた。


「先を急ごうぜ」


「ああ」


ウォルダーが息切れしながらも周りを励ます。だが、その先のワイヤーをアスガは見落とさなかった。


「どけ!!ウォルダー!!」


「!?」


突然首えりを引っ張られ、畳数百畳もありそうな階段の踊り場へ戻される。同時進行してアスガは剣を抜き、ワイヤーを切り裂く。


「伏せろ!!」


「「!!」」


“ドゴォォォン”


爆発と同時に周辺が炎の海に染まる。


フィオナとクローデリアをかばい、ウォルダーはその自体を飲み込めないでいた。


「アラアラ?せっかく私がトラップ仕掛けてあげたのに・・・残念」


隠し扉から出てきた一人の女。


「ナ、ナパーム弾?またオーバーテクノロジーか・・・」


「ご名答」


天井からランスを抱えたまま落下してきた男は語りだす。


「大災厄後、苦しみから逃げ延びようとオーレリシア人はアーフカリア南部にいる黒人を奴隷として新たに隆起した大陸“北アメリカ大陸”と“南アメリカ大陸”へと逃げた。北アメリカ大陸を、国難から立ち治すためにウェールズ王国を制圧したイングランドは植民地にしようとした。そしてその後の独立戦争を経て世界第二位に位置するアメリカ合衆国がベトナム戦争で使用した兵器だ」


「タナトスか」


アスガはぼそっと呟く。


「俺も有名になったものだ」


「貴様が持っているそのランス。元は誰のものだ?知らないとは言わせない」


「おお。これか?嘆きのライオンとか言ったな。あいつは強かったぜ。まあ、俺がボコボコにしてやったからな」


「おしゃべりはそれぐらいにしたら?」


ふらりと現れた女。その身長、顔立ち、口調、声。それはアスガにとって永遠に忘れられない存在だった。


「き、貴様は・・・・アルテミス!!」


「誰よあんた?」


「ログアウト不能時代初期にお前が殺した健介を、お前の部下を殺した俺の顔を忘れたのか!?」


「あの時のクソガキか!?」


ようやく気付いたようだ。


「ア、アスガ様・・・・なにやら良くない因縁がありそうですが」


「大ありだ。俺のリアルでの親友をミラージュ内で殺され、西オーレリシア戦線では俺の仲間が沢山こいつらに殺された。その恨みは晴れちゃいない」


「お前・・・そうか、そういうことか」


クックックと笑い出すタナトス。


「何がおかしい!!」


「いや、これよりも奥に行けばわかるさ。真実がな」


「どういうことだ!!」


理性が切れかかっていうる。アスガ本人は気づいていないが、周りは確かに気づいていた。


「アスガ殿、ここは私たちに任せて先をお急ぎください」


「・・・・あいつらは強いぞ」


「ええ、承知の上です」


「俺はお前たちを失いたくはない」


3人の目を真剣に見つめるアスガ。だが、フィオナはため息をつき呆れる。


「また出ましたよ。前も言ったじゃないですか。私たちのこと頼ってくれていますか?」


「うっ・・・・・」


フィオナの一言に手も足も、言葉すら出なくなったアスガ。こう見るとなんとも弱々しいものだ。


「いいですか?君主たるもの部下を頼るときは頼らないと。自分で何でもできると思うのは間違いです。そんな変な思い上がりはもう捨てることです」


「はい」


「では、お願いします」


「わかった。フィオナに命じる。あいつらを確実に殺せ!!八つ裂きにしろ!!西オーレリシア戦線でのたくさんの命と、失ったアガルタ共和国の民の命の弔いだ」


命令にはアスガが感情を抑えきれていないことが言葉に溢れ出ている。


「ハイ」


「クローデリア、ウォルダー。フィオナに協力してくれるか?」


「協力もなにも、我々はそのためにここにいる。言われるまでもない」


ウォルダーは腰から大型回転式拳銃を引き抜くと、トラップを仕掛けた職業工作員のフレア(Lv.167)に向けて発泡する。


「ちょ、ちょっと!!いきなり襲うことないじゃん!!」


「というわけだ。クローデリア。行くぞ!!」


「ああ」


クローデリアは、砲槍を手に持つ槍騎兵であるタナトス(Lv.197)に向けてソニックウェーブをかける。


「こんな狭いところで大技出すなよ!!」


“バコン”“バコン”“バコン”


砲槍から次々に放出される擲弾。


「ぐぅ!!」


飛来した敵弾はあたり一面を爆破していった。


「みんな・・・ありがとう」


アスガは一人階段を突き進む。


「では、私たちも始めましょうか。アルテミスさん」


「ええ。フィオナさん」


アルテミスは召喚石を手に掲げると自分の周りにいくつもの鎧甲冑の兵士を出現させた。


「召喚士ですか・・・厄介なことこの上ないですね」


「かかってきなさい。相手にしてあげるわ」


3人は仲間のため、もう3人は目的のため、自分の正義を掲げて彼らは戦う。


そして、西オーレリシア戦線においても互いの正義を掲げた争いが起こっていた。







「オラオラオラ!!これが魔粒子砲を装備した重装甲兵の力か?」


「なんという力だ」


巨大な剣に金属でガチガチに固められた鎧を扱う男。プトレマイオス・メンティフィス。


「魔粒子砲扱うって言っても宝の持ち腐れだな!!指揮官がへぼいとこうなるのか?」


メンティフィスはたった一人で敵陣に突入し暴れ、聞こえるかのように暴言を吐く。


「メ、メンティフィスめ。人を馬鹿にして」


「エ、エレボス様。挑発に乗ってはいけません」


アガルタ18柱時代からの犬猿の仲であったエレボスとメンティフィス。メンティフィスは彼の性格を知っているからこそ、この作戦に出た。


短気は損気とよく言う。短気であるエレボスを戦場におびき出す。それにより見方撃ちを恐る重装甲兵は手も足も出なくなる。


そうなれば今まで塹壕で隠れていた部隊は一気に突入。風船に穴が空いた時のように一気に敵の勢力はしぼんでいくだろう。


「まあ、昔から俺に勝てずに弱腰のへっぴり腰で永年負け犬だったからな。負け犬根性でも芽生えちまったんだろうけど、どうせ未だに雑魚脱却は出来てねえんだろうに」


「ふ、ふ、ふ、ふざけるなあああああああああああ!!」


「エレボス様ああああああ」


切れた。完全に切れた。そして完全にメンティフィスの作戦通りだ。


「もう許せん。いや、もともと許す気などない。コロス、殺す、ころす、ぶち殺す!!」


「へっぴり腰が動いた。ぎっくり腰になるなよ」


「俺はアガルタ管理局のNO.2で、Lv.209の暗殺者エレボスだあああああああ」


「暗殺者は日陰にいろよ。表舞台に出てくると痛い目見るぜ。それでもいいなら、かかってこい。日の光が届かないバク領域に押し詰めてやる」


ここに因縁の対決が始まった。





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