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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第五章 崩れ去る平和
63/71

STAGE7:途中経過Ⅰ

“バァン”


“ガチャン”


ボルトアクション式の狙撃銃から弾が放出され、狙撃手はボルト操作し装填を始める。


「軽装兵の身軽さ舐めないで欲しいな」


「クソッ」


珍しく冷静で無口なソーマがいらだちを隠せないでいる。


相手はLv.147の軽装兵フィリア。対するソーマはLv.137の狙撃手。


連発式の重火器も扱えないことはないがあいにく手持ちにはない。ましてや弾込めに時間がかかる狙撃銃に相手は身軽な軽装兵。軍団対軍団の戦闘で遠距離ならば圧倒的な有利に立つ狙撃手だが、この場合は明らか不利な状況である。そして10のレベル差は状況の有利不利関係なく不利な状況へと追い込む。


一方


「動きが鈍いですよ!!」


「ウグッ!!」


動きが鈍いが一発の攻撃力とその異常なほどの重装備から防御力は高く軍団対軍団において切り札として使われる重装甲兵。


彼の名前はレージ。アガルタ管理局中央議会No.12の最下位である彼はLv.131の重装甲兵。

対するはアガルタ共和国軍近接戦闘部隊を率いるLv.130の剣士ユーマ。


レベル的に劣る彼だが、状況は有利である。圧倒的な速度の差に攻撃速度の差。いくら防御力攻撃力に優れるからとは言え、当たらなければ意味がないということである。


「さすが最下位ですな」


「き、貴様・・・言わしておけば」


「隙有り」


「グハアアア」


人が話をしているのにも関わらず容赦なく攻撃をちまちまと仕掛けるユーマ。

戦ってる時に余計なこと言う方が間違っている。


その通りでございます。


「くらえくらえ」


「ウグッ、い、痛っ、やめろ」


「おりゃあああ!!」


「カハッ」


一方的な攻撃が続き。ちまちまとダメージが加算していく。レベルの1の差がこのゲームでは大きいが、当たらずに攻撃を続けていけばレベルが低くても勝てる。


そして、一番の強みが基礎値の高さである。


レベル上げをするために必要なのは経験値。だが、訓練をすることにより経験値は上がらないが基礎値が上がるのだ。


厳しい冬季トレーニングを積んであげた基礎値はそこらの人間に負けるような値ではなかった。


それはソーマにも言えることだった。


「これで終わりよ!!」


身軽なステップに上から剣を上段構え。


「クソがあ!!」


カキィンと甲高い金属音が鳴り響く。剣と剣が触れ合う音。


「何!?」


「ガンブレード持っていて良かった」


銃身が剣になっている武器「ガンブレード」に装備を切り替えたソーマ。


「狙撃手が砲兵の装備であるガンブレードを!?」


「基礎値が達してれば、職業二つ兼ねることもできるだろうが。アスガ殿は格闘家と剣士その他云々かけあわせた戦士の職業だからな」


敵が状況を飲み込めないうちに剣を振っては撃ちを繰り返す。たとえ斬撃を防いだとしても、その後に来る銃弾と、銃弾を防ぐ際の衝撃は高レベルでなければ難しい。


ましてや、狙撃銃に比べて扱いづらいが、口径が大きく攻撃力の高い弾丸を使うガンブレードの衝撃だ。


「ウグッ!!」


銃弾の攻撃力がフィリアの防御力に二倍あり、防ぐことに失敗し、吹き飛ばされる。


「レベル10の差?それは基礎値が同じの話。基礎値がそれ以上に高く、装備が極上、そして人間の急所である頭を確実に狙えれば負けることはない」


「た、助けて・・・・」


「バグという極楽浄土に連れてってやる」


「フガ」


口の中に銃口をめり込む。


“ガン”“ガン”“ガン”“ガン”“ガン”“ガン”


口から溢れ出る血液と漂う火薬の匂い。漂う煙。


「そっちも片付いた?」


「・・・ああ。たった今」


無傷で帰ってきたのはユーマ。素早い身動きでちょびい攻撃を繰り返しているうちに、敵のHPがなくなったという勝利を飾ったユーマ。苦戦したが、なれない装備を使うことにより勝利を手にしたソーマ。


「追うぞ」


二人は先を行く4人を追いかけて階段を上る。






その頃


――――――アガルタ管理局防衛線付近


「撃てええええ!!」


“パシュウゥゥゥン”


一列に並んだ重装甲兵の右腕に装備された抱え大筒と呼ばれる大型マッチロック銃に背中の魔導機と繋がるパイプ。


銃口に集まる緑色の光は徐々に大きくなり、直線に進む。


「ぐわああああああああ」


「うをおおおおおお」


戦闘開始から2時間。80万対40万。2倍の差を誇る軍勢を指揮するのは反アガルタ管理局同盟の三人。プトレマイオス・メンティフィスにシルヴィア・サルデーニャ。ブルクハルト・バルクホルン中将。


「対するアガルタ管理局軍の指揮官はアガルタ管理局中央議会のNo.3エレボスだな」


前線基地から双眼鏡で敵指揮官を眺めるのはLv.208になった職業重装甲兵のプトレマイオス・メンティフィス。


「とはいえ、俺が確認したところ既に12人のうち4人がアスガと女狐にやられているからな。指揮官に実際のNo.2であるエレボスを配備するのは妥当なところだろうな」


「噂によりますと、一度自身の部下を連れてアガルタ城に忍び込んだそうですが、アスガ殿にボコボコにされまして、悔しいことから修行に出たそうです。今となってはLv.210に達する勢いとのことです」


「そうか。それは面白い」


小姓の報告を聞いてメンティフィスは立ち上がる。


「よし、俺が陣頭指揮を取ってやる」


「メ、メンティフィス様!?い、いくらメンティフィス様とはいえ、ま、魔粒子砲は・・・」


という警告も虚しく彼は全く聞いていない。


「エレボスの首を取る」


ランスを右手に、左手に楯を持つと高らかに宣言し、単独で突っ込んでいった。


「ま、待ってください!!」


今のメンティフィスに彼の声は聞こえなかった。




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