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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第四章 つかの間の平和
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STAGE5:仲直り

「きっと・・・アスガさんは私のこと邪魔なんです」


「は、はあ・・・・」


さっきからこの調子だ。私の胸に泣きついて飛び込んできたから、何がとかと思ったが・・・まさか・・・


「アスガさんにとって私は人質にされると困るから、守るだけで、それ以外価値がないんです。本当は邪魔な存在なんです・・・」


同じことの繰り返し・・・・姉として、なんでこうなったのかと悩むフィオナであった。


「なんでそう思うのです?」


「だって・・・昨夜、私の価値を聞いてみたら黙り込んでしまいました」


「・・・・無知は罪・・・ですよ」


「えっ?」


フィオナの意味深な発言に理解をできないイリヤ。


「イリヤ・・・少し反省しなさい」


「へ?」


「あなた・・・アスガ様がイリヤのいない間・・・どれだけひどい状態だったのか分かって物を言っているんです?」


いつにもなく真剣な眼差しを向けるフィオナ。


「どういうこと?」


さらわれていたイリヤが知るはずもない話だ。

イリヤの知らない事実をただ、ありのままに話すフィオナ。


「アスガ様はイリヤがさらわれてから、イリヤを助けるために国民を取るかイリヤを取るかで悩み続けていたんです。イリヤを助けたい。でも、そのために軍を出したら、この国はがら空きになる。俺が居なくなったらアガルタ管理局に攻められるかもしれない。だから軍を動かせないんだって・・・毎日嘆いていました」


「じゃあ、なんで私がいなくなると困るんですか?私がこの国にいる価値は?」


「価値の有無の話じゃないんです。アスガ様はイリヤがこの国で働くことを誘ってくれた事にとても感謝しているのですよ。人を殺すためだけに培った力が、誰かを守るために使える。そして私たちと一緒にいるこの空間が大好きで、それを壊したくないんです。その空間の中にイリヤが含まれることが絶対なんですよ」


「・・・・・」


衝撃の事実に俯いて、黙り込むイリヤ。


「アスガ様がイリヤを大切にする、守りたい理由。それはイリヤの価値有無じゃないんです。一人で戦ってきたアスガ様を孤独という底から引っ張ってくれたあなたが、国民の誰にでも笑顔を振舞って、誰にでも優しくできるあなたが、ただ単に大事なだけなんです」


自分の思っていたことが、どれだけ愚かで、そしてアスガを傷つけて、悩ませた事を悔やむイリヤ。


「人を大切に思う。そこに、価値の有無が必要ですか?」


「ううん・・・・そんなことない」


「それとも、イリヤはアスガ様のことをなんだと思っていたんですか?アスガ様は確かに強いですけど、それでも、人間なんですよ?元の世界になったら、あそこまで強くありません。この世界を構成するプログラムがあそこまで強くしているだけです。それに、利用価値とかで人を切り捨てるような残虐非道な人間ではありませんよ」


「・・・・うん。うん・・・・ありがとう・・・お姉ちゃん」


「じゃあ、これでお姉ちゃんは終わりです。さて、イリヤ様・・・・アスガ様のところに行きましょう」


「はい」


涙をふいて、イリヤは立つ。イリヤはフィオナと一緒に外に出る。


「よう・・・」


「「!!」」


扉を開けた瞬間姿を現したのは、まぎれもない、この国の王、アスガだった。


「おまえら・・・姉妹だったのか・・・・」


「「!!」」


隠していた事実がバレたことに驚く二人。


「なんで隠していた・・・・」


「えーと・・・ですね」


・・・・意味もない間があく。3人のうち誰一人として言葉を発さない。

黙りを決め込んだフィオナを見て、ため息をつくと、アスガは口を開いた。


「知っている奴は他にいるのか?」


「・・・・ユーマとソーマだけです」


「そうか・・・俺にかくしていたということは、フィオナ・・・俺がお前に気遣うからとか思ったか?」


「!!」


図星でした。


「・・・・はあ・・・どうせそんなことだと思ったよ」


「あ、あの・・・・どこから話を聞いていたんですか?」


顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら、アスガに聞くイリヤ。


「そうだな・・・“きっと・・・アスガさんは私のこと邪魔なんです”あたりからか?」


「ほ、ほとんど最初からじゃないですか!!」


「ああ」


「・・・う、ううう~~」


よほど恥ずかしかったのか、イリヤはアスガを睨みつける。


だが、イリヤのは睨みつけるというよりは上目遣いになっているので、アスガには逆効果だった。


(これで睨みつけているつもりなのか・・・?)


「まあ・・・・なんだ。その、悪かったな」


「え?」


「お前にそんなこと思わせていたなんてな・・・・」


「アスガさん・・・・」


「とはいえ・・・・イリヤ。お前は俺をなんだと思っていたんだ?」


「うっ・・・そ、それは・・・」


痛いところを突かれたイリヤは、口を濁す。


「ったく・・・人を人間じゃないように扱いやがって・・・俺だって人間だ。神様や仏様・・・ましてや化け物でもない。アガルタ共和国国王だ。わかったか?」


「・・・はい」


「それと・・・フィオナ」


「なんですか?」


「いろいろと・・・迷惑をかけたな」


「いえいえ・・・それに立場は違えど、妹ですから・・・」


「そうか・・・」


座っていたアスガはため息をついて立ち上がる。


「仲直りもすんだし・・・・久しぶりに、見回りでもするか?」


「はい!!」


イリヤは先程までの暗い雰囲気の面影はなくなり、元気よくアスガに飛びつく。


「ふふふ・・・行ってらっしゃいませ」


「は?」


「へ?」


アスガの疑問詞に同じように返すフィオナ。


「へ?じゃねえよ。お前も来い」


「え、え、ちょっと・・・ひ、引っ張らないでください!!」


「さあ、姉妹水入らずだ。大蔵大臣はオレ。さあ来い!!」


「ちょっと・・・アスガさん、早いです~~~」


イリヤとフィオナの二人を引っ張るアスガの姿は少年の名残を残す青年の笑顔だった。


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