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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第四章 つかの間の平和
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STAGE4:異母姉妹

“では、フィオナにお任せを”


張り切って行ったのはいいけれど・・・


「イリヤ様は・・・・どこ?」


かれこれ探して30分は立つ。


アスガ様にも、どの方向へ走っていたのか、未だにわからない状況だ。


「仕方がない。出直しますか・・・」


そう言うとフィオナは自室へともどる。




「こんにちは」


「こんにちは。仕事中に悪いのだが、イリヤ様を見かけなかったか?」


廊下を歩いていると、仕事中のメイドと出会う。とりあえず情報収集と言うことでフィオナは聞き込みを開始した。


「そうですね・・・・アスガ様べったりだからアスガ様のところではないでしょうか?」


「そこにはいないのだが」


「そうですか・・・・でも、あのイリヤ様が・・・正直言って羨ましい限りです」


「何が羨ましいのだ?」


「えっ?知らないのですか?・・・・アガルタ城で働いている女性陣のほとんどがアスガ様に恋心を抱いているのですよ」


「そ、そうなのか?」


驚きの事実に驚愕するフィオナ。


「え、ええ。いや~てっきりフィオナ様もアスガ様のことを想っているのかと思いまして」


「な、なななな、わ、私は女である前にアスガ様とイリヤ様に忠誠を誓った騎士だ。そ、そんなこと、或訳がない」


「・・・・・・・・」


赤面をして、断固否定するフィオナを優しい笑顔で見つめるメイド。


「な、なにがおかしい!!」


「だって、フィオナ様・・・私たちと話す時と、アスガ様と話すときの口調が違ってて。アスガ様のときはあんなに乙女でいらっしゃるのに」


「!!」


耳まで真っ赤にするフィオナ。それがいつもとのギャップで、面白がるメイド。


(これは・・・本物ね)


「アスガ様の方はイリヤ様のことを?」


「先ほどそれについて悩んでおられたので聞いてみたら、好きとは違う何か。とか言っていた」


「それってつまり・・・フィオナ様にもチャンスがあるということでは?」


「チャンス?なんのチャンスだ?」


メイドの話についていけないかったフィオナは首をかしげる。


「だって、それはつまりアスガ様はフリーってことなんですよ?ならフィオナ様にもアスガ様と付き合える可能性があるじゃないですか」


「わ、わ、わたし、ごときが、ア、アスガ様と恋愛など、いけません!!」


「なにがいけないんですか?結構お似合いだと思いますよ?」


「そ、そんなこと・・・ない」


「そんなことおっしゃらないで。今度一緒に街に出かけてみてはいかがですか?」


「騎士風情がアスガ様の隣に立とう等、無礼千万です。失礼する!!」


顔だけでなくアルコールに酔った勢いレベルで全身真っ赤にして走り出すフィオナ。それを笑顔で見つめるメイド。


「素材はいいんだけどな~どうも自分に素直じゃないのがいけないのよね~」


遠くなるフィオナの背中を見つめるメイドはいい笑顔をしていた。






「わ、私が・・・アスガ様と一緒にいようなど・・・騎士としてともに戦えるだけでも幸せなのに・・・」


それが結婚だと!!


「そ、そんなこと・・・イリヤ様がいるのに・・・」


ちなみに言っておくが、先程のメイドは一言も結婚してみたらとは言っていない。


「ダメです!!絶対にダメです!!」


道行く人々はついにフィオナ様の頭がおかしくなったと聞こえない程度につぶやいていた。


「仕方ない。自室に戻ってひと休みしよう」


もはや、イリヤを探すという目的は忘れている。


「はぁ~って、なんで・・・・」


「すぅ~すぅ~」


自分のベッドに寝ている少女を見て、驚く。


「イリヤ様・・・」


「ん?・・・・フィオナだ。おはよ~」


「・・・・・なぜ、私のベッドに?」


「異母だけど姉妹だからいいじゃん」


「しー!!そのことはユーマとソーマ以外に秘密にと言い聞かせたではありませんか!!」


金髪碧眼と端正な顔立ち。それだけ見れば確かに姉妹だと言えないこともない。


唯一違うと言えば、その胸の大きさと、精神年齢、そして身長である。


「今は二人っきりなんだからお姉ちゃんって呼んでもいいでしょ」


「・・・・」


キョロキョロ当たりを見回す。そして誰もいないことを確認し終えたら、フィオナは鍵を締める。


「はあ~しょうがないですね。今だけ許します」


「ありがとう。お姉ちゃんに相談したい事があるんだけど」


「なんですか?」


「アスガさんのことについて」


「どうせ、そんなことだろうと思っていましたよ」


フィオナは笑顔でイリヤにほほ笑みかける。


「フィ、フィオナアアアアァァァァ!!」


「はいはい。ほんと昔から泣き虫ですね」


イリヤはフィオナの胸の中で大泣きをした。いつも元気で明るい人がどうしてここまで泣けるのか?そこまで切羽詰っていたのかとフィオナは色々と考えながら、イリヤをだきしめた。


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