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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第二章 過去編
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STAGE17:出陣

この小説内に言葉だけ出てきたデーモンデリーターについてA.Sの外伝作品として投稿しました。デーモンデリーターって何?と思った人も多いはず。よろしければ、ご閲覧ください。

「うっ・・・・うううう」


一本の巨大な剣が地下壕に突き刺さっている。


リリアを殺した剣だ。


その娘の墓標で俺は誓いを初めて破った。課金プレイヤー・・・アガルタ管理局を叩き潰すまで泣かないと、健介の墓標で誓った言葉を。


よりにもよって課金プレイヤーを殺して・・・


そのあと俺は歩いた。地上まではわずかだった。


「邪魔するものは殺す」


俺は燃え広がる炎を諸共せず、マドリード内にある嘆きのライオン本部へと向かって歩いた。行く道をふさいでいたアガルタ軍を片っ端から切り裂いて。


何百人も殺してたどり着いた嘆きのライオン本部は燃えていた。


「・・・・俺たちの・・・思い出の場所が・・・」


アスガは膝まずいた。そして、心の中で再びけじめをつけた。


嘆きのライオンを繋ぐ物は何もない。


それに・・・マドリードがこんな目に合っているということは、


「シュージさん・・・エージ・・・ユーリ」


みんな死に絶えたということだ。言うまでもない。分かっていた。


「なら、やることは一つだ」


アスガはリリアの使っていた愛用の剣を握り、一歩踏み出す。


「皆殺しだ!!」


「な、なんだ貴様は!!」


「死に逝くものに答える義務などない」


ただ、がむしゃらに切り刻んでいく。今のがアガルタ18柱の一人ということも知らずに・・・


切り裂いていく。もう、迷うことはない。俺はもう一度復讐のために人を殺す。


マドリードにアガルタ軍がいないか次々に確かめ、見つけ次第切り刻んでいく。


我に帰ったときは、辺り一面が血まみれだった。


「ふ、ふふ、はははははは!!」


殺した人間の数など覚えていない。


すべての連中が、課金プレイヤーだとは言わない。だが、アガルタ管理局にどんな理由があろうと、近づき、媚を売り、尻尾を振った。ならば、俺の殺す標的だ。


そんなことを考えて、アスガは地面に座る。


「・・・・・貴様はなにものだ?」


「あ?」


ふと声をかけられ、顔を上げる。


「誰だ?」


「俺は・・・・元アガルタ18柱3番目・・・・メンティフィスだ」


「アガルタ18柱・・・3番目。くっくっく・・・面白い。死ねえええええ!!」


舌なめずりをしたアスガは飛びかかり剣を振るう。


「ま、待て!!話を聞け!!」


「誰が聞くか!!貴様らは俺たちが口に出したことを聞いたことがあるのか?」


助けてくれ!!


命だけは・・・


私たちが何をしたんだ!!


「!!」


メンティフィスの脳裏に浮かぶ、嘆いて死んでいった人々の姿。


「そんな、貴様らが!!人に物事を言う権利があると思ってんのかああああああ!!」


「くっ!!」


(なんて奴だ!!レベル150の俺をここまで追い込むとは!!)


相手の兜が取れているのが幸いだった。メンティフィスは顔を確認し、ステータスを確認する。


「レベル154!!」


衝撃の数字にびっくりしていた。


レベル154ならアガルタ18柱の2番目。アイテールの実質レベルである152を越している。


そんな奴がいたのかと・・・


「へぇ・・・・レベル10も上がっていたのか・・・・当然だな」


「?」


「アガルタ18中の四番目と・・・・マドリード中のアガルタ軍を相手にすればなあ!!」


「うぐっ!!」


こんな小さな剣で、重装甲兵の俺を・・・・


吹き飛んだメンティフィスは強靭な鎧に覆われた重い体を起こす。


そしてアスガの尋常ではない筋力値を悟った。


「お前らさえいなければ・・・・・お前らさえいなければ」


「・・・・・」


「死んでいった人々は・・・・静かに暮らせていたんだ!!」


少しの間を開けてメンティフィスは答えた。


「俺もそう思う・・・だから、俺はアガルタ管理局を抜けた」


「どういうことだ?」


「貴様はここにいて、マドリード守備軍を見たか?」


「・・・・そういえば」


見ていない。目に見えたのはアガルタ軍だけだった。


「俺が逃がした」


「はっ?」


「俺が寝返って逃がしたんだよ。そして、お前が戦っていたアガルタ軍は俺を討伐しにきたアガルタ軍。全員逃がしたから、追っての部隊を討伐しようと思っていたら、まさか全滅しているとは・・・アガルタ18柱のうち何人かいたはずだけどな」


「成程・・・・そういうことか・・・・」


「ああ」


「ふぅ・・・・」


地べたに座り込むアスガ。


「話がある」


「ああ?」


めんどくさそうにアスガは首を横へと向ける。


「俺はアーフカリア大陸に亡命する。そしていつか、アガルタ管理局打倒のために挙兵する」


「あっそ」


「その時は・・・・貴様もこないか?」


「遠慮しておく」


「なぜだ?貴様もアガルタ管理局に恨みがあるのでは?」


「ああ。有りまくりだよ。だから、復讐は俺一人で独占したいんだ」


「・・・・はっはっは・・・変わったやつだな」


「お前に言われたくはない。それに・・・」


「それに?」


声のトーンを落としたアスガは顔を伏せて言った。


「もう、馴れ合いはゴメンだ・・・・」


そう言い放つとアスガは立ち上がる。


「どこへ行く気だ?」


「宛てもなくさまようさ・・・」


「なら、名前を教えろ」


「アスガ・・・・だ」


「アスガ・・・・か」


アスガとメンティフィス。二人は一年後再び合う。


一人は某国皇女の護衛として。


もう一人はプトレマイオス共和国国王として。


その一年後・・・彼らは三度目の出会いを果たした。


その翌日・・・・




――――――アガルタ共和国 東砦

「待たせたな」


黒のロングコートに赤色の防具。そして背中にある一本の剣。


剣の名前は“リリア”


本当の名前は別物だが、アスガが名前を変えた。


そしてアスガの後ろに続く8千の兵と指揮官。


銀髪の端正な顔立ちの女性。


「連れもいるのか?」


「カルタゴ第二師団団長のクローデリアだ」


クローデリアはメンティフィスに握手を求める。


「なかなか優秀な部下を持っているな・・・アスガ」


「あんなドデカイ国土を手に入れたお前が言うんじゃねえよ」


アガルタ共和国軍8千の兵とプトレマイオス共和国軍15万の合計15万8千の軍団によるカルタゴ奪還作戦が始まる。


2度あることは3度ある。


彼らはまたしても出会ったのだ。


一人は皇女を助けるために動く国王として。


一人はあの時、マドリードで誓った誓いを果たすために動く国王として。


「「俺の邪魔だけはするな!!」」


二人は戦う前から気が合うようだ。


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