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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第二章 過去編
36/71

STAGE12:帝都マドリード防衛戦

「見えてきたな・・・・」


「まだあんなに・・・」


オーレリシア大陸においての、あらゆる国家の首都の中では最も高い位置に存在するイスパーニア帝国の首都“マドリード”の対アガルタ管理局防御陣地からはアガルタ軍十数万の軍勢が目指確認できるほど近づいていた。


「・・・・魔粒子砲は見たところないようだな」


「あれが十門でもあれば、長距離砲撃により、この都市は戦わずして火の海とかしたでしょう」


現実世界の技術でしか作ることができない魔粒子砲。だが、この世界で作れる牽引式の大砲など、射程数百メートルから1キロ程度だ。それに比べて魔粒子砲は数十キロを誇る。


「だが、あれだけの戦力はどのみち厄介だ」


土塁で作られた防御陣地に地下壕を潜り顔を出したのはエージ。


「エージか・・・・お前は後方で指揮をしているんじゃないのか?」


たっぷりの皮肉を込めたシュージの言葉。だが、軽く受け流すようにエージは答える。


「前にも言っただろう?俺も戦うと」


「後方でドンパチしているからには、味方打ちだけはするなよ」


「言われるまでもない」


防御陣地はマドリードから北4キロ。マドリードの標高が655m。防御陣地の標高は510m。

アガルタ管理局との半年の戦争。たった1箇月で西オーレリシアの半数の国を戦闘不能に陥れたことによりイスパーニア政府は首都マドリードの要塞計画を考案。

わずか半年で合計数十キロにも及ぶ巨大な地下壕を完成させた。マドリードから北に4キロ地点に作られたマドリード絶対防御陣地。そこからマドリードまでつながっている地下壕。転々とした要塞陣地との連絡壕。まるでアリの巣だ。


「さすが・・・・10万人動員して作らせただけあるな」


エージが本来いる場所は100mほど後方にある要塞陣地である。防御陣地は要塞陣地を守るように作られている。そして要塞陣地はあらゆる防御陣地との連絡壕がある。


装備や兵員が足りなくなれば連絡壕を伝って武器や兵を派遣できる。さらに後方には首都マドリードによる食料支援もある。兵隊が足りなくなれば市民を使う。


「まあ、これだけあれば一年ぐらいもつだろう」


「さすがにそんなに戦っていたら向こう側の軍勢が足りなくなるだろう」


「たしかにな」


敵が目指確認できるほど。つまり、敵はもうすぐそこ。一時間もしないうちに自分たちのいる場所にたどり着く。なのに、なぜこんな余裕を噛ましていられるのか?


「そろそろじゃないか?」


シュージがふと敵さんの方へ目を向ける。


“ドオォォォン”


ちょうど良いタイミングで噴き上がる地面。そして吹き飛ぶ軽装兵。重装甲兵はびくともしなかったが、防衛戦で厄介なのは速度と回避重視の軽装兵だ。ほかの兵に比べると動きが早いため、砲弾をすぐによける。速度が速いため、少しでも防御陣地に穴があいたらなだれ込んでくる。


安価で、殺傷能力の高い地雷は軽装兵を大量処分するにはちょうど良い兵器であり、騎士や槍騎兵等の馬に乗る職業柄にも効率の良い兵器だ。


安いということもあって数え切れないほど埋められた地雷にその大軍のせいで次々とトラップにかかっていくアガルタ軍。だが、それをもろともしない重装甲兵を最前列にすることにより侵攻は遅くなったが軽装兵の被害は激減した。


「ちっ・・・陣形を変えたか・・・・」


だが、これも作戦の一つ。今のうちに厄介な重装甲兵に少なくともそれなりの被害を与えることが可能であり、また、進行遅延にもなる。そして


「いい的だな」


後ろの要塞陣地からは人力や馬でも運ぶことのできない大きさの長距離射程を誇る要塞砲が取り付けられている。


イスパーニア政府はマドリードを守るため、イスパーニア国中の兵器と兵隊をここに集めてきたのだ。


「放て!!!」


耳を打ち砕くような轟音と共に飛んでいく砲弾は敷設された地雷や、重装甲兵、軽装兵、騎士、剣士。様々な兵士を吹き飛ばしていく。


「いいぞいいぞ!!」


とはいえ、連射できない。一分間に2~3発しか撃てず、一つの要塞陣地に2門。要塞陣地は5つと計10門しかない。一発で確実に数十人を吹き飛ばせるが、それでは20万人吹き飛ばすには5時間位かかる。一時間もしないうちにこの防御陣地に到達していることを考えれば、吹き飛ばせても4万。16万人は確実にここまでたどり着く。


マドリードの兵士と人口を合わせればこの数には勝てるが、兵士だけでは圧倒的に足りない。臨時に男性を徴兵したがわずか10万。アガルタ18柱は格別な力をもっているということを考えれば、一週間もつかすらわからない。


「撃てええええええ!!」


だが、彼らにそんな計算している暇はなかった。防御陣地にも取り付けられた牽引式の小型の大砲も高い標高を生かして敵にそれなりの損害を与えている。


だが、戦局を変えるほどの被害は出ていない。


“ドゴォォォン”


巨大な爆発音が聞こえる。


大砲を放つのはイスパーニア側だ。アガルタ管理局側は魔粒子砲も普通の牽引式の大砲すら持っていないのに・・・


「要塞陣地が被弾した!!」


防御陣地のトーチカから聞こえてきた声に、振り向くアスガ。


後方にそびえ立つ巨大な砦を中心とした要塞陣地。砦に取り付けられている2門の要塞砲がそこにはなく、燃え広がり、大爆発を起こしている要塞陣地だった。


「どういうことだ?」


アスガは頭にかぶせてある暑苦しい洋風の兜の細いスリットから視認する。砲弾を撃ったのはイスパーニア軍のはず。


「イスパーニア自慢の要塞砲もこんなものか・・・人間で打ち返せるぐらいなんだな」


嘆きのライオンが守備担当している防御陣地のトーチカからわずか数メートル目の前に立つ長身の男。片手でもつには厳しい大きさのランスを抱えている。


「だれだ?」


シュージはイスパーニア軍試作品のランスを抱え前に出る。


「俺か?アガルタ18柱の8番目・・・タナトスだ。よろしくぅ」


A.Sは現実世界の自分のスペックと比例する。

アガルタ管理局は課金連中で固まっていると聞く。


そこから考えて、アガルタ管理局の連中はデブ。もしくはやせ細っている連中。と考えるのが筋だろう。


「アガルタ管理局ってのも捨てたもんじゃねえな。デブや、やせ細った連中だけじゃなくてよ」


今まで戦ってきてアガルタ軍の士官はデブややせ細った連中が多く、職業は魔法か射撃が多かった。そして細身のエージもこれに当てはまる。


「おいおい、アガルタ管理局は課金連中でオタクっていうのは偏見じゃねえか?」


「どういうことだ?」


「レベルは低くても現実世界でのスペックが高けりゃ、高レベルプレイヤーだろうと、強力なモンスターだろうと倒せるぐらいお前らがよくわかってんじゃねえのかあああああ!!」


そこ言葉と同時にランスを抱え突進してくるタナトス。


「うをおおおおぉぉぉぉ!!!!」


カキーンという甲高い音と火花が飛び散る。タナトスの攻撃を防いだのはシュージだ。


「レベル90代のくせにやるじゃねえか!!」


「・・・・レベル3桁だと!!」


シュージはすぐさまにタナトスのレベルを確認する。レベル114。


「アガルタ18柱のうち8人が7桁・・・・・」


「そうそう・・・・早く撤退しないとやっちゃうわよ」


唇を人差し指でなぞりながら妖艶な笑みを浮かべる女性。


「お、お前は!!」


「あら?私のことを知っているのかしら?」


「・・・・」


わずかなところで口に出すのをやめる。いまアスガは兜をかぶっており外からでは顔が見えない。そして顔が見えないということは、相手は自分を認識できない。結果として相手はメニュー画面で自分の情報を手に入れられない。


だが、アスガは女の顔を知っている。

忘れるはずもない。


あの女は


(健介を殺した奴だ!!)


「まあいいわ。自己紹介が遅れたわね。私はアガルタ18柱の一人。7番目のアルテミスよ。よろしくね。嘆きのライオンの皆さん」


ここにアガルタ管理局最強の“アガルタ18柱”とイスパーニア最強のギルド、戦争ギルドの“嘆きのライオン”の戦いが火蓋を切って下ろされた。


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