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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第二章 過去編
30/71

STAGE6:3ヵ月後

話がある


プトレマイオス・メンティフィス。


元の名はただのメンティフィス。


プトレマイオス共和国現国王にして、元アガルタ管理局No.3にその言葉を初めて言われたのは2年前のイスパーニア防衛戦だ。


その時はゲームに閉じ込められて一年と三ヶ月がたった話。俺自身はその当時イスパーニア帝国内にある戦争ギルド・・・民間軍事会社みたいなものだ。その中のNo.3実力ならNo.1で、部隊の斥候や、突撃隊長的なポジションにいた。


No.1は会計や、事務、国との交渉など、リーダーとしての資質は俺より格段に上だった。


その頃にはアガルタ管理局・・・最初は“最強プレイヤーの集い”とかいうふざけたギルドだったが(実力は最強クラスで、健介を殺したギルド)たった一人のプレイヤーによってギルドマスターが破られ、それ以降アガルタ管理局と名を変た。


はじめは西オーレリシア大陸の小国を潰したが、それだけでは飽き足らず数ヶ月で西オーレリシア制圧まで迫っていた。


その時、アガルタ包囲網をいう諸国間同盟が作られており中央オーレリシアの強国ポートランド皇国とサルデーニャ帝国、プトレマイオス共和国の三国同盟と西オーレリシア諸国連邦機構構成国11ヶ国とのとの全14ヶ国の同盟だった。


だが、数ヶ月で西オーレリシア諸国連邦機構は壊滅。残るはイスパーニア帝国とポルトガーズ公国、カルタゴ、そして国土の半分だけを残したカスティリーア王国の4ヶ国。残りの構成国である7ヶ国は全面的に制圧されていた。


当時、俺はレベル141で、A.S内では相当な凄腕プレイヤーだった。


それは4年目の今でも変わらんが。


そしてイスパーニア帝国とアガルタ管理局との国境にアガルタ管理局が精鋭18人を先頭に合計13万の軍勢を引き連れてきた。


もはやポートランド皇国とサルデーニャ帝国、プトレマイオス共和国は参戦の意思なし。援助のみ。


カスティリーア王国はカルタゴに亡命政府を樹立。軍隊は全てイスパーニア帝国との国境に配備。それに乗じてカルタゴもポルトガーズ公国もすべての軍勢を国境沿いに配備した。


ここが破られれば自分たちの国も潰れる。そう分かっていたからこそ、ここまでのことをしたのだろう。つまり国境で防ぐことができなければ、カルタゴを除く3ヶ国がすべて滅亡する。それを意味していた。


そんな時、俺たち戦争ギルドにも招集がかかる。


「少佐!!」


「ん?」


俺は自分の階級を呼ばれて振り向く。そこにはいつもおなじみの見慣れた少女の顔があった。


もともと俺たちのギルドは万屋みたいなもので、それがいつの間にか腕を買われて、モンスター退治だ、護衛だ、ましてや他国との戦争にまで駆り出されるようになった。


それによって戦争ギルドなどという名前になってしまった。


俺が入ったのは3ヶ月ほど前だから、その時には既に戦争ギルドになっていたが・・・


メンバーはたったの5人。


最盛期は250人もいたらしいがその給料に見合った過酷すぎる任務ゆえ四分の三以上は脱退。50人近くは戦死したと聞く。


入って2週間ばかり・・・リリアが入ってすぐのことだった。威力偵察の失敗によりギルドは壊滅。したがって形式上ギルドとして残っているが戦争になったら俺たちはイスパーニア軍に編入されることになっている。


だが、ギルドマスターのエージは事務系の仕事ばかり。魔導士としてはそれなりの実力があるのにだ。レベルも74。悪くはない。


そして今俺を階級で呼んだのは俺がペアを組んでいるレベル56の剣士リリアだ。


黒髪ロングにパッツンという和風スタイルなのになぜか名前がリリア。名前を改めて聞いたとき、俺はギャップで笑ってしまった。


今考えると失礼極まりない話だが。彼女は俺がギルドに入ってから2週間目に新しく入隊したのでお世話係として俺とペアを組ませたのだろうな。


「どうした?」


「エージさんがお呼びです」


「また俺をこき使われる気か?」


「アスガさんはレベル3桁台ですからね。あのアガルタに対抗できるコマとして色んな部隊から期待されていますよ」


「・・・そうか」


まさか、アガルタ管理局の人間ばかり追い詰めて殺していたおかげでレベルが上がったが、こうも期待されるとは・・・


でも期待されているのは人を守る力ではない。結果的に人を守るだろうが、俺たちの仕事は誰かを守るではない。誰かを殺すのが仕事である。期待されるが、やはり今までどおり人を殺す。


ちなみに戦争ギルドに入ったきっかけはPHHをしている最中にこいつらとは知り合ったんからだ・・・


「さて、面倒な仕事を受けに行くか」


「頑張ってくださいね」


俺は手を振りながらエージの部屋へと進んでいった。


どうせまた仕事の話だろう。それぐらいは予想できていた。だが、それがどれだけ過酷で、俺たちを苦しめる仕事だとは知る由もなかった。




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