STAGE14:もう一つの勢力
「ここに隠れてろ」
「はい」
ウォルダーはイリヤに指示を出す。ちょうどいい具合に丈の高い茂みに隠れていろと。
今は真っ暗な夜。暗い中山で野宿はしたくないということで、山をいそいで降りたのだが、そのせいで、山を塞ぐ関所に遭遇してしまったのである。
人狩りもバカではない。その兵力と送還機を使った指揮通信能力を生かし、カルタゴ中に厳戒令を敷いたのだ。
「関所が封鎖されているとはな・・・・」
参ったものだ。ソニックウェーブを使い人狩りどもだけを倒すなど余裕だ。だが、俺たちはここを抜けても南カルタゴどころか中央カルタゴすら抜けられないのだ。
大騒ぎになったら南部の方まで伝わり、四面楚歌・・・雑魚だけならともかく、エレボスとか言う奴まで来られたら厄介だ。俺だけならともかく、皇女までは守れん。
「所有物は・・・っと」
ウォルダーは手持ちの荷物を確認する。メニューのアイテム欄を開き使えそうなものを確認する。
「装備は特に今は使えん・・・いや、まてよ?ランプに・・・閃光弾。投げナイフ、ランプの交え油・・・よし」
ウォルダーは立ち上がり関所の兵士にバレないよう関所の端っこへ行く。
「・・・・」
関所の建物自体は木で作られている。ウォルダーはそこにランプの交え油をばら蒔き、その下の地面に油のたっぷり入ったランプを置く。
閃光弾は化学反応により何百万カルデラという閃光を発するが、それを起爆させるのは火薬である。その時の爆発を使いランプを爆破。飛び散った火の粉により周辺にばらまいた油に引火。
その騒ぎに駆けつけるであろう関所の兵。
どうせ、こんなド田舎任される兵士だ。任務を放棄して駆けつけるような馬鹿であって欲しい。
その間に脱走。
「よし。多分うまくいくだろう」
自分の職業は砲兵。装備は剣と砲が合体した砲剣。弾薬を詰めるところは中折式になっており基本的な構造はリボルバーと変わらない。ただ、口径が大きいか小さいかの違いだ。
回転式弾倉に入っている12発の閃光弾を飛ばす用の推進薬莢の先端に閃光弾を挿入していく。12発分入れ終わったら、中折式なので元に戻す。
基本構造は大型回転式拳銃と変わらないと言ったが、反動はリボルバー以上なので両手と上半身で抑えないと体が吹っ飛ぶ。
「・・・・」
照星をランプに合わせ、トリガーを連続で引く。
12発もの閃光弾がランプやランプ周辺に直撃し、まばゆい光と共に、炸裂。ランプは中の油と共に飛散し、周辺の油へと引火。それは周りの木々や草を燃やし、関所と共に大火災が起きた。
「な、何事だ!!」
「西の方からだ!!」
慌てた兵士は燃えている方向へと向かう。
「皇女さん・・・行くぞ」
「ええ」
何が起こったのか理解できないイリヤはウォルダーに言われるがままついて行く。そこにはもぬけの殻になった関所だった。
「あいつらが馬鹿で助かった・・・」
「どういうことですか?」
「そのまんまさ。人狩りの雑兵は馬鹿ばっかりだなってこと」
「はて?」
(自分の任された任務を放棄するとは・・・)
とはいえ、そのバカさで助かったのは事実。運も見方に出来たウォルダーたちは関所を抜け、山を抜け、ようやくカルタゴの半分を超えることができた。
だが、道のりはまだ長い。だが、彼らはアガルタ共和国目指して走る。
そしてもう一つの勢力がアガルタ共和国目指して動いていた。
「メンティフィス様・・・もう少しです」
馬と木でできた戦車“チャリオット”に乗ってるのはプトレマイオス共和国国王プトレマイオス・メンティフィスと側近であるフェリム・ローウェン。
「カルタゴ奪還・・・彼らはこの餌に飛びついてくるか・・・」
そこには不敵に笑う、馬も苦労しそうな2mはあろうかという巨体が居座っていた。




