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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第一章 国家改造
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STAGE11:囮作戦

「警備が薄い?」


エレボス率いる夜戦専門部隊―――――――俗称DarkTeam50人はアガルタ共和国東砦へと近づいていた。たった数kmの道のり。夜ならば、サーチしても見つからないとまで言われるステルスと呼ばれる能力を隊員全員が所持しているという驚きの部隊だ。


更にその中でも厳選された50人なのだ。


そんな彼らがアガルタ共和国の東砦に近付くと同時に感じる違和感。


「ああ。昨日はあそこに何人か兵士が立っていた。だが、今は誰一人として・・・」


「罠か?」


「その可能性もある。だが、この程度で引き返したとすれば、陰でアガルタ管理局を支え、恐れられている我々暗黒部隊の名が廃れる。確実に皇女イリヤを拉致し、私のバルムンクを返してもらう!!」


「やはりそれが目的なのでは?」


「いちいちうるさい奴だな。そんな貴様に命じる。俺達が暴れている間に、あの糞餓鬼を拉致しろ」


「はっ!!」


糞餓鬼とはイリヤの事である。周辺国やプレイヤーからはアガルタ共和国の糞餓鬼といえば通じるぐらい糞餓鬼という名で通っている。それは若さ故なのか・・・それともただ単に無能だからなのかは想像にお任せする。


「では、全軍我々に続けぇぇぇぇぇ!!」






「奴らはここを通る。この道の両サイドから挟み撃ちだ」


東砦に続く道。その道は草むらと森林の中に作られた道。両サイドには穴が掘られ、草むらには兵が隠れ、木の上には兵が待機する。


道から遠目で見れば、東砦に兵士がいない事が解る。向こうが罠と判断して近寄らないか、解っていてあえて近付く、もしくは気づかずに近づくかそのどれかだ。


大木をくりぬいて作った穴からはプトレマイオス共和国製の大筒(携帯式の大砲)を。穴の入口には盾を配置し、銃眼を取り付け、ボルトアクションライフルによる射撃。


「攻撃の合図は俺がする。まだ動くなよ」


俺は木の上からメッセージを追加する。それにこたえるかのようにメッセージ欄に「了解」の文字が追加されていく。その数実に百以上。ここに引き入れてきた人数は300人。かつてのアガルタ共和国軍ならば、これだけの人数を集めることは取りあえず可能だった。しかし全軍合わせて2000人しかいなかったのだ。7分の1もの兵士を作戦に使うなど到底出来たものではなかった


だが、今は300人でもアガルタ共和国軍の兵員の160分の1.成長した物だ。


「来たぞ」


俺はメッセージ欄に追加する。


「怪しすぎる」


エレボスは最前線に立ち、怪訝顔をする。


「サーチ」


「・・・・・・」


「誰もいない」


サーチをする際、全方向にレーダー波を飛ばしそれで敵を確認する。

とは言え、一直線にしか放つことはできない。更に言うと、木や穴の中に入っていればレーダー波が障害物に当たり見つかることはない。


建物を超えてサーチし、敵を確認するなどアスガはやってのけたがそれがどれだけ神業なのか、レベル188のプレイヤーですらできないところをみるとわかる。


(まだだ、まだだ・・・)


アスガは自分の位置に敵軍の中心が来るのを待っている。


(来た!!)


「全軍攻撃開始!!」


「うをおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」


パァンパァンパァンパァン!!


ドオオオォォォン パシューン


次々に放たれる弾丸と砲弾。


たった50人の軍団は混乱に陥った。そして追い打ちをかけるように部隊の中心に降り立つ男。その名はアスガ。本名朱澄凌雅。


「俺に敵うと思ったか!!!!」


剣を持ち一回転。周囲の敵はすべて赤色に染まり、帰らぬバグとなった。


追い打ちをかけるかのように登場したアスガに混乱は続く。


そのすきを見て穴から次々に飛び出す剣士たち。


勝負はもはや目に見えていた。いくらレベルの差があろうと、大砲や何百発もの弾丸をくらえばさすがに生きてはいられまい。絶命に追い打ちをかけるはアスガ。


「て、撤退!!撤退だあああぁぁぁぁ!!」


エレボスは撤退命令を出し、僅かに残った残党を連れて尻尾を巻いて帰る。


「一昨日きやがれ!!」


「どうやって?」


「突っ込むな!!」


ユーマとソーマはくだらない会話をしている。他の兵士からも歓声が聞こえる。


「これでもう来ないだろう。問題は・・・・」


俺は城の頂上を見る。だが、俺の見ていたところ戦闘の類は確認されていない。


「向こうも安心というわけか」


アスガは一応胸をなでおろした。あとは、あの糞餓鬼のお守りだけ。






「ハァ、ハァ、ハァ・・・・」


エレボスとその他数人は命からがらベースキャンプへ逃げてきた。


「レベル70以上の精鋭部隊がこうもいとも簡単に・・・・侮れん国だ」


息を切らしながらエレボスは横にいる女を見る。


「だが、その犠牲と共に目的は果たした。これで奴らとの交渉権を手に入れたも同じ」


皇女が人質で捕まった以上、アガルタ共和国に残る道は皇女を無視して戦うか、言うことを従い、属国か国家の解体。選択肢は片手で数えられるしか残らない。


「フ、フフフ、フフフフフハハハハハハハハ!!!!!私の勝ちだ!!アスガ!!」


高笑いするエレボス。その顔には勝利に満ち溢れた下品な表情であった。


「バルムンクは無理でしたけど・・・」


「・・・・・しまった!!」


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