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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第一章 国家改造
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STAGE:6 亡命者

「・・・・ぱっとサーチして、万近くいるな」


アガルタ共和国とカルタゴとの国境付近に進軍してきたカルタゴ軍。


カルタゴまで敵になったかと、少し焦ったアスガだが、カルタゴ軍の動きが何かおかしい。

妙に疲れきっている。


俺たちに攻め入るなら万全な状態で来いよ・・・


「兵たちよ!!あと少しで共和国だ。アガルタ軍は共和国軍に負けたと聞く。あそこで匿ってもらえれば、命だけは助かる。進むんだ」


逃げる兵たちの先頭に立つ女騎士は国境沿いまで来ている。


「ア、アスガ殿・・・何をなさるつもりで?」


アスガは迫りくる大軍の進路であろう道に一人立ちつくす。


「アスガ様。危ないですよ」


「心配はいらん。彼らは確実に止まる」


どこからそんな自信が出てくるのやら・・・

呆れたユーマとフィオナは肩をすくめて傍観する事にした。


アスガの言うとおり大軍はアスガの手前で停まった。


「ようこそ。カルタゴ軍の諸君。俺はアガルタ共和国初代国王アスガだ。此処を進むなら死ぬと思え。死にたくなければ此処から引くがよい」


これだけの軍勢を率いてきた先頭の兵士。鎧をかぶっているからかよくわからんが、髪の毛が銀髪で、女だということは解る。


「共和国国王アスガ殿とお見受けした。私はカルタゴ軍第2師団団長であるクローデリア。アガルタ共和国とは争う気など毛頭もない」


馬から降りると、先頭の兵士は兜を脱ぎ棄て、素顔をさらした。


名前はクローデリア。敵に無暗に顔をさらけ出すことはない。彼女に敵意は無いということだ。


「・・・・へっ?」


ど、どういうことだ?

アスガはその状況を理解する事は出来なかった。

カルタゴはアガルタ管理局に敗北し属国となり、残った軍勢で俺達を攻め滅ぼそうという魂胆ではなかったのか?


「失礼な!!」


「お、俺の心を読んだだと!?そんな能力聞いた事ないぞ」


精神値が高ければモンスターの状態異常を受けにくくなるとい話は聞いたが、値が高いと相手の心を読むことができるのか!!


「す、素晴らしい。戦争をしたら負けることなどないだろう・・・」


「いや、ただ私の勘だ」


「な、なんだ。そうなのか・・・で、攻め滅ぼす魂胆でなければ何ようだ?国が危ない時にこんなところに来て・・・同盟を組んでないから援軍など送れんぞ。というより送る気など毛頭もないが」


「そう言うことではない。此処にいる8000の兵はみな正規プレイヤーだ」


「ほう。正規プレイヤーだけで作られた部隊か。で、その部隊が俺らに何ようだ?」


よく人狩りにPHされなかったな。


「我々第二師団はカルタゴ南部の守備を命ぜられていた。だが、カルタゴの首都チュニスにアガルタ管理局の魔の手が及び、我々は援軍として出兵した。だが、我々がつく前にチュニスは陥落。カルタゴ王室は全員殺され、属国ではなく占領扱いになった」


「成程。カルタゴは負けたか・・・」


まあ、それぐらいの予想はだいぶ前にできていたが。負けたから尻尾振って逃げてきたと?


「そこで、私としても首都奪還として進軍したかった。だが、此処で無駄な命を消したくない。そこで、小国ながらもアガルタ管理局を蹴散らした国家があるという噂を聞き、此処に来ました」


「此処に来て何をする気だ」


「お願いです。私達を、この国に亡命させていただけないでしょうか?」


師団長であるクローデリアはその場で馬から降り、土下座をする。


「・・・・顔を上げろ」


「はっ」


そう言うとアスガはクローデリアに近付く。


「ア、アスガ殿!!な、なにを」


フィオナはまだ敵として扱っているクローデリアに容易に近づくアスガを止めようとする。

無理もない。油断させておいて切りかかる作戦かもしれないのだ。

たが、そこらの高レベルプレイヤーがアスガを切ったところでダメージを受けるかはまた別問題だが・・・


「貴様・・・・俺の下で働く気はないか?」


クローデリアの顎を右手でつかむ。


「は、はい?」


「俺の願いを聞くことはできないと?・・・なら交渉は決裂だぞ?即刻帰ってもらうことになるが・・・」


「い、いや、お、想ってもない。ありがたき幸せにございます。我らカルタゴ第2師団はアガルタ共和国傘下へと移ります」


クローデリアの突然不意に出してしまった言葉が、この後どれほど正しい判断とは、師団長を含めた8千人、今は誰一人思わなかっただろう。


「そうか・・・なら、手始めに俺の実力を見せてやろう」


アスガは目の前を向く。そこにはカルタゴ軍の追ってとしてやってきたアガルタ軍だ。


「こ、こんな大軍を!!どうするおつもりで?」


アスガは一人大軍の中に突っ込んでいく。彼の実力を知らぬクローデリアは焦ってとめる。


「放っておいていいんですよ」


ユーマは焦るクローデリアを引き留める。自分たちのせいで迷惑をかけることを嫌がったのだろう。

推定人数一万人。だが、彼に何万人挑んでもレベル50の集団では勝てないだろう。


「ソニックウェーブ!!」


職業剣士としては絶対的に手に入れたい能力だ。

剣が振るわれた方向に走っていく衝撃波。その衝撃波はこちらへと進軍するアガルタ軍を一瞬で何百騎・・・いや、千騎はくだらない騎馬隊を蹴散らした。


その姿に物を言えないクローデリア。


尻尾を巻いて逃げて行くアガルタ軍。


こんな化け物・・・・いや、まるでこの力は神。まさにそう言えるほどの力を持ったプレイヤーがいたのか・・・そう疑うほどの強さだった。


「まず最初にお前らに命じる。あそこでくたばっている死体から物色せよ。それが第一の命令だ」


「はっ!!」


クローデリアはすぐさまに物色を始める。


「こ、これが、新しい主・・・・素晴らしい!!」


クローデリアは国土奪還を目指し、この国の兵士となる。

アガルタ管理局の崩壊も近い。そう期待を胸に抱くクローデリアだった。



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