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A.S  作者: オーレリア解放同盟
第一章 国家改造
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STAGE2:共和国軍隊長

「送還機が5つに、魔導機関が18」


俺は今先日アガルタ軍基地から運び出した物資の整理をしている。


運んだ物資のほとんどは食糧や武器・弾薬等がほとんどだった。


その中に一部物珍しい物が入っており、ギルドや会社、軍隊が本来使っている送還機。

今で言う電話機や無線機のようなものだ。


そして、シャンバラが発展する元となった魔導機関。魔導機関を作動させるためには魔粒石と呼ばれるMETが結晶化した石を必要とする。


魔粒石には周辺のMETを吸収する作用がある。


魔導機関内に収納された魔粒石を破壊する。魔粒石の作用により吸収したMETが破壊されたと同時に大量に放出され、大量のエネルギーを生み出すことができる。


これが魔道機関の使い方だ。


「これを使わない手はないな」


「なんですか?それ」


まだ完成一割にも満たない城内に作られた大型の倉庫で何やらぶつぶつ話していると後ろからイリヤが声をかけてきた。


「送還機と魔導機」


「全然わかりません」


声のトーンが下がる


「・・・・こんな世間知らずの娘を誰が皇女に仕立て上げたんだ?」


「わ、わかりません・・・」


声のトーンがさらに下がる。


「まあいい。お前の仕事は国民に元気を与えるその笑顔を崩さない事だ」


「あ、ありがと・・・う・・ございます」


ん?顔が赤くなったが俺は変なこと言ったのか?


「そうだな・・・・」


アスガは索敵能力を使いアガルタ共和国をサーチする。


「中心にアガルタ城・・・・」


目をつぶるアスガは白い紙に何かを記入していく。最初は何をしているか解らなかったイリヤだが、しばらくしてアスガが何をしてるのかわかった。


「これって・・・・私たちの」


「ああ。この国を開発するにはまず土地と周辺の地理を把握しないとな。俺ぐらいの索敵能力レベルならこの程度朝飯前だ」


「成程。さすがです、アスガさん」


アスガはアガルタ共和国の土地と周辺の地理が書かれた紙にさらなる加筆を加えていく。


「失礼します」


唐突に部屋に入ってきたのはアガルタ共和国軍副隊長のユーマ。隊長の姿はまだ俺は見ていない。ソーマと言う狙撃手かとも思ったがどうやら隊長は今不在で強くなる為の修行中と聞いた。


隊長が不在とは・・・この国はやはりおかしい。


「ちょうどいいところに来たな」


「はい?」


「これを見て何を思う?」


「えーと・・・・共和国と周辺の地理ですか?」


「ピンポーン。じゃあ、この国を守るためにはどこに砦を配置するべきだ?配置できる数は4つとする」


「え、えーとですね・・・・・こ、ここらへんですか?」


「1つはあっている。残りの3つは外れだ」


ユーマはお城からみて東西南北に砦を選んだ。


「ど、どうしてですか・・・・お城は中央にありますから東西南北に設置すれば」


「まあ、まて。東に配置するのは間違っていない。なぜならこれ以上東に進んだところで俺達に利益は無いからな」


「り、利益?」


「ああ。まず、俺達に足りないと思ったのは材木と鉄等の鉱物資源、そして海産物だ。ここ周辺で手に入れられそうな場所は南部にある広大な森林と二つの山脈だ。この山脈まで進軍し二つの山脈の間に砦を作る」


「進軍ですか・・・」


「ああ。この狭い領土に2万は多すぎる。もっと領土を広げるべきだ」


NPC募集期間は1週間。たった3日間で7千人のNPCと3千人のプレイヤーが此処へ来た。プトレマイオス共和国はシャンバラでも1位2位を争う大国で国土が広い。

そのためオーレリシア大陸では人狩りにPHされる可能性があるということでアーフカリア大陸に移住する者も多い。だが、アガルタ管理局とカルタゴとの間に戦争が起こったと聞くとプトレマイオス共和国にいるのも危ない。


ならつい最近アガルタ軍5千人を一人で蹴散らしたという男がいる国の方が安全ではないか?ということになりプレイヤーすらここへ移民してくるものが増えた。


「・・・・成程。此処まで進軍すれば、この山も・・・」


「ああ。この山脈が俺達に資源をもたらし、また、自然の要害となる」


そう言うとアスガは先程の地図に矢印をかき山脈との間に凸を記入する。


「そして西部には要塞はいらない」


「なぜです?」


「いい質問ですね」


ここ最近有名な・・・とはいえ2年以上前の話だが、A・I氏の言葉を使ってみる。


だが、ものの見事にスルーされた。


「西に4~5km進めば海へとつながる。我々には海洋資源が足りないんでな。此処に作るのは砦ではなく海軍基地だ」


「海軍基地ですか・・・」


「とはいえ・・・俺達に海軍のノウハウ等は無い。それについては隣国のプトレマイオス共和国からNPCを雇うことにした。それについてはOKだな?」


「はい。では北部は?」


「北という所だけはあっている。だが、北には要塞を2か所設置する」


「2か所?バランスが悪くないですか?」


東西南に一つずつ。西部には砦は無いが海軍基地をつくる予定だと。ならば、何故北だけに二つ作るのか。そこにユーマは疑問を持った。


「俺達の北に位置する国。何処か解るか?」


「えーと・・・・カルタゴとか言う国でしたか?」


「ああ。正解だ。この国は現在アガルタ管理局との戦争中だという話を聞いてね。アガルタ管理局の事だ。滅ぼす気満々だろう。ならこの国が滅んだということを考えると北からの侵攻の方が恐ろしい。そして、北部。アガルタ城から10km程度の位置に幅200m程度の川がある。この手前に砦を一つ。その向こうにもう一つ作るのだ」


「・・・・第一の防衛設備が川の向こうの橋頭保。第二の防衛設備が川。第三の防衛設備が川の手前の砦。そう言うことですね」


「良くわかってんじゃねえか。当たりだ。そうと決まれば、副隊長であるお前に進軍を命令する」


「そ、それが・・・・」


少し戸惑いながらユーマは村の方を見る。


「どうかしたのか?」


「いや、此処に来たのはわけがありまして・・・」


「わけ?」


「はい・・・・」


そう言うと彼はわけを話し始めた。





―――――――アガルタ共和国東村

共和国に入るための正式な手続きや検問をする関所の役割を果たしてあるのは東にある前回アガルタ軍にフルボッコされた砦だけである。


そしてその手前にある村を東村と呼んでいる。アガルタ軍に再生不可能なほどにフルボッコされた村であり、人は死なずとも家畜や田畑はぼろぼろである。


「この国に王様だと!?」


「はい。数日前にこの村をお救いになり、イリヤ様の妻に」


「わ、私がいない間に・・・・何が・・・・どうなって・・・・」


セミロングの金髪に女剣士らしい凛々しい整った西洋の顔。おそらく外国人プレイヤーだろう。


「フィオナ隊長殿。アスガ王はいい人でございます。フィオナ様もアスガ様をどうぞ支えてください」


「ア・・・アスガ・・・王だと!?・・・わ、私は・・・私は王様など認めん!!ユーマと、ソーマはどこへ行った?」


フィオナと呼ばれるアガルタ共和国軍隊長は副隊長であるユーマとソーマを探しに行った。


そこで捕まったユーマは散々言われた挙句、王様は断固として認めん。この国のトップはイリヤ皇女殿下だけであると言い張った末に


「成程。どうにかしてほしいと俺に懇願か・・・」


「はい」


「なら、そいつはどうすれば俺が王だと認めるんだ?」


「私に勝てばだ」


「!!」


突然扉から光がこぼれる。その先には・・・


「なんだ・・・・女か」


「バカにしているのか貴様は!!」


怒られた・・・何故だ?


「わ・た・し・は・この国の兵士たちをまとめ上げる共和国軍隊長だ!!貴様か?アスガとやらは」


「いかにも」


「・・・・・・」


ジーと俺をしばらく見つめた末に言い放った言葉。


「明日のアガルタ城前の広場で決闘だ。そこで貴様が王様にふさわしいか見極めてやる」


「だるっ」


「き、貴様あぁ~」


「まあまあ二人とも落ち着いて」


仲介に入りこむイリヤ。イリヤの言うことならこいつも聞くだろう。そう考えたのが甘かった。


「イリヤ様!!こいつのどこが気に入ったのですか?もしかして国民全員を人質として脅かされているのですか」


「人聞きの悪いこと言うな。俺がこいつに懇願されて俺が仕方なくやっている。ただそれだけだ」


「・・・・イリヤ様が認めても私は認めません」


そういうとフィオナは城から出て行った。

そこ普通認めるだろ。主君が認めてるんだからよ。


「アスガ様・・・・此処は大人しく勝負を受けておいた方が・・・・」


「何故だ?」


俺はこの国の王様だ。いまさら隊長殿が何を言おうとその方針は変えられない。

なのになぜ俺が勝負をしなければならない。


「フィオナは腕とレベルは確かなのですが・・・・この国最強の頑固者で、自分の方針を絶対に曲げません。けれど、忠誠心だけは確かです。アスガ様を王様として認めさせればしっかり動いてくれることでしょう」


「成程。じゃあ、腕試しで遊んでやるか」


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