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入学式

大変だ……







ガバッ!!





「だから聞けぇぇぇぇぇぇ!!」






また勢いよく起き上がる俺

周りをみると 俺の部屋だ







(あのクソヤクザ……)






思っていたよりも疲れはなくベットから降り立ち上がろうとすると






ビキッ






「ぬおぉぉぉあぁぁぁ!!」






足に凄まじい筋肉痛が襲ってきた

特に救急車の扉を蹴破った右足はかなり痛い






「能力使うとこんなにいてーのかよ?!今度から加減考えねーと…」






とりあえず朝食を食べるために台所に向かった






俺、 姫山 龍一には親はいない

中学2年のときに、両親は酔っ払いの運転する車にはねられて死んだ

中学を卒業するまでは母方の両親に世話になっていたが、高校からはマンションで一人暮らししている。




祖母が用意してくれたものだ。両親が死んで俺は喧嘩三昧でこれ以上迷惑をかけないために祖母に頼んだ。両親の死亡保険金のおかげで一生とは言えないが大学を卒業して、しばらくは暮らせるくらいの金がある(大学に行くかわからないが…)





一人暮らしなので たいがいのことは自分でできる






今日もパンを食いながらテレビをつけた





『………次のニュースです。昨日午後4時頃、トラックにはねられた男子高校生を搬送していた救急車が電柱にぶつかる事故がありました。幸いにも怪我人は出ず、救急車に乗っていた救急隊員3人は軽傷だということです。しかし、男子高校生は見つかっておらず、隊員の2人は「死人が生き返った」と話しているということです。警察は……』







(悪いことしたかなぁ〜……まあ、死人が出たわけじゃないし…)







なんて思いながら時計を見て







(そろそろ出るか……)







とりあえず学校に行くことにした










道を歩いていると後ろから声が聞こえきた




「お〜〜〜い、リュウ〜〜〜」





「おう、トラ」






小学校からの腐れ縁の雲野 虎太郎うんのこたろうが走ってきた





「昨日帰ったあと なにかしたか?」






「いや、買い物してずっと家にいたよ」

(……一度死んだなんて言えねーよ)






「リュウは今朝のニュース見たか?近所であったの」






「ああ、見たよ。救急車が事故ったのだろう?」






「そう!!しかも運ばれてた男子高校生の死体が消えたらしいな!!なんかおもしろくないか!!」






「どうせ、探すの下手で見つかってないだけだって。その内見つかるよ」






「チッチッチ、俺……すごい情報手に入れたんだ」ヒソヒソ






「情報?」






「ああ!!なんと事故現場から近いところで、赤い服着てすごい速さで走る人を見たんだってよ!!これ、すごくないか」






「………ただの見間違いじゃねえのか?」





「そうかもしんないけど そいつが男子高校生かもしんないじゃん!!赤い服は本当はち血かもしれないし!!」






(見られてたか……注意してたんだが……しかし、こいつ情報早すぎるじゃね?)






そのあとは他愛のない話をして学校に着いた







俺達が通う立神たつがみ高校は外から見れば1つの学校だが、中身は2つに分けられている






1つクラスが30人で、それが6クラスあり、3学年あるので540人だ






しかし クラス分けがおかしい






4・5・6組は一般の生徒だが、1・2・3組には令嬢や御曹子……つまり金持ちの娘、息子がいる






なので1・2・3組と問題を起こすと面倒なことになる。

理不尽な理由をつけられて学校を辞めさせられたやつもいる






4・5・6組の奴で自分から金持ちに話しかける奴はいない










教室に着くとトラは今朝のニュースをクラスの奴ら話し始めた




俺は窓際一番後ろの席に座りトラを見てみる






トラはとても明るくクラスのムードメーカーだ、たぶんクラスの奴であいつのことが嫌いな奴はいないだろう






それに比べて俺は中学まで喧嘩三昧だったので、クラスの奴らは俺を怖がっている






トラとあいつを除いては……






「おい、姫山龍一!!」






きたよ、うるせーやつが






「ああ?」






声のするほうを見てみるとクラス委員長の吹越 澪 (ふきこし みお)がいた






「なんだその格好は!!しっかり着ろ!!今日は入学式だぞ!!あんた、みんなに迷惑かけるつもり?」






自分の格好を見てみる

ネクタイはゆるみ第一ボタンは開きズボンからシャツが出ている






(確かに入学式に出れる格好じゃねーな……)






「わかった、直すからちょっと黙ってくれ」






「さっさとなお『ピ〜ンポ〜ンパ〜ンポ〜ン』






放送がなり始めた






『入学式を行います。生徒の皆さんは体育に入り、準備をしてください』






「あ〜、急がないと遅れちゃう 早く行かなきゃ〜」(棒読み)






「あ!!待ちなさいよ!!」






俺は無視して体育館に向かった









体育館は金持ちから援助してもらっているからなのか、結構デカい






生徒、保護者、新入生が入ってもまだ余る





まあ 令嬢や御曹子の入学式をとるためにテレビ取材やカメラマン、報道陣がいるから丁度いいぐらいになるけど……






新入生が歩く道の左側に金持ち達が座り

右側に一般生徒が座る






そして後ろの方に保護者とカメラマン、2階にもカメラとテレビカメラがある






『新入生、入場』






新入生が入場し始めた






まず入場するのは4・5・6組、つまり一般生徒だ。初々しさが残っていたので入学式らしかったが、1・2・3組の入場では初々しさは全くなかった。どいつもこいつもあまりに堂々とし過ぎて(こいつら数ヶ月前本当に中学生だったのか?)と思ってしまう






ふと……ひとりの生徒が目に入った

1年3組の女子生徒だ






(………あれ? どっかで見たことあるな……、誰だっけ?)






じーーっと見てみる






(最近見たような…………………………………………………………あ!!!あいつ昨日の!!)






昨日トラックにはねられてときの事を思い出す






(昨日助けたやつじゃねーか…ここに入学したのか。しかしヤバいな……)






昨日のあの大事故の次の日に、俺は怪我も治り普通に学校に来ている。普通なら有り得ないことだ。なので……






(話しかけてきても、他人のふりだな……)




そう決めた






頭のかわいそうな校長の長ったらしい話を聞いた後、生徒会長の話が始まった






生徒会長の神宮寺じんぐうじ みやびかなりの美人でこの立神高校一番の金持ちで有名だが、性格が最悪なのでも有名だ。






肩がかすった程度で相手に罵声を浴びせ、ひどい時には学校を辞めるまで追い込む。だからあいつが歩く時には一般生徒、金持ち関係なく壁に寄って目の前を通り過ぎるのを待つ。だからあいつの周りには生徒も教師も近寄らない






俺があいつについて思ったことは






(………かわいそうな奴だな)








だった






入学式も終わり金持ち共は教室に戻っていった。入り口のところにカメラマンや取材陣がいるところをみると、まだ数人ほど残っているようだ






俺ら一般生徒は入学式の片付けだ……

何なんだろうな、この扱い……






また入り口を見てみると1人の女子生徒がこっちに歩いて来る

歩き方からして金持ち組のようだ

俺らとは明らかに歩き方が違う






(何しに来たんだ?まあ、俺には関係ないが)






俺は椅子運びを再開した






しばらくすると何か周りから視線を感じる





顔を上げる…と


クラスの奴ら全員………だけじゃなく体育館で片付けしている全員が俺を見ている






トラと吹越がなにかジェスチャーしていて、俺の後ろを指差している






(・・・・・・?)






俺は後ろを向いた






さっきの歩いてた金持ちがいた






「Σうぬあ!!」





ヤベ変な声出しちまった




「すっすみません!!驚かせてしまい……ましたか?」




「いっいや……」




驚くに 決まってんだろ!!俺と接点のない金持ちが後ろに立ってんだから




「な……何かようか、じゃなくて用ですか?……」




「きっ昨日のお礼を言いにきました。昨日は危ないところを助けて頂きありがとうございました!!」






かなりの大声で言った





「…………はぁ??」





俺は昨日確かに人は助けたが、こいつじゃない






「あのぉ…………人違いじゃ……」





「い……いえ、確かにあなたでした。昨日、路地で2人の怖い人に絡まれているところをあなたが助けてくれて……」






(昨日の路地裏のは、こいつが絡まれているところだったのか……)






昨日の跳び膝蹴りを思い出す

あの速さで薄暗いところにいた俺の顔が見えたのか?

目、良すぎだろ!!







「あのままだったら、私何をされていたかわかりません。本当にありがとうございました!!何かお礼をしたいのですが……」







頭を下げてお礼をしてくる







「別にいいよ。ただ邪魔だったから蹴っ飛ばしただけだ。あんたにだって気づいてなかったし」






「ですが……」






「だからいいって!お礼なんて。あと、俺に話しかけねぇほうがいいぞ。俺評判悪いから、あんたも変な目で見られる」






「え……」





「じゃあな」





俺は駆け足で体育館から出た

まだ片付けが残ってたけど………





(また吹越にどやされる……はぁ…)





ため息をついて教室に戻った






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