生徒会長がお姫様ならボクは王子になります‼︎
中学三年生になってすぐ、ボクは驚いたことがひとつある。
それは…
隣の席の人がいきなり、生徒会委員長に立候補したことだ。
隣の席の人は、とてもおとなしい系女子だ。
その人が、まさか生徒会委員長に立候補するなんて、思ってもいなかった。
おとなしいと思っていたのに、いがいと行動力があるんだなと、びっくりだ。
柿山 姫
通称 柿山さん。
そんな柿山さんに驚いているボクは、野良 航大だ。
柿山さんとは、基本必要以外の会話は、しない。
たぶん、しても続かない気がする…というか、勝手にボクがそう決めつけているだけなのかもしれない。
柿山さんは、演説の言葉をこの用紙に書いておくようにと、先生から言われていた。
原稿用紙…
その用紙をみるだけで、ボクは(あーーっつ‼︎)て頭抱えてどうにかなるのに、そんな状況を自ら、うみだすなんて…なんてことなんでしょう。
演説の言葉⁉︎
大変だ…。
そんな言葉…ボクには、思いつかない。
…まぁ、そりゃそうか。
だって、ボクはこれっぽっちも生徒会には、興味すらないのだから。
そもそも、どんな仕事をいつどのように、何曜日に活動しているのかすら、わからない。
ただ…ただひとつわかるとすれば、去年もその前も柿山さんは、生徒会だったはず?
記憶の片隅にいるような…いないような…?
まぁ…たぶんいた
だろう。
あれから、三年…
いや、三週間後…
演説会が開催された。
おとなしい柿山さんのことだから、たぶん…淡々とこんな学校にしたいということを、話すのだろう。
原稿用紙何枚分なのだろう?
ご苦労なことだと、軽い気持ちで聞き耳を立てました。
いや、普通に聞いてもいいんですよね。
で…
やっぱりみなさん、この学校をああしたいこうしたいと言っています。
そして、柿山さんの番になりました。
五時間目ということもあり、皆が眠そうにしていたんです。
なんなら、ボクも。
でも一瞬で目が覚めました。
だって…演説の第一声が
「みなさん、おはようございます。目覚めの朝です!いや、昼です‼︎」
って言い出すんですもの。
さらには、原稿用紙が白紙だと白状します‼︎って、言ったんです。
そりゃ、みんな『んっ⁉︎』ってなりますって。
ここで、一気に注目というなの視線を浴びた柿山さんは、
「わたしは、人間だから遅刻もするしヘマもします。さらには、生徒会長になったからといって、好き勝手できるわけでもありません‼︎しかし、生徒ひとりひとりの心に寄り添い、改善提案をして、とりこぼしなく皆を笑顔にしたい‼︎それ一択です‼︎みなさんの声を、このわたに届けてください‼︎わたしは、心の窓口姫の柿山姫です‼︎」
と、言い切りました。
心の窓口姫…
生徒会長が姫とは、なんともかわいいじゃないか。
柿山さんは、あっという間に皆の心を鷲掴みにしたもようです。
拍手喝采でした。
ボクもいつのまにか、右手と左手を合わせて離して合わせて離してを繰り返していた。
簡単にいうと、拍手だ。
すごいなぁ、柿山さん。
いつもは、おとなしいのに…頭の中は、熱々なんだなぁ。
冷製パスタみたいな人だった。
意味わからんけど、ボクには柿山さんが冷製パスタにみえて仕方ない。
いや、ただボクがいま食べたいものだっただけなのかもしれない。
そんなことは、どうでもいい。
どうでもよくないのは、柿山さんだ。
あの演説以来…
気になって仕方ない。
冷製パスタ…じゃなくて、柿山さんが。
そんな柿山さんをみていると、基本下の方をみて歩いている感じがする。
かと思えば、落ちているゴミを拾ったり、だれかの落とし物をそっと拾って、持ち主に返しているじゃないか。
みんなの私物を把握してるの⁉︎と、感心していたら、そっと…違うって言われたりして、キョロキョロして、困っていたりしていた。
かわいい小動物みたいだ。
そんなかわいい小動物…いや、柿山さんに、ボクはそっと、落とし物箱という場所を案内して差し上げた。
「ありがとう」
と、笑顔の柿山さん。
もうさ…
もう、こんなかわいくて行動力ある人…魅力がないわけないじゃん‼︎
絶対好きになるやつじゃん‼︎
てか、好き。
もうボクは、柿山さんのトリコになってしまいました。
はじめてマシュマロを食べた時くらい、心がもキュッとなりました。
「あのさ…柿山さん」
「なぁに?」
「ボク…王子になりたいんだ」
…
ボクは、いきなりなにを口走っているんだ…
「えっ?うん、いいと思う‼︎頑張って‼︎」
柿山さんは、一瞬驚いた表情をしたけど、すぐさま笑顔で応援してくれた。
…いやいや、普通…バカにするところでしょ?
笑っちゃうでしょ?
それを、笑わないで応援してくれるって…
優しい森の、優姫さまかよ⁉︎
てか、ボクはなぜ…
ホワイ?
ホ…ホワイト
だれか…あの言葉をホワイトにして全て消してクリアケースにしまってください…。
しまった‼︎をしまって…ください。
たすけて…ください。
たすけをください。
…
もらってばっかりじゃ、いけませんね。
…
どうします?
…
とりあえず…黙って目をつぶって…
寝たい…
寝て寝ていっぱいねて、時が過ぎるのをじっと待つしか…
…
いや…寝ていても仕方ない
ボクは、決めた‼︎
柿山さんが生徒会長を目指すのであれば、ボクは、王子になりますっ‼︎
さて、王子って…そもそも何⁉︎
宿題です‼︎
王子ってなに?をお題に作文を書いてきてください‼︎
って、全世界の人々に問いたい。
きっと、これだ‼︎ってこたえが、かえってくるんじゃなかろうか?
いや、人に頼っては…よくないね。
ゔーん…
ムズイ…
なんか心がムズムズ、ゾモゾモするよ?
…
それは、きっと…わかってる。
明日…生徒会長が決まるから。
柿山さん…
今ごろ、きっと柿山さんもドキドキしているんだろうな。
どうか…生徒会長になれますように。
そう願って、そっと目をつぶって寝た。
つもりだった‼︎なのに、明日大丈夫かな⁉︎心配だな…大丈夫だよね⁉︎って自分のことのように心配で脳汁ドボドボでなかなか寝付けなかった。
そして、朝をウェルカムしていた。
カモーンでは、ないのですが…きてしまったのだから、仕方ない。
受け入れよう。
ようこそ、朝。
あさぁ‼︎いらっしゃーい‼︎
窓からあさひが勝手に入ってきた。
不法侵入やん。
カーテンをピシャリとしめた。
暗っ…
てか、受け入れよう。
広い心を持つんだ。
心の拡張練習だ。
とじたカーテンを勢いよく引きちぎる勢いで、あけた。
ピシッと。
カーテンは、引きちぎられたんじゃね?ってくらいの音を立てて、オープンした。
それと同時に、不法侵入炸裂だ。
ま、まぶしっ‼︎
おかげで、目が覚めました。
てか、ほぼ寝ていません…
睡眠が不足してございますが、そのかわり…目の下にクマというアイテムをゲットいたしました。
いらねー…
いや、せっかくのアイテムをゲットしておいて、いらないとはけしからんですな。
ありがたく目の下のクマと登校いたしました。
たぶん…
柿山さんも…寝不足顔なのだろうと、目の下クマオソロを喜ぶ変態なボク。
しかし‼︎
柿山さんは、めっちゃ寝た‼︎みたいな、スッキリ顔で皆におはようと微笑んでいた。
おお…元気やん。
この爽やか姫が生徒会長になったら、もうこれ…なんなん?どこの森に迷い込んだん?ってくらい、素敵の迷子になること間違いなし‼︎だ。
なりたい。
素敵の迷子王子に。
…いや、そもそも王子になることを迷子だった。
王子って…どうしたらなれるん?
キラキラしてたらいいん?
金のなにか…全身に貼る?
…いや、違う気もする。
‼︎
どこかの姫と結婚したら、なれるくね⁉︎
…
無謀だ。
王子になりたかった叔父…になら、なれなくもない。
…
そんなどうしようもないボクは…どうでもいい。
しかし‼︎柿山さんの生徒会長は、どうでもよくない‼︎
で…
どうなったかというと…
見事‼︎
生徒会長に就任いたしたのです‼︎
「よっしゃ‼︎」
右手も左手も喜んでいます‼︎
はしゃぎすぎて、手が痛がゆいくらいドンパッチんして喜んでいます‼︎
手も脳みそも、なんなら全身が大喜びしてございます‼︎
「おめでとう‼︎」
隣の席だから、いち早くおめでとうが言えるのは、隣の席の特権だ。
ありがたい。
おめでとうを聞いて、柿山さんは
「自分のことみたいに喜んでくれて、ありがとう」
と、微笑んでくれた。
えぇ〜
そ、そんなかわいいありがとうをこちらこそ…ありがとうやんけ‼︎
柿山さんが笑顔を見せてくれるだけで、ボクは嬉しい。
…
あ、なんかわかってしまった。
王子になれるかも。
ボクは、柿山さんが生徒会長になってから、かわった。
朝早起きして、早々学校に行くようになった。
そして、教室を掃除した。
毎日、毎日…それを続けた。
そしたら、教室はきれいになった。
じゃあ、もういいよね。って、そんなわけない。
今度は、トイレをきれいにした。
ひとつひとつ、丁寧に磨いた。
どこかがきれいになればなるほど、ボクの心もきれいになっている感が半端なかった。
だれかに褒めてほしくて、やっているわけではない。
だれも気づいてなくても、ボクが気持ちよければ、それでいい。
ボクがボクを好きなら、それが一番だ。
…いや、ボクが一番好きなのは…柿山さんだけどね?
そんなボランティアを日々していたら、そのうち皆に、ボクのおこないが広まった。
ボクは、もう王子になることを忘れていた。
姫の城を、居心地のいい場所にすることでいっぱいいっぱいだった。
幸せいっぱいなボクは、そのうちお掃除王子と呼ばれるようになった。
⁉︎
念願の王子やん‼︎
柿山さんは、生徒会長になり生徒会の仕事を頑張っている。
学校の雰囲気が、なんだかいつも春風が吹いているみたいに、心地いい。
雨でも、みんな笑顔だし穏やかだ。
すごい‼︎やっぱり柿山さんは、素晴らしい‼︎
笑顔をうみだす魔法使いだ。
または、笑顔大量生産第一位に選ばれました‼︎くらいの素晴らしさだ。
柿山姫生徒会長は、生徒会長としていい仕事をして、成果をきちんと残して…みんなを笑顔にして、明日卒業する。
もちろんボクも。
少し寂しいけど、楽しかった。
おかげさまで、柿山さんとも友達になれた。
むしろ、とても仲良くなれた。
でも…
明日で、この学校ともお別れだ。
柿山さんとも…
全生徒の姫、柿山さん…ありがとう。
窓を掃除しながら、柿山さんと学校に別れを告げた。
「野良くん‼︎」
?
そう呼ばれたので振り向くと、そこには柿山さんがいた。
「どうしたの?」
「あのね、わたし…野良になりたい」
?
野良?
生徒会長…大変すぎて、野良猫みたいに自由になりたいってこと?
「そうか…うん。よく頑張ってたもんね。もう自由だよ」
…
「え、じゃあ結婚してくれるの?」
⁉︎
えっ⁉︎
「野良って…それって…」
「好き。野良くんが好きなんです」
ド直球告白です‼︎
やっぱり行動力すごすぎっ‼︎
「えっ…ボクも好きです。」
やっぱり柿山さんは、行動力がある。
でも、ボクだって…やるときは、やれるんだ。
「姫、結婚しよう」
「はい、王子」
お掃除王子は、姫と結婚して幸せに暮らしましたとさ。
そして、この学校には伝説がうまれた。
生徒会長になると、王子さまが迎えに来てくれるってね♡
おしまい♡




