表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ghost Night  作者: あつきおぐら
幽霊少女
1/5

聞こえますか。


誰か・・・



──私を助けて。



「藤乃!」

「うあ!?」


先生の叫び声が教室に轟いた。

その怒号が自分に向けられたものだと気づいて、寝ぼけていた目がやっと覚醒する。


「居眠りとはいい度胸だな。俺の授業はつまらないか?」

「す、すみません」

「ったく・・・」


藤乃浩は至って普通の学生だ。


成績は良くも悪くもない。

運動も出来ないことはない。

容姿は可もなく不可もない。


周りからの印象だって、特に目立った印象は与えられないだろう。


色んな角度から向けられる視線が居た堪れなくなり、視線を下に落とす。


「・・・あれは、夢?」


どうしても、頭にこびりついた夢の内容が脳裏に残り続ける。そのせいで、放課後になるまでずっと、意識を手放す時間がふえてしまっていた。



学校が終われば、あとは家に帰るだけだ。

部活にも入ってないし、さっさと玄関へと歩き出す。


教室の扉を開けて、廊下に出ようと──


「あ」

「っと、悪い。大丈夫?」


爽やかな笑顔を向けられて、少しだけたじろぐ。互いにぶつかる事は無かった。


「あ、あぁ。大丈夫、俺の方こそごめん」

「よかった。じゃ、またな藤乃」

「うん、また明日、門馬」


門馬瑛人は笑みを崩さないまま、去っていく。

そんな後ろ姿を眺めながら、俺も下駄箱に向かって歩いていく。


世の中の不公平に、ため息を吐きながら。



「ただいま」

「あら、おかえり」


母の迎えの言葉を受け取って、自分の荷物を廊下に下ろす。


「父さんは?」


母さんが抱えている洗濯物に目が行き、こちらに渡す様に手を差し出す。


「宿の方でお客さんの相手してる」

「そっか」


これはちょっとした自慢なのだが、俺の家は旅館を経営している。

離れにある小さな老舗の旅館。<やすらぎ>


先祖代々から継がれた由緒ある宿・・・らしい


「忙しい?手伝う事ある?」

「いつもと同じ。今日はないわよ、ありがとう」


そう言って、母さんはそそくさと宿の方へと行ってしまった。いつもなら厨房に立たされる事が多かったが、今日は暇らしい。


「んじゃ、さっさと運びますか」


洗濯物が詰められた布袋を背負い直し、俺もまた足を動かした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ