閑話
バタバタと夜の病院を走り回る音が響き渡る
「す、すいません!!木崎望の家族なんですが!!」
ナースステーションで息を切らしながら伝える母親
「木崎さん!こちらです!」
そう言って医者が手を上げ目的地まで案内してくれた
「ねぇ!お姉ちゃんは大丈夫だよね!?」
「……」
無事かどうかなんて見てみないと分からない…だけど最後の電話の大きな音とあれから電話が繋がらないのとでどんどん不安になっていく
「こちらです……ご家族様がいらっしゃいました」
医者は霊安室の前まできてそこにいた警察の方に家族の方が来たことを伝えた
「木崎望さんのご家族ですね…すみませんがご確認お願いします」
警察は霊安室の扉を開けた
「……あんたたちはここで待ってなさい」
「う…うん……」
そう言って両親は霊安室に入っていった
「では…ご確認お願いします…」
警察は遺体の顔の布をとった
「あぁぁぁあ!!!!!!」
母親の叫び声が響き渡る
「の…望…?」
「ご本人様で間違いないですか?」
そこに横たわっていたのは…間違いなく娘の木崎望だった
「いや…!!なんで!!望!!どうして!目を覚まして!!ねぇ!!」
遺体に縋り付き泣く母親
へたり込む父親
「お母さん!!?どうしたの!?」
母親の叫び声で霊安室に入ってきた子供たち
入った瞬間に遺体を目にした
「お姉ちゃん…?」
「姉ちゃん?」
よろよろと近づく2人
「嘘だよね…?ねぇ!!お姉ちゃん!目開けてよ!!」
「姉ちゃん!!姉ちゃん!!起きろよ!なあ!」
2人は遺体を揺する
警察が2人を止めて
「もう……亡くなっております…」
警察が伝えると
「ぁぁあぁああ!!!!」
「嘘だ…嘘だ…姉ちゃんが死ぬなんて……」
妹は泣き叫び
弟は顔を手で覆った
家族は霊安室を出て病院の待合室に座っていた…家族が突然亡くなったことに呆然としていた
「事故の状況なんですが……」
警察が事故の状況を説明した
「歩道橋の階段を登ってる最中に転落して頭を強打…近くにいた方が直ぐに救急車に連絡してくれて運ばれましたが…病院に到着した時にはもう…亡くなってたとのことでした…」
「頭部を強く打って死亡でした」
淡々と説明する警察それを聞き流す家族
家族の頭にはなんで?どうして?こんな目に?そんな疑問が頭の中をぐるぐるしてる
「最後に電話したのは…お母様だと…なにか…特別なことはありましたか?」
警察は他殺の可能性もあるか確認できいた
「……電話では…娘は…怒っていて……お姉ちゃんじゃなくて……望って名前があるって…………」
ぽつりぽつりと話す母親
「……ごめんなさい…ごめんなさい!!望!ごめんなさい!」
そう言って何度も謝り泣く母親
「お母さん……」
妹が母親を抱きしめながら自分も泣く
「うぅ……」
肩を震わせる父親
呆然とする弟
家族の泣き声が静かな病院内に響き渡った…