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目には目を、歯には歯を、能力には、能力を  作者: 妄想お面
凍りついた世界〜新たな伝説の始まり〜

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12/13

やはり暴力!暴力は全てを解決する!

第12話です!

是非楽しんでください!

毎日投稿継続中!

 扉を抜けると、そこは無数の氷壁が立ち並ぶ迷宮だった。


 壁はすべて鏡のように光を反射し、通路の先も、曲がり角の先も、すべてが同じに見える。


「わぁ……本当に迷路、だね。前に進んでいるのか、戻っているのか……」


 光を反射する氷は鏡のように透き通り、進むたびに自分たちの姿が映り込む。


「氷の迷宮。歩くだけで“鏡合わせごっこ”できちゃうねぇ〜」


 ユキちゃんが両手を広げ、氷壁に映る自分の影と戯れるようにくるりと回る。


「遊んでないでいくぞ」

 

 ルシアンが斧で地面に傷をつけながら進む。


 氷の回廊に入ってから、もう何日が経ったのか分からなかった。


 天井から差す淡い光は常に同じで、朝も夜も感じられない。ただ進んでも進んでも、氷の壁が姿を変え、出口を示さない。


「ねぇ〜、一歩進んで二歩下がってる気がするんだよねぇ〜。何より暇だな〜。」

 

 ユキがひょいと回廊の壁に氷羽を軽く当てる。反射した自分の顔が、困ったように歪んで返ってきた。


 「ここで急に謎かけを、氷とかけて初デートととく、」


 「その心は?」


 「どちらもすぐに溶けるでしょう。」


 「評価に困る謎かけをするな。」

 

 「何々?ルシアン、アンコールが欲しいって?では、ここでまたもう一つ」


 「懲りずにまたやろうとするな。この氷の壁も相まって凍りつきそうな事をするな。」


 「こおりごおり」


 「ミノリ、今日1、寒いぞ。」


 恥ずかしい!ちょっと暇だったからユキちゃんに乗ったけど確かに今はヒュベルに挑戦中なのだから気合いを入れないと。


 そんなふうに考えごとをしてみんなから少し目を離したらそこには誰もいなかった。


 全く、みんな迷子になるとは情けない。


 決して私が迷子になったわけではない。


 すぐそこの曲がり角を曲がると。

 ルシアンたちの後ろ姿を見つける。


「……あ、よかった。みんな……」


 安堵して駆け寄ると、そのルシアンが笑いながら手を振った。


 だが、その笑顔は鏡に映る氷の光でゆがみ、どこか冷たい。


 「こっちだ。こっちにこい」


 「えっ?」


 一瞬の迷い。その場を去ろうとしたその 刹那に周囲の壁が閉ざされ、私は完全に孤立した。


 氷壁から、次々と自分の姿をした氷の人形が抜け出してくる。


 同じ顔。同じ姿。


 反射的に斬ってしまってわかったのだがどうやら遺物の能力を使ったり戦闘技能があるわけではない。


 ただの氷の人形。だが自分の顔をした人形が十体、二十体、と際限なく出てくるのはなんだか吐き気がする。


 念のため刀を構え、歯を食いしばった。


 同時刻、ユキ、ルシアン、バレットそれぞれが大量の“自分”に囲まれていた。


 攻撃は単純。しかし数で押されれば確実に削ら

れる。


「わぁ〜、自分を撃ち抜くのには抵抗感あるな〜。」


 今の所対処はできているがこれを保てるかはわからない。


「……数。無駄。」


バレットは淡々とゲシュッツを放ち、一体、また一体と撃ち抜いていく。


「俺が二十人?能力とかはなさそうだが不運がない俺か。それって今の俺より優秀なのでは?」


ルシアンは豪快に斧幸を振り回し、砕く。だが汗は滲む。


 どれくらい経ったのだろうか?


 氷の人形を何度倒しても新しいのがすぐに氷の壁から出てくる。


 4人がそれぞれ劣勢気味になって来たとき。


 砕け散る氷の音が、回廊中に鳴り響く。


 その音は遠くから響く「ドォン」という衝撃音だった。


 重低音が、一定の間隔で鳴り響き、だんだんと近づいてくる。


 ──三ヶ月の修行。


 走る。倒れる。回復させられてまた走る。


 気絶しても、メノウが回復させて立たせる。


 体は無理やり動くが、心が削られる。


 そんな地獄を、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返される。


 そのあと同じように組み手をさせられる。


 倒れても、怪我をしても何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も回復させられてそのまま組み手再開。


 確かに身体は回復しているが殴られた痛み、疲労感、そういった蓄積が精神を蝕み肉体より先に精神がやられてしまう。


 何よりおかしいのはこの訓練をメノウの姐さん自身は食事や睡眠以外の休息以外で休憩を取らずにやっている事だ。


 4人はその記憶が蘇る。


 轟音は、近づくにつれ壁を砕き始めた。


 ドォン、ドォン、と氷壁が粉砕され、破片が飛び散る。


 そしてついに、壁をぶち破って現れたのは。


「みんな……無事やった?」


おっとりとした声で、拳を振り抜いた姿勢のまま立つメノウとそれに抱えられているユキちゃんとバレット


「お、おい……壁、ぶっ壊して来やがったぞ……」


ルシアンが呆気にとられる。


 すぐさまメノウはルシアンを抱えて壁の破壊を再開する。


「……迷宮。無視。効率的」


 バレットがぽつりと評した。


「迷宮の意味がないね〜。」


 ユキちゃんが笑う。


 「メノウの姐さん、脳筋がすぎますよ。」


 「ほんまは静かに見てるつもりやったんやけど、退屈してしもてなぁ。つい、口出してしもたわ。それとなユキちゃん、あの謎かけな……うちもいいのを今思いついたんよ。どちらも結局は砕けてしまうでしょう。どうや?なかなかええと思てるんやけど。」


 いつもの穏やかな笑顔でこんな事言って来ますよ。


 「確認したい。ミノリ・テンドウ,ルシアン、ユキちゃんは壁は壊せそうだった?」


 「不幸の解放は試してないが斧幸のただの一撃だったら壊せる気がしなかった。」


 「私の方もブレッシャーとか試したけど壊せなかった。」


 「ボクの遺物の能力で氷をどかそうとしたけど干渉を受け付けなかった。てかついにバレットちゃんがボクのことをちゃん呼びしてくれた!」

 

 ユキちゃんのちょっとズレた発言は置いといて


 え〜、あの人、そんなものを素手で破壊したのですか。


 私は恐怖して動けなくなった。


 こうして、私たちの氷の迷宮はメノウの姐さんが壁をぶち壊し新たな道を作って終わった。


 メノウの姐さんが氷壁を砕き進んだ先。広間の中央に、それは鎮座していた。


 氷塊を積み上げて作られた巨人。


 三階建ての屋敷に匹敵する高さ。丸太のような腕は振り下ろされるだけで地面を砕く。


「でっか……」


私は刀を握りしめ、喉を鳴らす。


「氷の迷宮のお約束〜、って感じだね〜。守り神っぽい」


ユキちゃんが肩を竦めて笑った。


「ふふ。強そうですねぇ」


メノウ姐さんはおっとりした笑みを浮かべ、拳を軽く構えた。


「……目標。破砕。」


バレットが淡々と呟く。


 ゴーレムが吠えるような音を発し、巨腕を振り下ろした。衝撃で床が砕け、氷片が弾丸のように飛び散る。


 ミノリは刀を横薙ぎに構え、迫る氷片を弾き払った。


「ブレッシャー!」


 刀が蒼白な光を帯び、氷塊を一瞬で両断する。


「俺も続く!」


ルシアンは斧を大きく振りかぶり、迫る拳を斧で受け流すように軌道を逸らす。腕力に任せた一撃ではない、熟練した斧さばきだった。


「巨体には巨斧だろ!斧幸サイズアップ!」


 ルシアンの斧幸はサイズを大きくし、氷のゴーレムに対抗する。


 これは斧幸に自分の運を与えることを代償に行える能力である。


 斧幸によって起こされる不運が格段に大きくなるが不運と付き合いの長いルシアンにとってはただ厄災風斬の威力を上げるための技になってしまっている。


「……死角を確認。七連」


バレットがゲシュッツを放つ、エネルギー弾が氷壁で跳弾しながら背後からゴーレムの膝を撃ち抜く。氷が弾け、巨体がわずかによろめく。


「ナイス! 僕がさらに隙を作るよ〜」


ユキちゃんの氷羽が宙を舞い、鋭利な刃となり、関節に突き刺さった。


 しかし、ゴーレムは怯むどころか怒りに震えたかのように、体表を覆う氷をさらに厚く硬化させた。


「やっぱり……核を砕かないと!」


私は刀を大剣へと変形させ、力を込める。


 だが巨腕が迫り、受け止めきれずに床へ叩きつけられる。肺から空気が抜ける感覚。


「──ぐっ……!」


「ミノリ!」


ルシアンが咆哮し、斧を全力で叩きつけゴーレムの腕を押し戻す。


「……仕方ない」


私はブーツに力を込めて遺物を発動させる。

「《アクセル》──!」


 一瞬、世界が止まる。


 マッドスワンプ戦でも使用したがこのアクセル、使用者の負担が大きい。1秒だけの使用でもしばらく全力で動けなくなるだけでなく、視界が歪む。


 そのため1日3回までが限界だろう。


 血管が焼けるような痛み、実際に焼けてるのだろうがその痛みを無理やり押さえ込み、加速した身体が稲妻のように走る。


 巨体を駆け登り、剣を突き立て、さらに槍形態へ変形して首筋を貫いた。


 氷が砕け、ゴーレムの動きが一瞬止まる。


「今だ、畳みかけろ!」


 ルシアンが斧術で脚を切り払い、バレットが跳弾で核の周囲を削り、ユキが羽を連射して傷を広げる。


 そして。


「みなさん、おおきに。ほな──」


メノウの姐さんが一歩進み出る。


 ドゴォン!


 氷の胸を貫く拳。核が粉々に砕け散り、巨体は轟音を立てて崩壊した。


「……不覚。」


バレットが呟いた。


「最後に持ってかれるとねぇ〜、ボクらが霞むんだよな〜」


ユキちゃんが苦笑する。


「姐さん……拳、反則だろ……」


ルシアンが肩を落とす。


「ふふ、かんにんなぁ。せやけど、みなさんが削ってくれはったおかげやよ。」


メノウの姐さんは微笑んだ。


 砕けた氷の向こうに、さらに冷気を放つ扉が姿を現す。


 第三の試練へと続く道が現れる。

最後まで読んで頂きありがとうございました!


もしこの作品が気に入りましたら感想や評価をいただけると幸いです。

そうでなくともこの作品が少しでも気に入っていただけたら今後も読んでいただけると幸いです。


改めまして最後まで読んでいただきありがとうございました!

また次回もお楽しみください

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