愛し合う二人
女は下等な生き物だと、その世界の男は思っていました。
しかし、下等な生き物でも、子どもは女からしか生まれません。
弱くて子どもしか産めない下等な生物。
それでも、血の繋がった子や孫に利益を与えたいなら、一族が権勢を誇る為には、ビジネス上の関係者と血縁で結ぶしかありません。
結婚と恋愛は別。
それは同性愛者もそうでした。
愛し合っていても、男同士だから子どもは残せません。
男同士で子どもが残せるなら、女など本当に不要でした。
仕方なく女を娶り、仕方なく妻として扱い、仕方なく子どもの母親にする。
女との結婚を嫌がったら、それはそれで失敗作だ何だと言われ、恋人と肩身の狭い思いをしました。
だからといって、女とは結婚したくない。
そんな恋人同士は駆け落ちをしました。
そして何故か、男同士なのに子どもが出来ました。
祝福の女神は人間の滅びを望む憎悪の神と取り引きをしていました。愛し合う二人の間にのみ、子どもが生まれるように、と。
愛し合う二人の性別については、限定していなかったのです。
母親たちの祈りもあって、こうして、女の生まれない世界になりました。