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プロローグ
その世界は憎悪の神と祝福の女神――二柱の神が管轄しておりました。
ある日、憎悪の神は言いました。
「ガール。この世界の人間の心は醜悪すぎる。滅ぼしてしまおう」
「一握りの人間の心が邪悪だからと言って、滅ぼしてしまうのは良くないわ。ボーイ」
反対の意見を唱える祝福の女神に、憎悪の神は博愛がすぎると思いました。
「では、奴らのせいで死んでいった者たちの死が無駄になるじゃないか、ガール」
「ボーイ。まだ生まれてもいない者にも罪を負わすの?」
「・・・」
二柱の神は非常に仲が良く、他の神々は兄妹神だと思っているくらいでした。
寛容な祝福の女神と独善的な憎悪の神。違いすぎるからこそ、二柱の神は互いの意見を聞いて考えます。
「罪は罪として、罪人に罰を与えたらいいのよ。ボーイ」
祝福の女神の言葉を憎悪の神は受け入れました。