番外編① おつかい
今日は12月30日。明日の夕飯の材料を買うため、俺と日向は近所のスーパーに来ていた。
母に渡されたおつかいメモに買いてあるとおり、キャベツやにんじんなどの野菜と冷凍の親鳥の肉をカゴに入れ、飲み物コーナーに向かった。
そして俺は「日向〜、大晦日に何飲みたい?」と、明日の飲み物を買うため、日向に何を飲みたいのか尋ねる。
日向はやはりこう答える。「お兄ちゃんが選んだものなら何でも飲みたい!」
いつものことだから予想していたが、
そもそも日向に聞いたのが間違いだった。
1.5Lのコーラを手に取った次の瞬間、「あれ、北川くん?」
どこからか、俺を呼ぶ声がした。
振り返って見れば、
「あぁ、剣城さんかぁ。それに正人くんまで…」
こんなところで俺たちは偶然、剣城さんに会った。しかも正人くんも一緒だった。
俺たちは冬休みだから、剣城さんと会うのは終業式以来で2週間ぶりくらいだろう。
正人くんの方は今年の夏に会って以来、一度も姿を見ていない。だから正人くんの背が少し伸びた気がする。
そういえば日向の時もそうだった。兄としての目線では、とても日向の成長が早く感じた。
みんな、あっという間に大人になっていくのだろうか。この時、そう実感した。
家に帰ってからは、夕飯まで未視聴の冬アニメを見て、俺は一人で感動していた。
そんな、大晦日の前の日だった。
つづく