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八章 プレゼント


「メリークリスマス!乾杯〜。(みんなの声)」

 見事にホワイトクリスマスとなった今日は、予定通り「北川家&南家合同クリスマスパーティー兼付き合って5ヶ月おめでとうの会」をやっていた。

 ご飯は去年よりも豪華で、寿司やフライドチキン、春巻きにナポリタン。そして、今年はローストビーフもある。

 俺たちが付き合ったことを祝ってくれてるのは素直に嬉しい。だから、

 「今日はいっぱい食べるぞ〜‼︎」

 俺はそう言って、片っ端から料理を口の中に入れていった。

 すると、母は言う。「ゆっくり食べなさい!」俺が飲み込むと、続けて「私の作ったローストビーフも食べてみ。」と、言ってきた。

 食べてみると、口に入れた瞬間旨みが口いっぱいに広がる。そして、俺は思わず言った。

 「母さん、このローストビーフうますぎ!」

 俺が生きてきた中でこんなに美味しいローストビーフは初めてだった。

 「ピーンポーン」

 突然、インターフォンが鳴る。

 俺は、「でるよ!」と言って、玄関に向かった。鍵を開けて玄関ドアを開くと、そこには俺と日向の父がケーキの箱を持って立っていた。

 俺は驚のあまり、「父さん、来れないんじゃなかったの?」

 実は俺の父、北川重典は単身赴任でアメリカで生活している。クリスマスシーズンは仕事が忙しく、クリスマスは毎年父がいない中行われるが……。

 父は嬉しそうに言った。「修斗に彼女ができたと聞いてなぁ、その彼女さんが、家に来ていると聞いたら、駆けつけない親父がどこにいるんだよ?」

 父は知らないのだろうか、夏実が俺の彼女だってことを。

 だって、父の反応がやけに新鮮だから。

 俺は「まあ、玄関で話すのもあれだし、上がって行きなよ。」

 そう言って、父を家に上げた。

 そして、リビングに入った瞬間、父は気づく。

 「あ、南さんどーも。」

 夏実の家族がいることに。

 「で、修斗の彼女さんどこだ?」

 やはり、知らないのだろう。夏実が俺の彼女だってことを。

 「父さん、実は夏実なんだ……俺の彼女。」

 俺はそう、真実を伝え、固まった父の反応を伺った。

 それに対し父は、「お前、夏実ちゃんと付き合ってんの⁉︎」

 父は納得したかのように、何度も頷いて、母に内緒で買っていたであろう高級ワインをガバガバと飲み始めた。

 それを見ていた母は、キレ気味に「あなたぁ〜、お酒は特別な日にしか飲まないんじゃなかったのかしらぁ?あと、そのワインはどこからぁ?」

 父は恐怖のあまり、母に怯えながら言った。「ききき、きょ、今日は、特別な日だろ……う。だ、だからだよ……。」

 俺はいつものように母が父をボコボコにするのかと思ったら、母も俺たちのことで浮かれていたのだろう。

 母は珍しく、「まあ、いいわ。今日は特別な日よね。」と、父の行動を許した。

 食べ終わってからは、父の買ってきたクリスマスケーキにろうそくを立てて、暗闇の中でろうそくに火をつけた。

 そして、恥ずかしながらも夏実と同時に「フッ!」と、火を消した。

 最後にプレゼント交換をすることになった。俺は、夏実に一冊の本とイルカのネックレスをプレゼントした。

 夏実は「この本は何ですか?」と聞いてきた。でも俺は答えることなく「まず読んでみて。」と、言った。

 夏実はパラパラとページをめくると、涙を流した。俺は話を添えて、「この恋は本物だけど偽りからさらに好きになった。」

 でも、夏実を好きになった1番のきっかけは5年前のささいなことだが、いつだかの昼休みに王様ゲームで偽りの告白をしなければならなくなったとき、さらに夏実のことが好きになったのだ。俺は夏実にこの本のことを教えた。

 「この本は俺の[告白日記]なんだ。偽りだけど本当の[告白日記]。」

 そう言った途端、夏実は俺の腕の中に飛び込んで、小声で言った。「ありがとう本当にありがとう…です!」

 そして、夏実は俺に紙袋に入ったけっこう高そうな財布を渡してきた。これが夏実のプレゼント、「ありがとう夏実。この財布一生大切にするよ!」こんなこと言うと俺まで泣けてくる。

 今日は本当に最高のホワイトクリスマスとなった。


                つづく

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