表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

五章 ブラコン妹

 「今日は見事に晴れたなぁ。」

 朝、カーテンを開けると満天の青空が広がっていた。

 「おーい!まだかぁ〜日向。」

俺は日向が準備できるのをリビングで待っていた。

 「お待たせ!準備できたよ、お兄ちゃ〜ん。」

 玄関のドアを開けようとした時、

 「あら、もう行くの?」

 後ろから母さんの声がした。


 「うん、電車混むしね。じゃあ行ってくる!」

 日向も「お母さん、行ってきます!」

 「いってらっしゃい!二人とも。」

 そうして母に見送られ、久しぶりの兄妹二人っきりのお出かけが始まった。

 昨日のことがあってか、俺は少し浮かれており、なんか日向の前でふざけた真似をすると、心配されて、ブラコン度が増しかねない。

 あと、付き合ったことを日向に言わない理由。それは、「ブラコン」という言葉の意味を考えれば自然に出てくる。

 そう、嫉妬だぁ!

 

 嫉妬というものはとても恐ろしい。ラノベとかでよく見るが、そのものに対する愛が重いほど嫉妬深くなる。

 だから今の日向なら、ブラコンが悪化するか、性格が変わる。最悪の場合、悲しさのあまり引きこもりになるかも……。

 そんなことを想像している以上、認めたくはないが、俺もなかなかのシスコンだな。

 電車を乗り継ぎ、隣町の駅に到着した。新しい水族館はここから歩いて5分くらいだったはず。

 「わぁ、並んでるなぁ。てか1時間待ちだと!」

 「妹よ。申し訳ないが今日は……。」

 やっぱりできたばかりの水族館だから混んでいた。

 「え〜。ここまで来たのに諦めるの?見たいよお兄ちゃん!」

 「わかったよ日向、並ぶぞっ!!」

 俺たちは炎天下の中、「1時間並ぶ」という強敵に挑むことになった。

 でも、「1時間待ち」と言いながらも、40分くらいで中に入れた。

 「綺麗だな。このクラゲ」

 そんな中、日向は

 「このサメかわいい〜。」

 ネコザメに夢中になっていた。

 「確かにかわいいなこのサメ」

 昔飼ってたトラに似てるな。

「おっと、危ない危ない。」

 日向の前でこの話はしない方がいい。


 なぜならトラは、小さい頃日向が拾ってきた猫で、とても可愛がっていた。

 その頃の日向はトラを1番大切に育てていたので、あんなことになるなんて正直思っていなかっただろう。

 そう、トラは3年前に死んでしまった。

 それからしばらく、日向は落ち込み、その時に俺が日向を慰めたことにより、日向のブラコンが悪化してまったのだろう。

 「お兄ちゃん、もう帰ろう。」

 マズいな、俺のバカッ!! なんで余計な一言を言ってしまったんだ。

 まあ、でも「わかった、帰るかぁ」

 帰りは家に着くまで日向とは一言も会話がなかった。


                  つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ