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三章 ケーキの力

「お邪魔しまーす」

 俺は剣城さんの家に来ていた。

 「で、正人くんはどこに?」

 剣城さんに案内され、階段を上がり、二階の部屋のドアの前で

 「ここです。正人の部屋」

 「コンッコンッ」

 ドアを開けるとカーテンが閉まっていて、暗くて少し広い部屋の真ん中で正人くんがうずくまっていた。

 俺は、正人くんが1番好きなスイーツであるモンブランを買ってきた

 俺の声を聞いた正人くんは、

「修斗お兄ちゃん?なんでうちに?」

「正人くんのお姉ちゃんから色々聞いて、心配して来ちゃった。」

 「兄妹喧嘩の他にも悩みがあるように見えたから、お兄ちゃんでよければ聞かせてくれない?きっと力になれるからさ。」

 すると、正人くんは俺たちに打ち明けた。

「実は僕、学校でいじめられてるんだ。」

 そう言って泣き出した。

 俺は「まあ、君の大好きなモンブランでも食べて一旦元気出しな。」

 「モンブラン買ってきたからさ」

モンブランという言葉を聞いた途端に正人くんのテンションが大幅に変わった。

「え、モンブラン?やったぁ!!!%¥〒#%#*€$‼︎」 

もはや、日本語を話してない。これが、ケーキの力。人生ではじめてケーキの力を実感した瞬間が今だった。 

 「じゃあそろそろ帰るかな。」

 実は今日、夏実と帰る約束をしてたのに、すっぽかして剣城さんの家に来ていた。だから、夏実に見られるとマズい。

 「じゃあ、また何かあれば言っておくれ!」

 俺は玄関のドアを開けた。

 すると、今1番会ってはいけない人物が剣城家の門の前に立ってこちらをにらんでくる。すごく呆れ果てた顔でにらんでくる。相当、機嫌が悪い。

 そう、門の前には夏実がいた。

 「私と帰る約束しといていい度胸ですね!」

 俺は弁明した。

 「あの〜夏実さん。実は剣城さんの弟の正人くんが学校でいじめられてて、その相談に乗ってたわけでして……。」

 「そうなんですか?剣城さん。」

 夏実は剣城さんに話を振る。

 「そうだよ。私の弟の相談に乗ってもらってただけで、別にやましいことは何も…。」

 「シュウ!今日帰れなかった分、今週末遊びに行きませんか?そうしたら許します!」

 俺の心の中は喜びに満ちていた。

 (「夏実とデートだぁ!やっほぉぉーーーーー」)

 10秒後、俺は冷静さを取り戻した。そして、心の中で思った。

 (「何で俺をデートに誘ってきたんだろう?」) (※誰もデートとは言ってません。)

 この時の俺は自意識過剰だった。だから冷静さを取り戻したと言うと嘘になるかもしれない。  

 そうして今週末の予定が埋まった。

 家に帰ると、いつものように日向は俺に飛びつき、珍しくすぐ離れて

「お兄ちゃん、大事な話がある。」と言ってきた。

 「お兄ちゃん今週末、新しくできた水族館に連れてって!」

 俺は土曜日夏実とのデート(仮)の約束をしている。だから日曜日しか予定が空いていない。せっかく日曜日だから、テスト勉強したいと思っていた。

 でも、妹の頼みだから断るわけにもいかない。だから俺は

 「たまには一緒に行こうか?水族館。」

 そうして、土日まで何事もなくいつも通りの日常を過ごした。

                 つづく

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